問題は経営力

問題は経営力
 讀賣新聞18年1月31日
問題は経営力
 日経新聞17年10月7日
 1970年代半ばから約40年間で、日本の電機メーカーから特許に名前が出るようなトップクラスの技術者だけでも1000人超が韓国、中国を中心とするアジアメーカーに流出している。
問題は経営力
 日経新聞17年8月27日
 日本の給与は役職が上がるにつれ海外に抜かれる。日本は独特。アジア企業でもアメリカ型が標準。
問題は経営力
 日経新聞18年1月22日
 日本は過去20年デフレで、人件費はほぼ横ばい。例えば、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)は、日本国内の新卒採用で初任給40万円を提示。ソニーなど日本の電機大手の2倍近い水準だが、「世界的には珍しくない。優秀な人を採るためのグローバルスタンダード」。
問題は経営力
 現在、いろいろなところで見事なハクモクレンを見ることができる。





  問題は経営力


 日本の電機メーカはここ10数年でメタメタになってしまった。技術力で遅れをとったわけではない。経営に問題があったという。

 讀賣新聞18年1月31日「WATCHERS」欄に早稲田大学大学院・長内 厚(おさない・あつし)教授の論考が載っていた。抜粋してご紹介します。


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 日の丸家電復活の日

 昭和時代 技術が価値に

 日本の電機メーカーの技術は相変わらず強いと思います。ただ、技術そのものを売るわけではなく、売るのは商品です。

 技術で負けたわけではないのに、技術を強くすれば、かつてのように復活できると考えました。そして、さらに技術への投資をした。これが、空回りの原因です。

 昭和の時代は、技術がそのまま製品の価値につながりました。1950年代にソニーが世界で普及させたトランジスターラジオがそうです。他社は、トランジスターを搭載した小型ラジオを作れませんでした。

 半導体やブラウン管テレビも、技術が進めば価値が上がる、というシンプルな関係でした。当時、日本勢は、技術開発に没頭すればよかったのです。

 〈今、日本メーカーは、特に家電で韓国や中国・台湾勢に対し劣勢にある〉

 21世紀に入って、家電業界でデジタル化が一気に進みました。部品を調達すれば、簡単に一定の品質の製品ができる。安い部品を、安い人件費で効率よく組み立てるのです。

 韓国のサムスン電子は、迅速な判断で大規模な投資をしました。一歩遅れた技術で、新興国のテレビなどの市場を開拓しました。そこで得た利益を半導体に集中投資し、コストを下げたのです。

 技術を高めることと、技術以外の部分で何をするべきか、うまくバランスをとった。全体の戦略を描き、大胆な経営判断で、成功につなげた。

 しかし、日本の企業は、技術を過信するあまり、デジタル化に対応する「戦略」がありませんでした。技術が強過ぎたために、技術に頼ってしまった。あの手この手で戦略を考えることができなかったわけです。


 経営陣に問題があった

 問題は経営力です。日本企業は強い現場を持っているので、まともに経営すれば、ちゃんと利益が出るのです。

 〈台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業に買収されたシャープは、営業利益が黒字化。わずか約1年4か月で東京証券取引所1部に復帰した〉

 やはり、現場の上にいる経営陣に問題があったのです。それが証明されました。シャープは、百戦錬磨の経営者が来ただけでがらっと変わったのですから。

 日本企業がもうけられるチャンスは、どんなところにもあります。戦略の基本ができていないだけで、そんなに難しいことではない。

 まず、自分たちの持っている資源のうち、何を有効活用すれば、他社と違うことができるか。もう一つはどの市場に出て行けば、価格競争に陥らないで済むか

 例えば、ソニーは、競合が少なくなったラジオを世界各地で売って利益を得ています。最先端の技術を使っているわけでもない。サムスンは、最近までブラウン管テレビを新興国で売って利益を出していた。他社が入ってこない領域をうまく見つけるのです。

 スズキは、インドの自動車市場で強い。自分たちの強みを生かせて、他の日本メーカーが進出していないところを考え、成功したのです。

 新興国では、本当に市場に合ったモノを出すことが重要です。日本の電機メーカーは、日本らしい付加価値をつけなければいけないと考えがちです。むしろムダな機能をどこまでそぎ落とせるかが問われます。


 金もうけできる=「クール」

 日本勢は、アイデアや技術は持っていますが、それをうまくビジネスに結びつけることができない

 理系と文系、開発と営業という枠組みがはっきりしています。これが良くない。

 社内や特定分野の専門家よりも、そこから少し離れている立場の人が新しいものに気付きやすい。海外メーカーは、外の知識を貪欲に吸収します。新興の中国・台湾メーカーでいえば、自社だけでできないことがある場合、社長が会議中に他社の人に電話し、「これができないか」と相談する。そのスピード感や幅の広さが強みになっています。

 日本全体として、ビジネスに対する貪欲さが足りないと思いますね。

 次に開発するための原資を作るには、貪欲にもうけなくてはいけない。海外では、しっかり金もうけができる経営者が「クール」であり、評価されます。日本もそうあるべきです。  (聞き手・瀬川大介さん)


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(感想・意見など)

 最近の悔しい出来事といえば、東芝の凋落がある。テレビ事業はハイセンス(中国)に、白物家電は美的集団(中国)に売却。虎の子の半導体事業は?

 昔から「野武士の日立」に対して「東芝はお公家さん」と言われてきた。おとなしい社風を克服しようとしてか、直近の社長はそれぞれに個性的ではあったが、「模倣の西室、無能の岡村、野望の西田、無謀の佐々木」と評され、結局は人を得なかった。人災で傷口を広げた。問題は経営力である。

 あと10~15年内に、車の自動化、共有化、電動化の進展で、日本の屋台骨ともいうべき自動車業界が大激震に見舞われるのは間違いない。電機メーカーの二の舞にならないようにしなければならない。


以上

 

米中巨大デジタル企業の脅威

米中巨大デジタル企業の脅威
 日経新聞17年12月7日
 米中の巨大デジタル企業が世界を席巻しつつある
米中巨大デジタル企業の脅威
 四国新聞18年2月3日
 米IT企業絶好調!
米中巨大デジタル企業の脅威
 日経新聞17年12月7日
 アリババのモバイル決済サービス「アリペイ」は、事業者が負担するコストが1千分の6(0.6%)だという!!20年前の私の知識では、日本のクレジットの事業者負担は3~4%であった。「アリペイ」が普及するわけである。
米中巨大デジタル企業の脅威
 日経新聞17年12月13日
 中国は、外国企業の商業データ持ち出し規制、輸出管理、中国企業への過度な補助金、企業機密情報の開示要求など、極めて問題が多い。日米欧で対抗しようとしてはいるが…。
米中巨大デジタル企業の脅威
 日経新聞18年1月10日?
 結局、14億人の市場という魅力に勝てず腰砕け?
 南シナ海の問題もそうであるが、武力(あるいは経済力など)で勝てる見込みがないと、「無理が通れば道理が引っ込む」のが現実。
米中巨大デジタル企業の脅威
 毎日新聞17年12月10日
 昨日「日本の電機業界は…」と書いたが、日本に限らない。エクセレントカンパニーの米GEやHP(ヒューレット・パッカード)、独シーメンスなども同様である。事業再構築にもがいている。
米中巨大デジタル企業の脅威
 お笑い芸人の矢部太郎さん (新潮社) ほのぼの系。
米中巨大デジタル企業の脅威
 深谷(ふかや)かほるさん (講談社)
 主人公の猫の名は遠藤平蔵。ホロッとする。
米中巨大デジタル企業の脅威
 『からかい上手の高木さん』 山本祟一朗(そういちろう)さん (小学館)
 『あしたは土曜日』『からかい上手の元・高木さん』もある。 
米中巨大デジタル企業の脅威
 『セトウツミ』 此元和津也(このもと・かづや)さん (秋田書店)
 瀬戸と内海という男子高校生2人が川岸で延々としゃべるだけ。8巻まである。作者は天才としか思えない。
 以上4作どれもお薦め。





 米中の巨大デジタル企業が世界を席巻しつつある

 日経新聞17年12月7日の「大機小機」欄をご紹介します。


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 米中巨大デジタル企業の脅威


 再びグローバル化が進み始めた。主役は国ではなく、巨大デジタル企業だ。米国のアップル、アマゾン・ドット・コム、アルファベット(グーグル)、マイクロソフト、フェイスブック、中国のアリババグループ、騰訊控股(テンセント)は、時価総額が事業会社として世界の「トップ7」を占める存在だ。

 同時に、多くの産業で既存企業を追い詰め、寡占化をもたらす「トップ7」の強さと問題点は、電子商取引(EC)の2大巨人、アマゾンとアリババの破壊的な躍進で浮き彫りとなる。小売市場でのECシェアは世界で8・5%、中国、米国でも15%、10%程度だ。だが時間の節約、多種多様で質の高い商品を選べるオンラインショッピングのECは消費者の支持が高く、成長は加速している。

 アマゾンのEC利用者は約3億人、総取扱品数は2億を超える。成長の推進役は、無料配達など数々の特典がある「プライム」会員で、米国では8500万人を超える。アリババのEC利用者は現在4・5億人で、2036年までに20億人を目指すという。
 中国ではクレジットカードが普及しておらず、EC顧客はアリババのモバイル決済サービス「アリペイ」やテンセントの「ウィーチャットペイ」を使う。

 海外はアマゾンが先進国中心に14カ国、アリババは東南アジア、ロシア、ブラジルなどに進出。海外売上比率は、アマゾンが約30%、アリババは約10%だが成長率は限りなく大きい。

 
 問題は、ECの2大巨人が既存小売業に与える影響である。米国では、最大の百貨店メイシーズが728店のうち100店の閉鎖を発表した。2017年の全米小売店の閉鎖は約1万店に及ぶ。米労働者の9人に1人が小売業に従事しており、雇用への影響は深刻だ。

 日本でもアマゾンのECは伝統的な小売業はもとより、楽天などの同業も寄せつけない圧倒的な強さである。デジタル後進国日本に、アマゾンと同じく「トップ7」が想定外のスピードとスケールで押し寄せている

 同様の脅威にさらされる欧州は、独占禁止法などの規制強化で対抗している。日本は、協調の道を探る一方、政府主導で、国内デジタル産業の育成に緊急かつ最重要政策として取り組むべきだろう。  (逗子さん)


以上


FANG・MANT

FANG・MANT
 日経新聞17年12月30日
FANG・MANT
 週刊文春17年12月28日
 不祥事であってもその後の対応がいかに大切かを教えてくれた1枚。藤吉さんはセーフ、松居さんはアウト。それにしても、太川さんといい、船越さんといい、野村元監督といい、男性の立派さが目立った。今後、松居さんにはまともな人は寄りつかないだろう。
FANG・MANT
 週刊文春18年1月18日号 林 真理子さん「夜ふけのなわとび」
 女性の林さんがほぼ私と同じ感想だったのにホッとした。林さんも松居さんにはボロクソ。
FANG・MANT
 旧香川県立中央病院解体中。解体に16億円以上かかるという。まだ跡地の売り先が決まっていないとか。
FANG・MANT
 最近の旧香川県立中央病院。金属製の窓枠などは取り外し済で、水をかけながら鉄筋コンクリートを重機で削っていて、かなり低くなっている。ここ3週間くらい見ていると、日曜日は作業を休んでいるようである。
FANG・MANT
 建築中のスーパー・ミラクルタウン郷東(ごうとう)店。
 ここも日曜日は休んでいるようである。建設業の有効求人倍率は5以上で、3K職場ということで人が集まりにくいからであろう。世の中変わってきた。





  FANG・MANT


 20年程前まで隆盛を誇った日本の電機業界はほぼ全滅に近い。日本企業はコツコツと改良するのは得意であるが、大きな絵を描くことは苦手なようである。スピードも遅い。現在世界を席巻しているのはアメリカIT企業である。

 日経新聞17年12月30日の記事をご紹介します。


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 FANG・MANT  世界を席巻する米IT8社
 8社合計の時価総額は3.6兆ドル(406兆円)に達した


 技術革新をテコに世界を席巻する米国大手IT(情報技術)企業8社の頭文字を並べた造語。

 「FANG」はフェイスブック(F)、アマゾン・ドット・コム(A)、ネットフリックス(N)、グーグルの持ち株会社アルファベット(G)の4社、「MANT」はマイクロソフト(M)、アップル(A)、エヌビディア(N)、テスラ(T)の4社をさす。

 FANG・MANTをはじめとするIT大手は情報技術や膨大なデータを駆使して新たな製品やサービスを生み出し、人々の生活や産業構造を変えつつある。

 電子商取引ではアマゾンが各国の小売業を席巻、人工知能(AI)や自動運転車の開発など新産業でもIT大手が中心的な役割を担う。

 
 世界の株式市場でもIT大手の成長が2017年の株高をけん引した。世界の時価総額順位ではアップル、アルファベット、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブックが上位5社を独占。8社合計の時価総額は3兆6104億ドル(約406兆円)と1年前の1.5倍に膨らんだ。

 アジアのIT企業も存在感を増し、中国の騰訊控股(テンセント)とアリババ集団の時価総額はともに倍増した。


以上


最強ZARAの秘密

最強ZARAの秘密
 日経新聞17年5月13日
最強ZARAの秘密
 日経MJ17年5月26日
最強ZARAの秘密
 ZARAはどこを見てもダントツ1位!
最強ZARAの秘密
 H&Mは最近香川初進出。ZARAは数年前から丸亀町にあったように記憶している。
最強ZARAの秘密
最強ZARAの秘密





  最強ZARAの秘密


 数年前からどこぞのバカがユニクロ叩きをしている。私は学生時代のアルバイトを含めて20数種類の仕事をしてきた。家族5人のうち3人が病気だったため大学へは親の援助なしで自力でいった。会社、自営合わせて数十年で年間労働時間は平均約3500時間にはなる(普通の勤労者は2千時間くらい、自営業者は3千時間くらいか)。

 現在の自営店舗の隣がユニクロである。13年以上その店舗をみてきた。店に入らなくても駐車場を見れば繁閑は分かる。月に1・2度は買い物にも行く。土・日・祝日などは大変忙しそうだが平日はそうでもない。ユニクロが突出してブラックだとは思わない(もちろん、絶えざる改善は必要)。本当のブラックは他にいくつも知っている。

 ユニクロは全く有名でなかった初期のころから知っている(松山市の山越店:やまごえてん…現在はないらしい)。その後私は東京に転勤したが、ユニクロは全く無名であった。約3年で広島に転勤した。その前後にユニクロは原宿に大きな店を出し、フリースで急に有名になり、店数、売上高も急増した。ユニクロ1号店は広島の袋町店である。広島の連中と「あのユニクロが…」と感慨深いものがあった。

 初期のころから知っている身としては、もう頑張ったんだからボチボチでいいじゃないかとも言いたい(柳井さんなんか100万人に1人のひとでしょ)のだが、個人はそうでも、企業はそうはいかない。上には上がある。ZARA(インディテックス・スペイン)である。むしろ差は開きつつある。


 日経新聞5月13日の記事を抜粋してご紹介します。


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 ZARA、自前主義の力

 物流網スペイン集約
 社内に建築家約30人

 品質管理徹底、速さ追求


 「ZARA」ブランドを展開する衣料世界大手インディテックス(スペイン)の強さが際立っている。流行をとり入れつつ低価格を誇るファストファッションは伸び悩みが指摘されるが、その中でも力強い成長力を持続。

 売り上げ規模、効率で「ユニクロ」など競合他社を上回り、時価総額でも圧倒する。秘訣は徹底した本社主義、自前主義だ。

 東京・新宿にあるZARA店舗。ワンピースやシャツなど店頭に並ぶ服は48時間前までスペインにあった。空輸も駆使して2日で世界中に届けるサプライチェーン(供給網)は、ファッショントレンドの小さな変化を逃がさないインディテックスの生命線。支えるのは、スペインに10カ所ある自社物流施設だ。

 首都マドリード近郊の18万平方㍍(54545坪)の巨大拠点では、毎日100万着の服が搬入され、世界の店舗へと発送される。人の姿はまばら。店舗ごとに振り分けた2千超のレールをハンガーにつるされた商品が通っていく。案内人は色柄などの情報を書き込んだ電子タグだ。過去4~5年で10億ユーロ(約1200億円)を物流や情報システムの技術開発に充てている。

 国外で縫製した洋服も全て一度スペインに集める。物流の非効率さよりも、配送ミス排除、品質チェックの徹底など1カ所から世界中に発送するメリットを重視する。

 世界2、3位のヘネス・アンド・マウリッツ(H&M、スウェーデン)、ファーストリテイリングも売り上げを伸ばすが、増収率や売上高営業利益率で届かない。時価総額は14兆円とほぼ3倍。一人勝ちの様相だ。


 商品面では「ものづくり」としての企業哲学が色濃く残る。
 小売りが「売り残しを嫌って多く仕入れる」のに対し、期中で機動的に生産量を調整できるのが同社の高利益率をあげられる秘訣だ。在庫を最小限に抑えられるので在庫処分のセールは少ない。

 自社工場で生地を裁断し、スペインやポルトガル、モロッコなどで縫製。再び自社工場に戻しアイロンなど仕上げを担う。インディテックスは60%を欧州など近隣国でつくる。人件費が多少高くても求められる商品を素早く、というスピード最優先の表れだ。

 店舗の内外装、什器のデザインも自社で担う。本社内にはいくつもの店舗を模した一角がある。手掛けたのは、約30人の車内建築家。世界のZARA店舗の基本思想を固める。広告宣伝を多くを投じない同社は、店舗を最大の情報発信拠点と位置づける。デザイン、色合い、材質に徹底的にこだわれる。


 「企画、生産、販売の会社だった。これからは服に関する全部のことをやる」。ファストリの柳井正会長兼社長はこう語り、今、物流や情報システムに力を注ぐ。服作りにかかわるすべての工程に自社が関わる体制を構築しようとする視線の先にあるのは、世界王者インディテックスなのだろう。 (マドリードで、岩戸寿さん)


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(感想・意見など)

 ZARAの強さは、自社でデザインから物流までこなすシステムを構築していること。全世界7千店舗以上の社員たちが、街の気になるファッションを写真で撮影して本社へ送り、良いとなれば本社でデザイン化し、約2週間で製品化し、各店舗へ送る。

 一方のユニクロは、いま、何カ月も先のシーズンの服を数百万~千万着と大量に作っている。広告宣伝に金をかける。大量見込生産、大量販売。当然、当たり外れはある。外れたら値下げしてでも売るしかない。ZARAは期中に機動的に生産量を調整できる。ZARAのほうが圧倒的にリスクは少ない。それが営業利益率の差(17.2%と7.1%)となっている。

 H&Mもファストリも当然、そのことは知っていて、今後あらゆるシステムの再構築を図ってくることは間違いない。ユニクロの今後が大変興味深い


以上


日本企業はなぜ海外M&Aで失敗するのか

日本企業はなぜ海外M&Aで失敗するのか
 朝日新聞17年4月3日
『経済大国・日本』
 毎日新17年4月21日
日本企業はなぜ海外M&Aで失敗するのか
 JPリサーチ&コンサルティング顧問。M&Aの専門家である。
日本企業はなぜ海外M&Aで失敗するのか
 日経MJ17年4月24日
 GINZA SIX 一度見ておきたい。
日本企業はなぜ海外M&Aで失敗するのか
 庭のフリージア。ツツジも蕾をつけだした。




 日本企業はなぜ、何万人~数十万人の社員が苦労して稼いだ何千億円という大金を海外M&Aで失敗し、むざむざ捨ててしまうのかと残念でならない。日本企業総計で年間兆単位になるのではないか。莫大な国富の損失であり、そのためリストラに遭う社員も万単位にのぼるはずである。そう思っていたところ、優れた論文に行き当たった。

 JPリサーチ&コンサルティング顧問の杉山 仁(ひとし)さんの16年3月16日の論文である。抜粋してご紹介します。


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 日本企業はなぜ海外M&Aで失敗するのか 


  相互信頼か相互不信か

  日本企業のM&A失敗の原因はいろいろ考えられるが、筆者の海外M&A経験に基づく考察によれば日本固有の社会と文化に一因があると思う。
 
 ここで強調しておきたいのは、筆者は日本固有の社会と文化を海外と比べて是非や優劣を論じるつもりはまったくなく、客観的事実として彼我の違いを認識し、これを日本企業によるM&Aに役立てようとする姿勢である。
 
 筆者の論点は、最近はやりのグローバリズムに基づく日本ダメ論、日本変われ論ではなく、それぞれの民族が地政学上の環境において過去数千年に亘って培ってきた文明と、それに基づく行動の違いを認識することにより、日本企業の海外M&Aの成功率を高めようとするアプローチである。
 
 日本企業の場合、M&Aや資本提携の対外交渉にあたり、相互信頼、共存共栄、長期関係の三原則を基本とすると考えられるが、外国企業は必ずしもそうではない。
 
 筆者の経験では、外国企業はM&Aや資本提携の交渉時に、いかにしたら自社の利益を極大化できるか、相手の弱みは何か、相手企業に対してどのようにしたら優位に立てるか、という姿勢で交渉に臨む。支配・被支配関係を前提とした相互不信と警戒感が先立つのである。
 
 こういう相手と交渉をする場合、日本人特有の相互信頼の精神だけでは思わぬ落とし穴に落ちかねない。M&Aの最初のプロセスであるトップ会談で、売り手の外国人社長に惚れ込んでしまう日本人社長がいるが、自分が惚れ込んでも、相手が自分のことを信頼して好きになってくれるとは限らない。当たり前のことだが、自分の会社を高く売りたいため、あるいは有利な提携条件を結びたいため、愛想よくしているケースがほとんどであろう。
 
 日本では昔から「至誠天に通ず」という言葉があり、こちらが誠意を見せれば相手も必ず誠意をもって応じるという相互信頼の精神があるが、これはおそらく外国人と接したことのなかった日本人の言葉であろう。
 
 何千年、何万年ものあいだ、土地を求めて異民族同士の殺戮を繰り返してきた一神教のユーラシア大陸の民族(およびその派生であるアメリカ)にとって、相互信頼の精神は育たないのである。
 
 メソポタミアの粘土板の歴史書にも、ある日砂漠の彼方から砂煙を上げて異民族の大軍が押し寄せ、メソポタミアの都市国家を破壊し尽くし、住民を皆殺しにした史実が記録されている。13世紀のモンゴルによる中近東と欧州への進攻もその一例である。
異民族を見たら敵だ、という発想なのであり、その考え方は21世紀の企業行動においてもユーラシアの人びとのDNAに植え付けられ、基本的には変わっていないことを認識すべきである。


 人間平等主義VS奴隷制

 江戸時代以前より、近江(いまの滋賀県あたり)商人のあいだで「売り手よし、買い手よし、世間よし」という三方よしの商売哲学があった。今風の言葉でいえば、商取引にあたってすべてのステークホルダーが得するのが商売の大原則という考え方であった。
 
 この考えは江戸時代に入って石田梅岩心学として体系化し、「先も立ち、我も立つ」という共存共栄の利を共にする精神を日本中の商人に広めたのである。現在でも日本の伝統的な企業で、社是として取引先と従業員との共存共栄を原則としている企業はいくらでもある。
 
 共存共栄の精神の基には、徹底した人間平等主義がある。日本ではこの世の人びとは皆平等である、と考えるゆえに富を分かち合うという精神が芽生えたのである。
 
 これに対して、征服した異民族を殺戮したり、人権のまったくない奴隷として酷使したユーラシアの人びとには、一神教の教えもあり、そもそも人間平等という考えはなかった。有史以来、世界中の文明圏で奴隷制がなかったのはおそらく日本だけではなかろうか。奴隷制があったかなかったかで、その文明の人びとの振る舞いがまったく異なってくるからだ。
 
 古代民主制といわれるギリシャの都市国家アテネでは、12万人の市民のほかに3万人の外国人と8万人の奴隷を使っていたことが記録されている。

 「民主主義」といっても奴隷には人権はいっさい認めず、家畜と同様に酷使、虐待、虐殺していたのがギリシャの「民主主義」の実態である。
 
 ローマ帝国に至っては、戦争で奴隷になった異民族の男をグラジエイター(「剣闘士」と訳されている)としてコロセウム(闘技場)に追い込み、同じグラジエイター同士をどちらかが死ぬまで剣で戦わせ、これをローマ市民が観覧席から高みの見物をして楽しんだ、という事実は読者もよくご存じのことであろう。奴隷は闘牛の牛と同様の扱いであったのである。
 
 有史以来、ユーラシア大陸の国家と民族では戦争に敗れた人びとは、殺されるか、家畜同然で死ぬまで酷使されるという過酷な運命が待っていたのである。
 
 この奴隷制を地理的に海外に拡大していったのが、西欧植民地主義である。16世紀のスペインによるインカ帝国征服を嚆矢として広がった西欧の世界中の植民地では原住民の人権はいっさい認められず、原住民はただ殺戮と搾取の対象であったのである。
 つまりユーラシア大陸においては勝者のみが正義、敗者は家畜同然の奴隷とされたのである。
 
 奴隷制の伝統に基づく勝者独り勝ちの精神は、アップル、グーグル、IBM、ウォルト・ディズニー等の多国籍企業が、徹底した節税スキームで税金の支払いを少なくし、この結果、積み増した利益を株主と経営者が山分けするという行動の原点となっているのである。
 
 これは日本企業が長いあいだ培ってきた「三方よし」という、人間平等主義に基づいた互恵の精神と正反対のものである。


 長期的経営か短期的経営か

 経営者個人の利益を優先するとなると、当然、短期経営志向となる。なぜなら個人が経営者でいられるのはせいぜい数年から10年程度のあいだであり、この間に会社の利益を上げ、個人の手取りを極大化する必要があるからである。
 
 最近のアメリカの企業による自社株買いも、経営者が設備投資や従業員に対する配分を削ってでも、ROEを高めることにより経営者報酬を増やしたい、という意識の表れといわれている。
 
 上位1%の富裕層が所得の9割超を獲得しているアメリカの著しい格差社会化の進行は、独り勝ち短期経営の結果でもある。
 
 これに対して日本企業の長期志向は、百年以上続く長寿企業が日本では1万5000社以上(世界で首位)ある一方で、2位はドイツで1000社以下という統計にも表れている。
 
 トヨタの水素自動車、東レの炭素繊維、ホンダのアシモロボットやホンダジェット等の世界最先端技術は、これら日本企業のすべてのステークホルダーが30年以上の超長期投資に耐えた結果であり、欧米流短期経営では絶対に開発できない技術である。
 
 一方、海外企業は超長期投資にすべてのステークホルダーが耐えるということはできず、フォルクスワーゲンの排ガス不正、GMの欠陥車放置、ノバルティスファーマの実験結果改竄等、短期でコストのかからない不正に走ってしまうのである。


 クライシス対策より組織の名誉

 以上のとおり、日本企業の行動原則として、(1)相互信頼、(2)共存共栄、(3)長期経営の3つを挙げ、日本企業にとって、これらの行動原則が通用しない海外企業と交渉する際の弱みになってしまい、これが日本企業による海外M&Aの成功率が低くなっている要因であると考えている。
 
 ユーラシアの民族の行動原則をわかりやすくいうと、「自分だけ、今だけ、金だけ」ということになり、これは日本人の「皆も、将来も、金だけでない」という行動原則と正反対のものである。
 
 筆者はこれに加え、日本文明に基づく日本企業の共同体志向が、M&A失敗の一要因ではないかと考えている。
 
 日本企業による大型M&Aの場合、社長以下会社全体で買収完遂に突っ走ってしまい、買収完遂が自己目的化してしまい、デューディリジェンスで発見されたリスクに対する対応策や、買収の基本前提となる将来収益見通しとシナジー実現可能性の慎重なチェックが疎かになってしまうことがよくある。冒頭に挙げた第一三共、LIXIL、丸紅がそのケースであろう。
 
 また買収後、トラブルが多発しても、社外はもちろん、社長と担当役員以外には社内にも知らせずトラブル情報を隠蔽してしまうケースが多い。その結果、対策が後手に回り、かえって損失が拡大してしまう。

 オリンパスの巨額粉飾事件もこうした背景があったことが明らかになっている(巨額粉飾の事実は代々の社長と担当役員のみに引き継がれていたが、これは現地採用出身のイギリス人社長が、日本から逃げてロンドン都心の警察署に身柄保護を申し出たことから発覚した)。
 まだ世間には公表されていない、こうした潜在失敗ケースはいくらでもあると思う。

 昭和17(1942)年のミッドウェー海戦で、日本海軍が大敗した情報も極秘とされ、国民にはもちろん知らせなかったし、陸軍出身の東條英機首相にもすぐには報告されなかったという話もある。海軍大将山本五十六と海軍全体の名誉を守るためであった。

 日本の大組織の場合、終身雇用制度の下、年功序列人事が現在でも支配的であり、組織の論理が貫徹しやすいため、まず組織の名誉を守ることが、当面のクライシス対策よりも優先するのである。

 組織の名誉を守るという行動は、日本人の共同体志向に基づく行動であり、江戸時代に幕府に対し各藩がお家騒動等の不名誉な出来事を隠そうとしていた史実に通底するものがある。

 またそれぞれの組織が失敗とその原因を開示せず、失敗を隠蔽する行動を取るため、M&Aリスク回避策がいつまでたっても企業社会で広く共有されず、同じような失敗がほかの企業でも繰り返されるのである。

 以上述べてきたとおり、日本と海外の企業文化の違いは、筆者は歴史と地政学要因による文明の違いにあると考えている。宗教の異なる一神教の異民族同士が土地を求めて争いを続けてきたのが、ユーラシア大陸の民族の歴史であり、これは現在でもキリスト教徒とイスラム教徒の一神教同士の終わりのない対立抗争として続いている。

 一神教の異民族同士の争いが長いあいだ続くと、当然、相互不信と警戒、支配被支配と奴隷制の世界観、勝っているあいだに収奪する短期志向等の考えが定着し、現在に至るまで、その文明の人びとの行動様式を支配しているのではなかろうか。

 これに対し、日本列島は大海に孤絶し、海に囲まれていたという地政学上の要因により、ユーラシア大陸からの異民族との武力衝突が元寇を除いてはなく、かつ多神教であったため、国内でも大規模な宗教戦争がなかったというきわめて恵まれた環境にあり、ここに縄文時代以来1万年以上に亘り、世界でもまれな日本文明が育まれたのである。

 歴史と地政学により条件付けられた文明というインフラストラクチャーは、そこに生きる人びとの文化、すなわち考え方と行動様式を規定する。ここからユーラシアの民族と日本人との文化の著しい差が生じたのである。

 グローバリゼーションという耳当たりのよい言葉に流されず、彼我の文化と文明の違いと、そこから生ずる行動様式の違いに目を向けるべきである。日本企業は自らとは異なる文明の人びととM&A交渉を行なっていることを十分に認識すべきである。

 時に、日本人の共同体志向はクライシスにあたって、クライシス対策よりも共同体組織の名誉を守ることが優先されがちであるため、これが海外M&Aのリスク要因となっていることを、日本企業は率直に認識することにより、海外M&A成功に役立てるべきであろう。


以上


プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子ほか多数。

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