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「木暮荘物語」 ★★★☆☆

木暮荘物語

「木暮荘物語」 三浦しをんさん (祥伝社) 1575円

 
 同じ著者の「神去りなあなあ日常」が面白かったこと、三浦しをんという名前(「しをん」という古風な響きがいい)、帯の惹句に惹かれて買った。
 内容は、帯裏に書かれている書店員の推薦文ほどではない(あたりまえか)。
 
 私は、かつて転勤が多く、20数年各地のアパート、マンションで暮らした。仕事が忙しかったせいもあり、どこでも近隣の人たちとのつき合いはほとんどなかった。普通そうだと思う。
 「木暮荘」はそこが違う。そこがこんなアパートに住んでみたいと思わせる所以だろう。
 
 「木暮荘…」を読んで、30数年前のT市でのアパートを思い出した。
 中途半端な時期の転勤であったため、適当な住まいがなく、やむなく国立T大学近くのボロアパートに住んだ。
 T大学の女子大生が多く、ボロアパートゆえか彼女らは1・2年住んでから他へ引っ越していった。
 新入生として入ってきて、1人の例外を除いて、あとはすべて半年以内に男を部屋に引き入れた。
 「木暮荘…」にある「ああん、ああん」である。
 大家さんの話では、例外の1人は、教育学部に入学したが、第一志望の医者になるべく受験勉強をしていたとのこと。
 合格したのか、1年で越していった。
 
 1人30代半ばの女性がいて、ある日夜中に帰ると部屋の前からガスの臭いがした。
 大家さんに連絡して合鍵で中に入ると、真っ暗な台所で人が毛布にくるまってガスのホースをくわえていた。
 発見が早かったためか、事なきをえた。
 あとで知ったが、失恋して世をはかなんだとのこと。
 彼女はすぐに追い出された。
 
 その後、M市に転勤。ある夜アパートの窓ガラスをコンコンと叩く音がする。
 窓を開けると50センチほど離れたところに隣のアパートの窓があり、見知らぬ20代の女性がいた。
 「助けて下さい。ドアの外にヘンな男の人がずっといます。追い払って下さい」
 義をみてせざるは、勇なきなり。木刀を持って(かつて剣道部員)隣のアパートに。
 酔った若い男がいた。

私「おい、女の子が迷惑してるじゃないか、帰れ!」
男「あの娘は毎日のように男を引っ張り込んでいるんです」
私「何をしようと彼女の勝手。あなたがとやかく言うことではない。帰れ!」
 彼は、ブツブツ言いながら、すごすごと帰っていった。
 翌日、彼女はお礼にウイスキーを持ってきた。
 
 その後、少しずついい住居に住むようになると、そういうふれあい(?)はなくなった。マンション内で人と会っても、ほとんどどこの誰だか分からない。
 「木暮荘物語」の帯に、「安普請ですが、人肌のぬくもりと、心地よいつながりがあるアパートです」とあるが、納得である。
 読んで損はない。
プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

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