学生も発想転換を

就職状況はますます厳しくなりそうである。
毎日新聞 11年3月29日シャープ町田会長の話から
(本文抜粋)
「大手製造業を中心に、拠点の海外移転が進んだため雇用が生まれにくくなった。生産・開発部門が移ったが、研究部門も海外移転しなければならないのではと危惧している。最先端技術の工場や専門性の高い研究拠点は日本に残るだろうが、大量な人材が必要でない分野ばかりだ。だから製造業は残っても、内定率の改善にはつながらない」
「この国を何で成長させていくのか。国は明確に示す必要がある」
「85年のプラザ合意による円高で、シャープも為替に左右されないよう海外にいっぱい工場を作った。その責任者だった私は、社長になって『この国どうなるねん』と01年1月に『日本で製造業を復活させる』と宣言した。」
「……が、08年のリーマンショックで一変してしまった。東日本大震災の影響で海外シフトの加速が懸念されるが、復興のためにも企業は冷静に対処すべきだ。日本の技術の信頼回復も急務だ。企業も腹を据えて協力するが、国の思い切った産業政策の見直しが必要だ」
「製品だけでなく人材の地産地消が進む。現地の人たちは、我々とは違った切り口で研究開発をするから魅力があるし、その国の習慣が分からなければ、製品は売れない。将来的には従業員は国内と海外が逆転する。日本は小さな本社になる」
「国内で大量に採用しなくなれば、学生も日本の中の日本の企業に勤めるという発想をやめないといけない。グローバルで活躍できるよう、人材も企業の商品戦略と同じでオンリーワンが必要になってくる」
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(感想・意見など)
以前このブログ(国際教養大学11年3月6日、「ワタクシハ」11年3月18日)でも述べたが、今後、就職状況はますます厳しくなってくる。シャープの町田会長の話もそれを裏付けている。町田会長は、01年にこのまま海外に工場を移してばかりではいけないと、三重県亀山市に大規模な液晶工場を作り、工場の国内回帰の流れを作った人。
しかし、またしても流れは変わった。リーマンショック、東日本大震災などで、大企業といえども余裕がなくなっている。企業は、即戦力の少数精鋭を求めている。
就職状況は大変厳しいとはいいながらも、国際教養大学、ICU、APU、早大・国際教養学部、立教・経営学部など、国際的に活躍できる人材や、対人折衝能力があり自立した人材を育てている大学・学部は、ほぼ100%近い就職率を誇っている。
いまや有名企業・大企業の大半の目は、縮む国内より世界に向けられている。そういう企業に就職したいのなら、それなりの人間にならなくてはならない。
そうでないなら、多様な中小・中堅企業に目を向けるべきである。まずは人に会い、様々な業界を見て研究をすれば、いろいろ面白い企業がある。まず、そこに入って一生懸命働くことである。最悪の選択は、就職浪人、フリーターになることである。
(追記)
朝日新聞 2011年6月15日 ファーストリテイリング柳井正会長兼社長のインタビュー記事。
「数年後は海外で毎年、300店舗を出せるようにしたい。そのためには正社員が必要。世界全体の採用数はいまの2倍近い約2500人にまで伸ばし、日本の採用数はうち250人くらいで横ばいになる」
また柳井さんは、常々、海外で働きたくないという人はうちでは要らないと、公言している。