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「ビッグツリー」 ★★★★★

「ビッグツリー」

 「ビッグツリー」 佐々木常夫さん (WAVE出版) 1365円

 
 この本は、佐々木さんが、、WAVE出版の玉越社長に「世の中の重荷を背負っている方たちに勇気と希望を与えるため本を書いてみませんか」と、勧められて書いた本である。

(佐々木常夫さんの略歴)

 1944年秋田市生まれ。6歳で父を亡くし、4人兄弟の次男として母の手ひとつで育つ。
 1969年東大経済学部卒業、同年東レ入社。
 自閉症の長男に続き、年子の次男、長女が誕生し、結婚して3年で3児の父になる。自閉症の長男俊介さんはしばしば問題を引き起こし、対応に追われる。妻の浩子さんは、肝臓病がもとで入院を繰り返すうち、うつ病を併発し、何度か自殺未遂をする。43回もの入院をした妻浩子さんも、最近は回復しつつある。

 すべての育児・家事・看病をこなさなくてはならない過酷な日々の中でも、仕事への情熱は衰えず、仕事と家庭の両立を図り、大阪・東京と6度の転勤、破綻会社の再建やさまざまな事業改革に取り組み、2001年、東レ同期トップで取締役となり、2003年東レ経営研究所社長現在は同社特別顧問


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 私自身、若い時から家族に病人が多かったこと、会社員として仕事に追いまくられてきた経験から、佐々木さんの本を、ひとごととは思えず読んできた。それでも、この本を読むまで知らなかったことがあった。

 それは、佐々木さんが戦友とよぶ長女美穂子さんのことである。美穂子さんは、小学生のころから、食事づくりや買い物などでお父さんを助けてきた。高校を卒業し全寮制の看護学校に進み、卒業間近にいろいろなことで悩み、自殺を図ったという。美穂子さんばかりでなく、次男の啓介さんも、小学生のころから家族のことで小さな胸を痛めてきたのだろう。それにしても、懸命に生きている人の上に、なぜこんなに次から次へと難題が降りかかってくるのだろう。涙なしには読めない。

 佐々木さんは別のところでこういうことも言っている。

 「ハンディを持っている人はどのくらいいるかと言うこと。身体障害者は日本に350万人いる。うつは500万人いると言われている。自閉症は100万人認知症は200万人になろうとしている。アルコール依存症は240万人いるそう。こういう人を足しあげたら2000万人をあっという間に超えちゃう。日本人の5人に1人が何らかのハンディを負っている

 「にもかかわらず、この世は健常者だけで構成されているように見えるそれはみんな言わないから。そういう重い荷物を背負った人がどれだけ沢山いるかみんなそれを誰にも打ち明けられずに苦しみながら、家族だけが共有しているかもしれないが、必死に生きて頑張って、それで結果が出ない人がどれだけ沢山いるのかということ

 佐々木さんも、長い間家族のことは内密にして、自分と家族だけで戦ってきた。しかし、妻が最初の自殺未遂をした時に、万一のことを考えて会社の回りの人たちに家庭の深刻な事情を話さざるを得なくなった。すると、周りの人たちは、佐々木さんの行動を理解したり支援してくれたという。さらに、「実は娘がうつ病で」「息子がダウン症で」などと、こっそり打ち明けてくれた人が実に多かったという。

 私も似たような経験がある。二十数年間勤めた会社を早期退職する時、私が退職するのが意外だったらしく色々な人から事情を聞かれた。事情を話すと、「実は自分も……」という人が結構多かった。色々な事情を抱えながら、職場に家庭の事情は持ち込まないという人が実に多い。日本的?美風ではあるが、5人に1人がハンディを抱えているという時代に、実際はそうもいっていられないのではないか。

 対処法としては、ケース・バイ・ケースで一概に言えないが、

・柱となるべき人の心がけととしては、「運命を引き受けなさい。それが、生きるということです」「『それでもなお』という言葉が君を磨きあげてくれる」をモットーに、気を強く持つ。覚悟する。正面から立ち向かう。

・夢中になれる仕事・趣味などをもつ。なまじ暇があると悲観的な考えがグルグル舞いしてロクなことはない。無理しない範囲で忙しく立ち働いたほうがいい。

・可能な限り事情をオープンにして、周りの理解と支援をお願いする。公的な支援があればそれを利用する。

・同病者の会(佐々木さんの例だと自閉症者の会)に入会する。色々な情報が入るし、時にはお互い助けあえる。悩んでいるのは自分だけじゃないと分かるだけでも救われる部分がある。

・負担を決して1人の人に集中しない。分担すべきである。柱は何本もあったほうがいい。

・会社や周りの人たちは、出来る範囲で支援する。

 などが考えられる。

                                              

 
プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

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