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「図書館戦争」シリーズ ★★★★☆

「図書館戦争」シリーズ

 「図書館内乱」


 「図書館戦争」シリーズ 有川浩さん (角川文庫) 各700円

 荒唐無稽な物語である。しかし、虚構なりに、よく調査研究して細部まで作り込まれているため、リアリティがある。なにより登場人物がいい。会話が面白く、人間の心の機微が見事に描かれている。
 作者が女性のためか、特に女性の心の機微がよく描かれているように思われる。

 主人公で無鉄砲な笠原郁(いく)のお母さんである寿子。寿子は、娘の郁を狭い自分の基準で勝手に量って「愛しているから心配だ」という美しい理由で、自分の基準を押し付ける。それを鬱陶しがる娘。よくありそうだ。

 寮で郁とルームメイトで美人の情報通、柴崎麻子も魅力的な存在。同僚の広瀬という女性が、部内のある先輩男性を好きで、その男性は柴崎に気がある。広瀬は、自分の恋を適えようと、いろいろ策謀する。女性の場合、こういうこともありそうである。

 柴崎は、美しいことが原因で過去にいろいろあり、今では処世として、真の自分を隠し、八方美人に徹している。美し過ぎると周りが放っておかないので、それはそれで大変なのかもしれない。

 郁は陰謀に巻き込まれ査問会にかけられる。査問会終了後、寮に帰ると、みんな微妙な距離を取って、寮内の空気はいたたまれない状態に。針のむしろ。「こういう問題が起こると女子の方がきついですよ、やっぱり。良くも悪くもネットワークが強くて保守的なイキモノだし」

 小牧幹久副班長が、未成年身体障害者(小牧の幼なじみの女子高生)への人権侵害行為という容疑で査問会にかけられることになった時の郁の啖呵―

 「好きな男が窮地に落ちてんのよ、自分の望んでない勝手な理由で!そんなこと耐えられる女なんかいるわけないでしょ!?そんなの知りたいし助けたいにきまってんじゃない!」

 「朴念仁は黙っててください!恋愛の見立てで女に敵うと思ったら大間違いよ!」

 「あたしだったらそんなの絶対我慢できない、最初に教えてもらえないほうがずっと傷つく!知らないとこで黙って勝手に痛めつけられて、それを後から知らされる女の身にもなってみろってのよ!」

 男性の登場人物は、有川浩さんの「男性はこうあってほしい」という願望が、それぞれに投影されているように思われる。

 小・中学生のころの有川浩さんに会ってみたい。どんな女の子が長じてこのような物語を書くようになるのか?人間に興味があり、いつも周りをじっと観察し、空想好きな子どもだったと思われる。

 
 文庫本は、いま現在「図書館戦争」と「図書館内乱」が同時発売中。シリーズ残り4冊は、毎月25日ごろに発売予定(5/25~8/25)。単行本は全巻発売中(アスキー・メディアワークス刊)。
 
 既刊の2冊では「―内乱」がいい。第3弾以降が楽しみである。
 たいへん良質なエンターテインメント。

 
 映画化決定!2012年夏放映予定。

 

 
プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

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