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「絆回廊 新宿鮫Ⅹ」 ★★★★☆

「絆回廊 新宿鮫Ⅹ」

 「絆回廊 新宿鮫Ⅹ」 大沢在昌(ありまさ)さん (光文社) 1680円

 
 大阪地検・特捜部により冤罪を着せられそうになった厚労省の村木厚子さんが、164日に及ぶ拘置所生活中に読んだ本について『オール讀物』11年3月号に「私を勇気づけた百五十冊」と題して寄稿している。

 そこに今野敏(こんの・びん)の『果断 隠蔽捜査2』が挙げられ、ほかにも安積警部補シリーズなど今野作品が計7冊入っている。村木さんは、今野作品の主人公たちを、「組織の論理と闘い、人間関係に悩みながら、その中で『守るべきもの』『曲げてはいけないもの』をしっかり守っている人間」と評価している。

(この時、村木さんは、「守るべきもの」「曲げてはいけないもの」をまったく守らない人間たちによって、調書を偽造され、証拠を改竄されようとしていた。幸運と努力により、検事によるフロッピー・ディスクの改竄が判明したが、それがなかったら、村木さんは今頃どうなっていたか。冤罪に泣いている多くの人々がいることは間違いない)。

 大沢在昌さんの「新宿鮫シリーズ」にも同様のことが言える。主人公の鮫島はもちろん、恋人の晶(しょう)、上司の桃井課長、鑑識の藪、時にはやくざ、やくざの女、おかまバーのママなどそれぞれが、「守るべきもの」「曲げてはいけないもの」をしっかり守っている。そこに、熱くなり、共感し、こころ優しくさせてくれるなにものかがある。

 同じような警察小説の書き手として堂場瞬一(「刑事・鳴沢了シリーズ」など)がいるが、私は彼とは感覚が合わない。「普通そこでそういう風には考えないだろう」と思ってしまうことが多過ぎる。主人公の考え方・行動にいちいち引っかかって、共感できない。違和感がある。堂場作品はパスすることにしている。

 大沢作品、中でも「新宿鮫シリーズ」は、安定している。読んで損したと思うことがほとんどない。一旦はカッパノベルスになってから購入しようと決めていたが、我慢できずに単行本で購入してしまった。

 予想にたがわず、面白かった。良質なエンターテインメント。半日充分楽しませて貰った。★★★★☆(星4っつ!)。

 
プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

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