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「日本中枢の崩壊」 ★★★★★

「日本中枢の崩壊」
「日本中枢の崩壊」

「日本中枢の崩壊」 古賀 茂明さん (講談社) 1680円

「官僚の責任」 古賀 茂明さん (PHP新書) 756円


 現在の公務員制度は、「公務員が国民のために働く仕組み」になっていない。例えば、国家公務員は、自らの利益のために、それぞれが属する省あるいは局という組織(互助会)のために、働いている。「省あって国なし」「局あって省なし」。これを改めなければ、日本は衰退の一途をたどる。 

 私は、20数年間の会社員生活の大半を経営管理・経営企画部門で働いた。自分で言うのもおかしいが、常に、どうすれば会社が良くなるかばかり考えて、よく働いた。

 通常、5年後の社会がどうなっているかを想定し、3年間の中期経営計画(中計)を立案した。社会の変化の半歩先を行くことを心がけた。変化変化の連続であった。ある年など中計の3年目であったにもかかわらず、来期以降の組織変更を打ち出さなかったときがあり、他の部門の人たちから「あれ、今年は組織変更とかしないの」と不思議がられた。そのくらい変化することが当然とされていた。

 実際、私が属した会社名も、合併・分割などで4~5回変わった。属した会社の規模も、100人未満から5千人弱までさまざまであった。

 今でもはっきり覚えているのが、98年ごろだったと思うが、人事部から社員の年齢別人員構成表のグラフを見せられた時のこと。団塊の世代のボリュームが圧倒的に大きかった。昭和30年代生まれ以下はずっと先細り。

 この一枚のプレゼン資料を見せられた時、私の改革魂のスイッチが「カチッ」と入った。自らの属する団塊の世代をリストラしなければ、会社は生き残れない、と確信した。

 退職する社員にあまり不利になることなく、フリクションを最小にすることにも心を砕き、積極的にリストラを推進した。余裕があるうちにリストラしたほうが、会社・社員ともに傷が小さくてすむと考えた。自らも、他分野に挑戦したい気持ちや、家庭の都合もあり、数年後に退職した。

 結局、団塊の世代で定年(60歳)まで会社に残ったのは一割程度。世代交代の改革は成功したと言える。

 そんな変革に前向きな会社であっても、このところ苦戦しているようである。民間企業の生存競争は、かくも厳しい。成功体験が次の失敗のもと。

 真空管時代のトップ企業が、半導体時代に乗り遅れる。ブラウン管テレビのチャンピオンが、薄型テレビにあっという間に駆逐される。そんな事例は、掃いて捨てるほどある。世界は急激に変化し続けている。Change or Die。ぽやぽやしていても定年まで残れる役所とは違う。


 
 私は、社会人になってから、仕事柄、大学時代の専攻とはほとんど関係ない経営学、経済学、法律、簿記などを学んだ。日経新聞、週刊ダイヤモンド、東洋経済、エコノミスト、日経ビジネスなどもよく読んだ。堺屋太一さんの本もよく読んだ。

 堺屋太一さんは、著者の古賀茂明さんの経済産業省(旧通産省)における20年くらい先輩である。その堺屋さんが20数年前から力説していたのが官僚主導の打破であった。
 
 1980年代後半に日本は世界のトップランナーになった。明治維新以来、日本は欧米に追いつき追い越せでやってきたが、もう見習うべき手本はない。これからは自らが考える時代、知恵の時代、「知価社会」になる。官僚統制のくびきから日本を解き放たない限り、これからの日本の発展はない、と説いた。まさしく、歴史の流れはその通りになった。

 世界は激変した。1990年ごろに社会主義は敗れ、世界の市場は一つになった。30億人が60億人になった。20分の1、30分の1の安価な労働力が大量に供給された。工場は新興国に移転され、先進国は失業者(特に若者)であふれた。労働者は消費者でもある。少し遅れて、新興国で消費財、資源の爆食が始まった。

 一方で、ほぼ同時期に、コンピューター、インターネット、携帯電話などの情報通信(ITC)革命が急速に進展した。マイクロソフト、インテル、グーグル、デル、アップル、アマゾンなどの企業が次々と興った。欧米の中産階級の仕事が、どんどんインドや中国やフィリピンなどに移っていった。

 まさにこの時、日本の土地バブルが弾けた。土地は絶対に値下がりしないという土地神話が崩壊した。その土地を担保に、金融機関は無茶な貸し付け競争をしていた。日本経済は、深手を負った。

 本来なら大手術をすべきなのに、膏薬(大量の国債発行や長期低金利)を貼って、だましだましやってきた。覚悟をもって変わろうとしなかった。ゾンビ企業は政治家や役所に泣きつき、役所は、倒閣をしてまで、自らの変革に執拗に抵抗した。日本の国債・公債の発行総額はまもなく1000兆円。このことが、ゾンビ企業を生きながらえさせ、また、世界に大量のホームレスマネーを生み出し、世界経済の混乱に拍車をかけた。


 
 毎日新聞11年7月18日「風知草」欄 山田孝男さんのコラム。

(見出し)
どうにも止まらない

(本文抜粋)
 「ダメとわかりきった作戦で亡国に至った歴史があった。太平洋戦争だ。航空決戦の時代と知りながら、日本は大鑑巨砲主義に固執して負けた。なぜか。元航空参謀、源田実の回想が興味ぶかい」
 『大砲がなかったら自分たちは失業するしかない。……大鑑巨砲主義に立って築かれてきた組織を変えることになるわけですから。人情に脆くて波風が立つのを嫌う日本人の性格では、なかなか難しいことです』


 
 使用済み核燃料を再処理、プルトニウムなどを取り出す核燃料サイクル事業。1967年に起案され80年代に実用化されるはずが、事故続きで、今は「2050年」がメドと言いだした。費用も19兆円とも場合によっては50兆円とも。全く実用化のめどが立っていないのに、日々莫大な金が費消され続けている。

 このことにより、政・官・業・学などが莫大な利益を得ている。天文学的な損失を出しても恐らくだれも責任をとらない。ツケは国民に回される。真の国益を考え核燃料サイクルに反対した経産省の若手官僚は、左遷されたり、退職させられた。

 多くの公務員は、国民のためではなく、自分たちの役所(互助会)の利益のために働いている

 天下りをすれば70歳くらいまで生活を保障される公務員にとって、天下り先を増やし、そこに(無駄な)金が落ちる仕組みを作ることが、彼らにとって最大の利益。そういう仕組みを作った者が、出世する。

 人事院や内閣法制局や総務省行政管理局や裁判所もしょせん役所。亡国への途と知ってか知らずか、その仕組みを支える。

 7月22日総務省の発表では、同一省庁の出身者が3代以上連続で天下りしている公益法人、独立行政法人などの役員ポストに限っても、2010年4月で1285法人1594ポスト。

 電力会社の役員・顧問に再就職した経産省幹部は、過去50年間で68人。本気で電力会社の改革などできるわけがない。

 「失われた20年」を脱し、日本が再び立ち直るためには、1940年体制の打破、公務員制度改革が必須。古賀さんの言う通り「公務員が国民のために働く仕組み」に変えなければ、日本の再浮上は絶対にない

日本は崖っぷちにある。Change or Die。


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 以下の著者の本をお薦めいたします(順不動、敬称略)。

・堺屋太一 ・大前研一 ・P・F・ドラッカー ・トーマス・フリードマン ・竹中平蔵 ・橋洋一

・岸博幸 ・原英史 ・猪瀬直樹 ・屋山太朗 ・田中一昭 ・住田正二 ・北沢栄 ・長谷川幸洋

・渡辺善美 ・江田憲司 ・若林亜紀 ・プロジェクトK(新しい霞ヶ関を創る若手の会)

プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

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