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震災後の復興もバラマキが有効

震災後の復興もバラマキが有効
東日本大震災


 大和総研の原田 泰(ゆたか)顧問は、自分の頭で考える人である。通説を常に疑っている人。

 その原田さんが、山陽新聞(共同通信配信?)11年7月31日に一文を寄せている。ご紹介いたします。


(見出し)

増税でなく事業精査を

(本文抜粋)

 東日本大震災からの復興基本方針が決定された。当初5年間の復旧・復興対策規模は19兆円、10年間では23兆円を見込む。当初5年間の財源として歳出削減や、事実上の増税となる「時限的な税制措置」などによって13兆円を確保するとしている。

 二つの点で疑問がある。第一は、規模が大き過ぎること。岩手、宮城、福島の3県でも、内陸部に入れば被害は限られている。震災でひどい被害を受けた人は、50万人程度

 復興費23兆円というと、50万人の被災者1人当たり4600万円の復興費をかけることになる。道路や橋、港湾、工場、船舶、住宅など日本全体の物的資産額は1237兆円。国民1人当たりに換算すると約1千万円。なぜ1人4600万円の復興費が必要になるのだろうか

 それは、例えば山を削って高台の宅地を造成しようとしているからだ。造成費は1戸当たり2千万円以上に上るだろう。被災地でそんな高い土地を買う人はいない。

 時間もかかる。被害が激甚だった地域は、農業と漁業と観光が中心産業である。個人の生産手段や住宅の再建を直接援助すれば、素早い復興が可能になる。5年も年月をかければ、働ける人は仕事のある場所に移動してしまい、地場産業を復興することはできなくなる

 阪神大震災でも、最も被害の大きかった神戸市長田区の商店街は、広すぎる商業施設を造った結果、テナントが入らず、空き店舗が目立つ。

 第二は、財源を歳出削減、国有財産売却などにも求めているが、大半は増税で賄うしかないこと深刻な被害を受けた50万人に、1人1千万円を配っても総額は5兆円で済む。それなのに23兆円もかけて復旧・復興事業を実施し、その財源として増税するのは問題。必要なのは、増税ではなく、本当に必要な復旧・復興事業を精査することだ

 高台に住宅地を造らなくても、海抜の少し高い山裾の地域に住宅を造れば、津波に襲われても被害が少ない。個人に住宅の再建費用を直接援助すれば、納税者にとってはより負担が軽くなり、被災者にとっては、より早く生活を再建できる。

 増税して必要性の低い事業を実施すれば、被災地を含めて病み上がりの日本経済をさらに痛めつけることになる。増税で造られた造成地に人は住まない。住まわせるためには、2千万円もかけて造成した土地を安値で売るしかない。復興費はさらにかさみ、いくら増税しても足りなくなる。

 国会議員には、被災者への直接援助を含めた支援を検討してもらいたい。


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(感想・意見など)

 政府の復興基本方針は、新聞を読んだだけで、詳細は知らない。しかし、原田泰さんの主張通り、道路、橋、港湾などのインフラ資産が日本の国民1人当たり1千万円に対し、今回の復興予算の1人当たり4600万円(総額23兆円)はいかにも多すぎるように思う。

 5~10年先には、造成した高台に立派な役場や公民館や学校や病院や介護施設はあるが、宅地は空き地だらけ、ということになりかねない。潤うのは、ゼネコンや、それに連なる政治家や、焼け太りの官僚や官僚OBのみ、ということになりそうである(ウルグァイ・ラウンドの農業対策費6兆円余は一体何に使われたの?農業は衰退の一途ではないか!))。

 被災された方の立場にわが身をおき替えてみると、3年先はこうなる5年先にはこうなるという希望(納得のいく計画)と年間数百万円の収入(仕事)が必須。それがかなえられそうにないならば、古里を放棄し離散するほかない。時間も大問題。ある程度の個人に対するバラマキもやむを得ない。その方がかえって、時間、費用ともムダが少ないように思われる。


 今日(11年8月7日)の朝日新聞日曜版GLOBEの特集は「災害復興」。ニューオーリンズ、クライストチャーチ、竜巻に襲われた米グリーンバーグ、インドネシアのバンダアチェ、ハイチの5か所を取材している。

 いずれも容易ならざる事態ではあるが、政府の取り組み方、政治の安定度、資金のあるなし、リーダー、住民の主体的参加などの如何によって、明暗が分かれている。タイムリーな企画。ぜひご一読を。

 
プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

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