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方正県の慰霊碑撤去について

方正県の慰霊碑撤去について
 中国黒龍江省方正県の満蒙開拓団慰霊碑


● 朝日新聞11年8月25日「声」欄 76歳男性の投書から

(見出し)

中国の慰霊碑撤去 胸が痛む

(本文抜粋)

 中国の黒竜江省方正県で満蒙開拓団の慰霊碑が撤去されたと聞き、胸が痛みます。

 1945年私は中国の新京(現在の長春)に住んでいました。9月、10月にかけて多くの開拓民が着の身着のままで逃れてきました。飢えと寒さで多くの方が亡くなり、毎日馬車に積まれ、郊外の野原に土まんじゅうの列を作っていました。

 私たち日本人が中国の方々の農地を強制的に奪ったのであり、我々日本人が加害者であったことは事実です。しかし、開拓民たちもまた、国策にほんろうされて、放り出された犠牲者なのです。約27万人の開拓団のうち7万人以上が飢えと寒さで死にました。

 この歴史を踏まえた上で親日的な立場であった方正県で、慰霊碑が破壊されたことは、残留孤児らにとってどんなにかショックでしょうか。

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● 毎日新聞 11年8月18「木語」欄 金子秀敏専門編集委員の記事から

(見出し)

やはり、あの圧力

(本文抜粋)

 中国・黒龍江省方正県にある日本人開拓民の慰霊碑がパワーショベルで粉砕され埋められた奇怪な事件。……共青団系の中国青年報が「なぜ方正県はこっそり碑を壊したのか」という調査報道をしていた。

 記事は、まず方正県と日本の特殊な関係を紹介する。方正県には、終戦後、難民化した日本人開拓民が多数流れ込み、ここで約5000人が死亡、生き残った約5000人が残留孤児や残留婦人となって定住した。

 1972年、日中国交回復後、残留孤児が日本に戻り、その縁で、中国人の親戚が日本に出稼ぎに行く日本渡航ブームが起きた。とくに若い女性は、日本人との結婚という形で日本に多数移住した。

 現在、日本で暮らす方正県出身者は4万人、日本から県に戻った帰国者が6万8000人。県の人口の48%を現と元の在日華僑が占めている。東日本大震災では3000人が帰国した。財産を持って帰国したので方正県の消費が拡大した。

 方正県の預金残高は40億元(約480億円)で、中国に2861ある県のなかで第3位だが、その8割は在日華僑の送金である。在日華僑資本の地元企業は40社。…方正県中心部の地価は1平方㍍3000元(約3万6000円)。…地方都市としては破格の値段。

 日本との関係を生かして、県当局は「在日華僑のふるさと」というコンセプトで町おこし戦略を策定。街路樹にサクラを植えたり、商店の看板に中国語と日本語を並記させている。(これが、媚日攻撃の材料になった)

 さらに県当局は「在日華僑のふるさと」のシンボルとして70万元(約840万円)を投じて慰霊碑を作った。中央政府の許可も得ていた。

 だが、完成するやネット上で「方正県は売国奴」攻撃が起き、6日後に県政府自身の手で碑を壊した。

 圧力はあったのか、中国青年報の記者に県当局はこう答えている。「言いたいことはあるが、共産党中央宣伝部と外務省に静かにしてろと言われています」。


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(感想・意見など)

 この件に関して、「どういうことだろう?」と疑問に思っていた(高速鉄道事故の件もあったし)。
 
 毎日新聞の金子編集委員の記事で背景がよく分かった。

 
 ①朝日新聞男性の投書は、日本人としてまっとうなものに思える。

 一方、②方正県の県当局の町おこし戦略もよく分かる。方正県は日本との特殊な関係が特色といえる。江戸時代でも全国300余の諸藩は、それぞれの特色を出そうと競い合った。現在の日本でも都市・地域間競争は激しくなるばかり。魅力のない都市、経済力のない地域は、衰退するしかない。

 また、③ネット世論は、無責任なところもあるが、それを割り引いても、「媚日、売国奴」呼ばわりしたくなる気持は分からないでもない。四捨五入もしくは三捨六入して言えば、日本が侵略したことは間違いがない。

 ある意味、微妙な問題だけに、方正県はやりすぎた。時期が早過ぎた。
 若い人には分からないだろうが、十数年前に今の日韓関係は予想できなかった。「韓流ブーム」など思いもしなかった。国と国との関係も変わりうる。

 奢ることなく、謙虚な気持ちで、希望をもちたい。
プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

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