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「憂鬱でなければ、仕事じゃない」 ★★★★☆

「憂鬱でなければ、仕事じゃない」

「憂鬱でなければ、仕事じゃない」 見城徹さん/藤田晋さん (講談社)1365円


 見城さんの会社である幻冬舎と、藤田さんの経営するサイバーエージェントは、合弁で会社を作っている。その会議で、見城さんが「憂鬱にならない仕事なんて、たいした仕事じゃない。大きな仕事に挑んでいる時は、いつも憂鬱なもんだ」と発言した。その言葉が藤田さんの心に突き刺さった。

 
 藤田さんがその言葉をツイッターでつぶやいたら、フォロワーからとんでもない数の反響が寄せられたという。「そうだ!その通りだよなぁー」と、大勢の人が励まされたに違いない。

 ユニクロの柳井社長も、「ビジネスは、辛くて苦しい。しかし、それは正しいということだ」と言っている。

 二人とも会社員を経て、自分の会社を創業した。会社員時代というのは、組織で働くためのベースを作るという意味で、大切である。民主党の不様さを見て、強く思う。二人とも、会社員時代から、自分の会社を創業することを考えていた。このことは、一生会社員でいいという人と、圧倒的な違いがある。

 見城さんは、何度も「凄まじい努力」「圧倒的な努力」ということを言っている。
 
 藤田さんは、会社を立ち上げた時、週百十時間働いた。土日はなく、平日は朝九時から深夜二時まで、人間の働ける限界まで働いた、と言っている。

 私もそれに近い経験がある。私の経験では、年間労働3500時間くらいから心身ともにおかしくなり、4000時間を超えると、走っている電車を見たり、高いビルにいる時に「今、思い切って飛び込むと、楽になるだろうなぁ」と、一瞬考えたりするようになる。

 藤田さんはこうも言っている。「勝利するまでの過程は想像を絶するものがあるし、勝つためにはそれ相応の代償が伴う。だからこそ、会社を作った時の苦労は二度としたくないという人が多い。……多くのことを犠牲にし、信じられないほど辛い思いをしなければならない。僕自身も、その頃のことを思っただけで吐き気を催しそうになります

 「それでも僕は、もう一度、裸一貫から会社を立ち上げてみたい気がする。そして、もっとうまくやれる自信がある(見城さん(60)によれば、それは僕がまだ若い(38)からだそうです)。……ただ、今なら、怖くてできないこともあるでしょう」

 私は二十数年間の会社勤めのあと、家庭の事情もあり、早期退職し、小さな会社?を立ち上げた。準備期間も含めて前後3年半は、見城さんや藤田さんに近い状態であった。ワークライフバランスなどと甘っちょろいことは言っていられない。1から100まで全部自分でやり切るしかない。

 見城さんはこうも言っている。「大手出版社など、大企業にいた人は、独立すると、たいていうまく行かない」「僕は、ある時から、大手出版社にいた人を中途採用しないようにした。ブランドの下で仕事をしてきた人は、厳しい環境に置かれると、驚くほど仕事ができない

 「小さな出版社でやってきた人のほうが、地力があることが多い」
 「ノー・ペイン、ノー・ゲイン

 これもよく分かる。私のいた会社はしょっちゅう組織改革をしていた。そうしないと競争に負け、時代についていけないから。
 例えば、高速道路やバイパス道路ができて便利になると、直ちに営業拠点や配送拠点を統廃合し、拠点と人員を削減し、コストセーブに努めた。会社自体も、何回も分離したり、合併したりした。属した会社名も4~5回変わったはず。

 小は80人規模から、大は5000人弱規模まで。小さい時代の方が長かった。東京に転勤になった時に、何の仕事でもできるので、何人もの人に驚かれた。
 それはそうだろう。東京の人が5~6人で分担してする仕事を、こちらでは1人でしていた。6人制バレーボールを1人で戦っていたようなもの。しかも球は1個じゃない。同時に2個も3個も飛んでくる。やれなければ、辞めるしかない。自然と鍛えられる。

 だから、のちに会社を興す時に、特に困らなかった。少し困ったのは、相談できる適当な税理士、弁護士がいなかったこと(産業医を含め、こういう専門家がいるのは大企業のメリット)。

 この激動の時代、右肩下がりの時代、グローバリゼーションの時代において、大企業、公務員といえども明日はどうなるか分からない。今後何十年間安泰ということはまずあり得ない。逆に、上記大手出版社の人の例のように、世間で使いものにならないゆでがえるになっている可能性がある。安住すべからず!

 
 大変共感した見城さんの言葉は、「結局、人は自分のスケールでしか、物事をはかることができない」というもの。そういう意味で、以下は、私には、恐らく一生分からないこと。
 
 見城さん:「ビジネスに成功すれば、今までのスケールでは測れない驚くべき光景が眼前に現出する」  「……僕は、夜うまいワインを飲むために仕事をしているといっても過言ではない」

 藤田さん:「実際金を持つと、金などどうでもよくなるものなのです」「ある所を目指して頑張るプロセスこそが、一番面白いということに気づかされる」
 「プレッシャーから解放され、達成感とともに一人でいいワインを味わう時こそ、僕の至福の時と言える」


 松下幸之助さんは、数十代末の子孫までが働かなくてもいいくらいの財産を残したと思われるが、死の間際まで、自分が興した会社の行く末を按じていたという。

 
 働くとは?仕事とは?生きるとは?見城さんの主張に「極端」なところもあるが、深い本である。
プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

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