「速水史朗展」 ★★★★☆
上段:「リサとガスパール&ペネロペ展」(高松市美術館) ~10月16日(日) @1000円
下段:「速水(はやみ)史朗展」(香川県立ミュージアム) ~10月10日(月) @800円
実は、間違えて紺屋町の高松市美術館に行ってしまいました。「リサとガスパール&ペネロペ展」を開催していました。地下駐車場に車を入れてしまったので、なじみはありませんでしたが、見てみることにしました。
ドイツ生まれのゲオルグ・ハレンスレーベンさん(♂)とフランス生まれのアン・グットマンさん(♀)のカップルが作っているようです。絵本も30冊以上出ているとのこと。それなりに楽しめました。自分にも描けそうだなという不遜な考えが時々頭をもたげてきましたが……。
あらためて、玉藻町の香川県立ミュージアムの「速水史朗展」に行きました。速水さんは、香川県多度津町生まれ、国内外で活躍中の83歳の彫刻家です。40年近く多度津町や善通寺市の中学校・高等学校の教職の傍ら、制作に励まれました。瓦、石、漆、肥松(こえまつ)などを素材に作られた作品は、どこかあたたかい。おもわず触れてみたくなります。
2階ホールは吹き抜けのガラス張りで、眼下に玉藻城の建物や庭、遠景にサンポート高松の高層ビルや瀬戸内海を背景として、「海の形」が並べられていました。どうしても写真が撮りたくて係の人に聞いてみると、ダメとのこと。残念。無念。
速水さんの作品を見て、なんとなく懐かしい気がすると思っていたら、飛行機で高松に帰省する時に窓から見える讃岐平野を思い出しました。ポコポコと大小のおにぎり山が散らばっている間に、無数の丸いため池が太陽を反射してキラキラ光り、少し離れた瀬戸内海が青く穏やかに凪いでいる……。間違いなく、速水さんは、讃岐の風土が生んだ人です。
2階の別の部屋では、高松市生まれの「藤沢章(あきら)展」を開催していました。藤沢さんは、外洋航路の無線士として航海する中で出会ったアラブの地に惹かれ、「砂漠の画家」と呼ばれているとのこと。私は全く存じ上げませんでしたが、これも良かった。特に、県立ミュージアム所蔵の大作に見ごたえのあるものが多かったように思います。
「弘法大師空海の生涯と事績」、3階の「かがわ今昔―香川の歴史と文化―」も見応えがありました。弘法大師空海さんは善通寺の出身です。因みに善通寺の善通は、空海さんのお父様の名である善通(よしみち)から採られたと聞いたことがあります。
そのあと1階に下りて、速水さんの大作「川のある風景」を見ました。いいですねー。
イサム・ノグチの彫刻も3点見ました。イサムさんは香川県の庵治町(庵治石の産地)に工房を設け、沢山の作品を作りました。今は「イサム・ノグチ庭園美術館」になっています。
そういう関係で、香川県はイサム・ノグチの作品をかなり所有しているそうです。3ヵ月ごとくらいに作品を展示変えしているとのこと。
ミュージアムショップで「速水史朗展」図録と「高松松平家博物図譜 衆芳画譜 花卉 第四」を購入しました。
高松松平家に伝来する魚類の図を収めた「衆鱗図」、鳥類を描いた「衆禽画譜」、植物図を集めた「衆芳図」、「写生画帖」は、博物学に造詣の深かった五代藩主松平頼恭の命により平賀源内が関わって制作されたといわれ、後世の博物図譜に多大な影響を与えたといわれています。いずれ、すべて集めたいと思っています。
そのあと玄関の外に出て、池の中にある速水さんのアーチ状の作品を見て、帰路につきました。充実した半日でした。
以上