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TPPと日本農業

TPPと日本農業
(秋色の香川県立図書館)

 「TPPと日本農業」に関して、私の考え方とよく似た人の記事を見つけたのでご紹介します。

 
 元農水次官の高木勇樹さん。讀賣新聞11年11月5日の記事です。

(タイトル)

TPP 農業改革の好機

(前文)

 環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加を巡る民主党内の協議がヤマ場を迎えている。最大の対立項目である農業分野では、「参加すれば国内農業は壊滅する」「TPPと農業強化は両立しない」などの反対意見が根強いが、解決策はないのか。(聞き手 近藤和行さん)

(本文抜粋)

■すでに負のスパイラル

TPPに参加すれば農業が壊滅するという反対意見が相当根強い。

 「TPPで農業生産は半減するなどの話があるが、試算の前提が極端で何の意味もない。それ以前の問題として、日本農業は負のスパイラルにある。高い関税や多くの予算で農業を守ってきたが、この20年で農業生産額は4兆円近く減り、農業所得も半減した。従事者の平均年齢は66歳。従来通りの守り方を続けても、農業は弱体化し、農村は疲弊するばかりだ」

―TPPに参加すれば展望は開けるのでしょうか。

 「反対意見に『TPPで国の形が変わってしまう』がある。そうかもしれないが、すでになし崩し的に変わってきている。多くの農家が研修生名目で外国人の力に頼らざるを得ない状態。工場が海外移転すれば、地方は雇用の受け皿を失い、農村はますます衰退する。なし崩しが一番恐ろしい。日本の強みと弱みを把握し、何を守るか、どう手当てするか、覚悟と戦略、戦術を一気に組み立てる好機だ。これを機に、自ら国の形を決め、農業は守り方を徹底的に変える時だ」


■大規模化、農地法が壁

―TPPは原則、関税の完全撤廃で、日本農業への影響は避けられません。どうやって守りますか

 「関税などによる消費者負担型ではなく、納税者負担型で守るという政府方針は、TPPの方向に沿っている。持続的に農業経営が出来るよう、交渉に参加し、関税撤廃の例外品目や移行期間などで有利な条件を獲得すべき

 「稲作は農地が広ければ効率が上がる。大規模化や農地の集約に向け、農地制度を抜本的に変えなければならない。一昨年の改正農地法は、戦後の『耕作者主義』の理念が残り、意欲ある担い手に農地を集めるのに十分でない。農地法が壁になっている農地法はいったん廃止し、農業委員会の設置目的なども含め作り直してはどうか」


■農協は設立の原点に

―強く自立した農家育成には、農村で大きな力を持つ農協の存在が障害になっているという声もあります。

 「価格交渉などで立場が弱い農家を守るなどの協同組合思想、農協設立の原点に戻るべき。また、農協が競争制限的な存在になってはならない。今後、専業農家が集まって株式会社や共同組織を作り、自力で集荷・販売をする時に農協と対等な競争ができる仕組みに変えないといけない。組織同士の競争・共生が必要だ。農協も農家からの無条件の委託販売方式など、今のビジネスモデルは変更を迫られるだろう」

農家の補償の仕方も考えないといけません。

 「今の所得保障制度は、規模などに関係なくすべての販売農家が対象だ。民主党は、農村活性化と国際化の両立を政策目的に制度を導入したはずだ。政策目的を見失っては、バラマキと言われても仕方がない。農業で生計を立てようという専業農家などが、自由化で打撃を受けた時に支払われるべきで、給与収入もある安定兼業農家にも支払っていては、財政負担の限界から、最後は『守り切れない』ということにもなりかねない」


企業の参入あってもよい

―高木さんは、「経済界と協力して」が持論のようですが、具体的には。

 「私が役所の現役時代、経済界と農業は対立一色だったが、今は経済界が協力するという。経済界と手を携えてTPPに備えるべきだ。農業は農地や労働力、自然を利用して生産するが、加工や販売も通して行う『産業』でなければならない。企業の情報技術(IT)などの応用や資本、人材育成手法、販路の発掘・拡大などで力を借りればよい。そんな切り口から、企業の農業参入があってもよい

 「TPPをきっかけに、担い手対策や農地制度、農協や農業委員会など農業関連組織などの見直しを一体的に進める必要がある

農水省は、TPPなど自由化推進に消極的といわれています。その意味では、高木さんの主張は〝異端〟なのですか。

 「強い農業を作りたいという改革の方向性や、現状維持では衰退の一途をたどるといった危機感は、皆同じだ。現役の農水省の人たちも、どういう方向を選ぶべきか理解していると思う。ただ、特に農政は歴史的に政治との関わりが深く、政治の意思と無関係に政策決定は成り立たない。政治がある方向性を示せば、行政・官僚はその路線に従わざるを得ない」

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(感想・意見など)

 TPPと日本農業に関する私の考えは、上記高木さんの考え方とほぼイコールである。TPPとその他の分野に関しては、政府の情報開示が十分でないこともあり、必ずしも確定していない(気持ち的には7:3で参加の方向)。

 TPPに参加することになっても、ウルグアイ・ラウンド締結の際の轍を決して踏んではならない。6兆円以上もの莫大な農業対策費を投入したにもかかわらず、何に、いくら投入し、誰のためになって、効果がどうだったのかなどが、ほとんど不明である。何よりも肝心な、農業の生産性の向上、競争力強化に役立っていると思えない。

 野田首相はTPPを推進すると思われる。その場合、農業関係者は少しでも多くの農業関連予算をぶんどって矛を収めようとするだろうが、決してウルグアイ・ラウンドの二の舞を演じてはならない。真に農業の生産性の向上、競争力向上に役立つものに限るべきである。

 
 以下は日刊工業新聞 11年11月9日の記事である。

ウルグアイ・ラウンド対策費
「反省すべき点は反省」  農水相


 鹿野道彦農水相は関税貿易一般協定(GATT)・ウルグアイ・ラウンド農業合意の際に投入された約6兆100億円の農業対策費について「生産性の向上などで効果も上がっている」としながらも、「全体的にどういう形でどんな効果があったのかはしっかりと検証し、反省すべき点は反省しなければならない」と8日の会見で述べた。

 ウルグアイ・ラウンド合意時の農業対策費は国内の保護水準を削減する見返りに巨額の予算が使われたにもかかわらず、実際には農業の生産性向上より農道や道の駅、農道空港建設など土木関係に使われたとする批判が多い

                                         以上
プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

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