ちょっといい話

ちょっといい話
(ベゴニア)


 毎日新聞12年1月28日「近聞達見」欄、岩見隆夫さんのコラムからちょっといい話を2つ。



◆3.11からまもなく、1人のベトナム人記者が取材で被災地に入った。避難所で少年にインタビューする。
 少年は津波で両親を亡くし、激しい飢えと寒さで震えていた。一つのおにぎりを家族で分けて食べるような状況だった。

 記者は見かねて少年に自分のジャンパーを着せかける。その時、ポケットから1本のバナナがぽろっとこぼれ落ちた。記者が「バナナほしいか」と問うと、うなずくので、手渡した。

 ところが、少年はそれを食べるのではなく、避難所の片隅に設けられたみんなで共有の食料置き場に持って行き、もとの場所に戻ってきたという。

 記者はいたく感動する。帰国すると〈こういう子供はベトナムにはいない。……〉と報道した。

 この記事が大変な反響を呼ぶ。かつて、ドラマ「おしん」が大人気になったお国柄だ。ベトナムからの義援金は100万㌦(約8000万円)にのぼったが、このうち、「バナナの少年にあげてください」という条件つきが5万㌦もあったというのだ。

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◆5百旗頭真(いおきべ・まこと)防衛大校長がジョージ・アリヨシ元ハワイ州知事から聞いたエピソード。

 敗戦の1945年暮れ、占領軍の若い将校だったアリヨシは、東京・有楽町の街角で少年に靴磨きをしてもらった。寒風のなか、小柄な少年が懸命に心をこめて磨く。

 アリヨシは白いパンにバターとジャムを塗り込んだのをプレゼントした。少年は頭を下げながらそれを袋に収める。

 「どうして食べないの」

 「家に妹がいるんです。3歳で、まり子といいます」と答えた。

 少年は7歳だという。アリヨシは感銘を覚えた。5百旗頭に、
 「世界のどこの子供がこんなふうにできるだろうか。モノとしての日本は消失した。しかし、日本人の精神は滅んでいない。あの時、日本は必ずよみがえる、復興すると確信した」
 と語ったそうだ。


以上
プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子ほか多数。

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