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生活保護を考える①

生活保護を考える

 高知新聞12年2月7日~「平成の市町村職員たち 公の群像」〈生保という仕事〉が面白い。いい企画である。今日で連載13回目。


(本文抜粋)

 この職場は異様だ。いつ来ても、職員の半数は受話器を手にしている。

 電話は受け持ちの〝お客〟から。大方は、ああしてこうしてという頼み事だ。〝お客〟が直接出向いてくることもある。応対が済めば、ひたすら書類作成、カネの計算、上司への報告や相談、そしてまた電話…。

 これほど日常的に騒々しい職場というのは、ここ以外に見当たらない。それが、生活保護業務を担う高知市福祉事務所の福祉課―。

 最後のセーフティネットといわれる生活保護制度。保護者の受給者は昨年7月に205万人台へ。2010年度の給付総額は3.4兆円

 高知県の保護率の高さは、大阪府、北海道に次いでワースト3。対策に追われる高知市は、担当部門を増強。非常勤や臨時職員を加えると150人超というマンモス世帯。


 生活保護受給者には地方税や公共料金など数々の減免措置があり、NHK受信料もその一つ介護保険料は保護費に加算される


 役所には「不人気職場」がある。その一、二を争うのが生活保護担当。金絡みの仕事ゆえにクレームも多い。身の安全が危ぶまれる場面にも遭遇したりする。

 貧困や暴力団絡みの不正受給などからくる3K(きつい・汚い・危険)のイメージが敬遠される理由。それに半端でない事務量。

 「個々のケースに深くかかわって何かするとか、無理。受け持ちの案件こなすだけで手いっぱい。新規のケースが月に3件以上入ると、もうアウトです」高知市のケースワーカー(CW)は1人が平均110世帯ほど抱えている。


 「この仕事、ホント、きりがないがです」「けど、止まったら終わり。後回しにしよったら遅れをよう取り戻しませんも」
 
 保護世帯を訪問調査し、職場に戻れば記録作成、保護費を計算、訪問計画も立てる。ハローワークや医療機関と連絡調整。ややこしい事態発生なら上司を加えた検討会議を開く。県による定期監査前は準備に追われ、新規の申請があれば資産や収入の状況を金融機関に照会、稼働能力などを調べて報告書にまとめ、原則14日以内に保護の要否判定…。

 精神疾患や障害者ら一般社会に適用できにくいケースもいるため、その対応だけで日が暮れることもある。


 訪問頻度には5段階の〝格付け〟がある。毎月・2カ月・4カ月・半年そして1年。
 長期入院・入所者の場合は「1年に1回」が最低のノルマ。

 「認知症や精神疾患の方だと、自分が保護を受けていることを忘れていたり。調子の悪い時は話にならないし」


 「死亡廃止」による生活保護打ち切りには、いくつかパターンがある。①身寄りがない場合。②あって引き取る場合、③そうでない場合―。

 ①身寄りがないケースは、警察の検視を経て遺留品を処分し、葬祭会社に連絡。高知市だと21万円以内で簡素な葬儀を済ませる。後は斎場へ運び入れ、遺骨は指定した寺社へ。

 ②親族がいて引き取れば、それはそれでよし。③引き取らない場合はおおよそ前述の流れになるが、その際にしばしば聞かされるのは「縁を切ってます」「福祉(事務所)の方で引き取ってもらうよう決めてましたから」という言葉。

 「何かあったとき」には、受給者の死亡のほかに突発的な収入があった場合も該当。「生命保険の解約返戻金などが入ったとか。それと年金」

 受給者に収入があれば、CWには「ロクサン」「ナナハチ」という仕事が発生する。生活保護法63条、78条のこと。どちらも収入に見合う保護費を受給者に返還させる条項。78条の方は不正受給のケース。

 「病院などに入っている受給者は本人が金銭管理できなくなっているケースが大半なので、これが結構、大変ながですよ」

 保護申請の際は、資産・収入はもとより病歴や離婚の背景、扶養義務者との〝人間関係〟に至るまで調べ上げるのが生保のルール。保護を受けるということは丸裸になるのに等しい。


 ケースファイルは生活保護ケースワーカー(CW)から見た受給者の〝個人史〟になる。

 「仕事のしがい?」「ありますよ。ここではアクシデントが当たり前。突発の出来事に対処していくのが本業の仕事。そういうリズムに慣れるまでは正直、怖かったけど」

 CWという役柄を演じている気になることもあるという。

 「そう考えると、少し気が楽になりました」

 CWは受給者と近くなり過ぎてはいけない。どの自治体でもだいたい2年くらいで担当地区をシャッフルする。


......②に続く
プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

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