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生活保護を考える③

生活保護を考える③


 高知新聞平成の市町村職員たち 公の群像」〈生保という仕事〉の続き12年2月17日(第9回)以降分をご紹介します。


(本文抜粋)

 生活保護は、国が本来行うべき業務を地方自治体に処理させている法定受託業務の一つ。県福祉指導課は現場を指揮・監督する立場。


 「あれから国の方針はくるっと変わった

 1981年。当時、暴力団関係者による不正受給が社会問題となっていた。マスコミが書き立て、世論も後押しする。
 厚生省は同年、生活保護の適正実施を促す通知を発出―「第123号通知」。

 国や県の監査もその方向で締め付けが厳しくなる。現場は不正を警戒するあまり一般市民にも身構え、「水際作戦」で申請をはねつける手法がどこかしこで採られていった。

 
 ところが、2005年ごろから北九州市で保護の需給がままならない住民の孤独死が相次ぐ。07年7月。保護を打ち切られた男性が死後1カ月の餓死状態で見つかった。「おにぎり腹いっぱい食いたい」などと書かれた日記が残され、保護の辞退を強要されたかのような記述もあった。

 この「おにぎり事件」では当該福祉事務所長が職権乱用容疑などで告発された。マスコミの集中砲火を浴びた厚労省は「受給辞退の強要禁止」などを掲げる。現場は「蛇口を思いっきり緩めた」と受け止めた

 翌08年にはリーマン・ショックで失業者が増大。「年越し派遣村」は、生活保護申請を先導。これ以降、失業者が生保に駆け込む。貧困問題には日弁連も乗り出してきた。

 
 査察指導員(スーパーバイザー:SV)やケースワーカー(CW)になると、「生活保護手帖」「別冊問答集」「社会保障の手引き」の一式が手渡される。手帳に収められている「実施要領」は毎年、改訂になる。

 「これ、『ただし書き』のオンパレードなんですよ。それだけ時々の事情、世論に応じて方針をいじってきたことの表れ。『振り子』のように振れるというか…」

 「制度矛盾はそのまんまで運用だけ変えても…


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 生活保護世帯は「高齢者」「障害者」「傷病者」「母子」「その他」に5分類される。

 失業などで保護を受ける稼働年齢層(65歳未満)はその他」に含まれる。問題はこの「その他」に関するケースが多い

 「『納税者は負け組』。インターネットの書き込みには、こんなのもあるがですよ。義務を忘れて権利ばかり…という受給者がおるのも事実です」 

 ネットで検索してみると〈年金保険料払ってるやつはバカ無年金でもナマポ(生保)で食える〉。


 福祉事務所に寄せられてくる「3大タレコミ」①保護世帯なのに自家用車に乗っている②パチンコに入り浸り③母子家庭のはずなのに旦那が一緒に住んでいる―。

 保有が認められない自動車は他人名義で手に入れる。籍を抜いて世帯を2つに分ける〝偽装離婚〟で保護費を受給。悪くもないのに病院にかかり、ただで手にする薬を横流し―。こういう裏技、不正の類も半ば常識。


 経済の収縮、超氷河期の就職事情、それに本県の貧弱な雇用力も加わって、働いても生保から抜け出せる収入レベルには遠く及ばない。低賃金だと働かない方がまし生保ライフに慣れてしまえば、真面目に働くのがばからしくなる…。「保護ずれ」。

 新規の受給者が就労意欲を保てるのは「せいぜい3カ月まで」。それ以降は保護の〝固定化〟が待っている。「中には親子代々、保護生活4世代目というケースもいますから」

 断ちきりにくい生保の連鎖。あるCWが、こんなブラックジョークを教えてくれた。

 「生活保護者は特別公務員。だって彼ら、保護費の支給日のことを〝お給料日〟と言い合っていますから」


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 南国市福祉事務所では、釧路市の例にならって、子どもたちへの学習支援で生保の連鎖を断ち切るため、一人親世帯を中心に、子育てと高校進学をサポートする事業を始めた。


 高知市の福祉課長は、生保に関する国との協議の場で増える稼働年齢層をとらえて「本来は失業対策によるべきではないか」と提案。
 
 「制度を根本から見直さないと駄目でしょう。法改正も含めて論議しましょうと。でも結局は、微修正で先送り。やっぱりそこは役人だからかなぁ。当座をしのげば異動するわけで…」


 判断に迷うことが多いのもこの仕事。「生活保護法というのは大ざっぱな法律。やり方はいろいろ選べる。上手に使えばいい


......④に続く
プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

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