浅尾慶一郎衆院議員の日本再生案

浅尾慶一郎衆院議員の日本再生案


 文藝春秋12年3月号にみんなの党の浅尾慶一郎衆院議員日本再生案を発表している。興味深いのでご紹介します。


(タイトル)
年金・公務員改革で消費税増税は不要になる
徴収を公平にするだけで十兆円以上の埋蔵金が……


(本文抜粋)

 日本が再生するためには、野田総理の言うように、果たして消費税増税しか手がないのでしょうか?

 きちんとした収入確保の道は、消費税増税以外にも、ちゃんと存在する。なぜなら、社会保険料には莫大な徴収漏れがあり保険制度にも不公平による大きな欠陥がある

 私は、増税を一切認めないということではありません。物事には時期と順序があるということなのです。

 
 法人数は「分からない」

 社会保障のための財源は、保険料と税金であり、医療や介護の場合は保険料・税金に窓口負担が加わります。この三つの収入源のうち、保険料を払わない人が大勢いて大きな穴を空けている

 社会保険料のうち、厚生年金や協会けんぽの保険料は、日本年金機構(旧社会保険庁)が個々の保険加入者から徴収するのでなく、加入者の属する法人が実務を代行しています。いわゆる天引き。すべての法人には厚生年金と協会けんぽ加入の義務があります。保険料の取りっぱぐれをなくすには、法人の数をきちんと把握することが先決

 ところが、私はかつて国会で厚生労働大臣に、厚生年金に加入している法人数を質したところ、なんとその答えは「分からない」というものでした。一方で財務大臣に、納税のための申告をしている法人数をたずねると、「平成21年で273万1768法人です」と、下一桁までの答えが返ってきました。

 私はかねてから歳入庁の設置を提案しています。国税庁と日本年金機構を統合して歳入庁を作れば、国税庁が持つ法人データが活用でき、保険料の取りっぱぐれがなくなる。これによって、なんと、一年間で12兆円弱、ほぼ消費税5%分に相当する金額です。

 民主党は前回総選挙時のマニフェストに「歳入庁の設置」を約束しているのですから、マニフェストにない消費税増税をやる前に、歳入庁設置法案を提出するのが筋というものでしょう。

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 社会保険料の厳正なる徴収と併せて、保険料率の不公正是正も進めるべき課題です。

 中小企業の勤務者を中心とする「協会けんぽ」の加入者は、「国家公務員共済」に加入する公務員よりも、かなり多く健康保険料を天引きされる。月収をどちらも30万円とした場合、4623円も多く取られる。

 お互いが支え合うのが健康保険の本来の趣旨だとすれば、少なくとも被用者健康保険の料率を、協会けんぽ並みに引き上げれば、単年度で2兆1500億円の保険料収入増が見込める

 さらには、逆進的な保険料算出式を改めることで保険料収入増を図る必要もあります。現行の仕組みでは、年金の場合だと、1194万円を超える報酬には保険料がかからないことになっており、また健康保険の場合は、1929万円超の報酬には保険料がかかりません。その結果、収入より多い方の実効保険料率が、より少ない方のそれよりも低くなるという逆進性が生じている。

 いま仮に、すべての人が々収入に対して同じ割合で保険料を負担するとすれば、年間、健康保険料で2200億円、年金の保険料収入で1兆5000億円の増加という試算になりました。

 ここまで、徴収漏れ対策では12兆円弱料率の一元化と対象収入の上限を撤廃することで4兆円強の収入増があることがわかりました。総額で16兆円以上の収入増が単年度で見込める(今回の政府提案の5%引き上げによる消費税蔵が12兆円強)。

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 いま政府がすすめている社会保障改革のもう一つの柱は、被用者年金の一元化。会社員らの厚生年金、公務員らの共済年金を統合しようというもの。ところが、その実現に際しては、厄介な問題をかかえています。

 すなわち、公務員共済が厚生年金と比較して20兆9000億円も多く所有している積立金をめぐる問題です。

 私は、これをすべての勤労者で分けるようにすべきと考えています。具体的には、基礎年金の国庫負担分を3分の1から2分の1に引き上げるための財源として活用する。

 そもそも、共済年金の積立金超過額は、どうして21兆円まで膨らんだのか?

 公務員共済の保険料率は15.862%と、厚生年金の16.412%より低いにもかかわらず、支給額(平均月額)の方は、基礎年金部分を除いて国家公務員共済で13万6109円、地方公務員共済で16万1380円と、厚生年金の7万3573円よりはるかに多い。

 これだけ多く支給することは労使折半で拠出する民間と違い、共済年金に対しては労使折半の拠出に加えて、「追加費用」という名の税金が、国や自治体から投入されているから可能になるのです。

 いってみれば、あの巨額の積立金は、せっせと税金をつぎこんできたものです。


 上がる一方の公務員給与 

 もちろん、消費税増税の前に国会議員の定数を大幅に削減する必要があります。みんなの党では、衆議院の定数を300に、参議院の定数を100に大幅削減し、議員給与も3割減、ボーナスは5割減とする法案を、すでに提出済みです。

 その上で、国・地方の公務員人件費も削減しなければなりません。いま仮に2割削減すれば、消費税を2%上げたときの増収分を超える、毎年5兆4000億円の財源が捻出できます。

 内閣府の調査によれば、1999年の全国の雇用者報酬は平均で492万円であったのが、10年後の2009年には452万円に(40万円)減っています。これに対して、同じ期間、公務員の雇用者報酬は920万円から999万円へと、およそ80万円増えている

 なぜ公務員の人件費が民間に比べて高くなるのか最大の矛盾点は、仕事をする人もしない人も、責任のある人もない人も、ほとんど給与に差がつかないことです。これは国でも地方でも同じです。

 事務次官として退職した人とヒラで定年を迎えた人の退職時の年収の差は、開いてもせいぜい2倍強くらい。一般の市町村では、市長村長と職員の平均年収の差は2倍以下――。なぜこんなことになるかの理由は、公務員給与の昇給の仕組みにあるのです。

 国家公務員法上は「勤務成績が良好な者」が昇給することになっています。勤務成績が良好とは?人事院の説明によれば、それは「1年間で40日以上の欠勤がない」ことでした。よほどのことがないかぎりは、誰もが定年まで、昇格試験にパスしなくても毎年5000円~8000円の昇給をしているのが実情です。

 加えて、毎年、全体の15%にあたる職員が通常の倍昇給する「特別昇給」の制度も存在。一人の職員に換算するなら、6,7年に一度は通年の倍昇給する「当たり年」が存在した。

 この制度の不合理さに疑念をもっていた私は、3年前、ようやく人事考課を採り入れた昇給制度に変えたと聞いて、内心喜びました。新たに導入された「五段階評価システム」がどういうものかというと、まず評価ランクを五段階設定し、最上位の評価が与えられると通常の2倍昇給、その次は1.5倍、さらにその次は通常通り、その下が通常の0.5倍だけ昇給し、最下位は昇給せず。

 ところがその実態は、仏作って魂入れずでした。問題は、各段階に割り振る人数。最上位から順に、全体の5%、20%の職員を必ず割り振っているのはいいとして、だとすれば、その次は50%、20%、5%を割り振らないと正規分布にはならないはずです。が、実際には下位の三つの枠には割り振りを行っていなかった

 結果として、72%の職員が従来通り昇給していました。上位二つの枠に入った25%の職員は従来以上に昇給し、72%は従来通り昇給。従来通り昇給しない下位の二つの枠に入ったのはわずか3%だけ

 これではどんどん人件費が膨らむのが目に見えています相も変わらずお手盛りが横行していたことになります。

 このことを国会で人事院の江利川毅総裁に指摘したところ、「公務員は試験に受かった人を採用しているので、出来ない人はいないのです」という答弁でした開いた口がふさがらないとはこのことです。

 みんなの党は、こうした昇給システムの弊害を是正した改正案をすでに提案しています。増税の前に、総人件費削減に取り組むのは当然まして、公務員の雇用者報酬は、2割削減を断行した後ですら、産業別でまだ第1位なのですから


 同時にデフレからの脱却も目指す必要があります。平成になって最初の頃は60兆円あった税収が、今では40兆円。このデフレにストップをかけて、1989年~1991年並みの税収を目指すことは喫緊の政策です。名目GDPがあまり変化していないことが問題です。

 物価が下がれば、消費税収入も法人税収も所得税収も、軒並み落ちる。いくら増収のための策を施しても、景気が悪く、物価が下落すればすべて元の木阿弥となってしまう。いま政府に求められているのは、名目GDPの増加のための施策しかないのです。


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(感想・意見など)

 浅尾慶一郎衆院議員の主張をまとめると下記のようになると思われる。

 ①歳入庁を設置し、社会保険料の徴収漏れをなくする……12兆円弱の収入増。

 ②保険料率の一元化と対象収入の上限撤廃……4兆円強の収入増。

 ③公務員共済の積立金約21兆円は、基礎年金の国庫負担を3分の1から2分の1に引き上げるための財源として活用する。

 ④国会議員の定数を大幅に削減する。また、給与・ボーナスを大幅に削減する。

 ⑤国・地方の公務員人件費の削減……2割削減で5.4兆円。

 ⑥デフレにストップをかけて、名目GDP増加のための施策を実施する。


 ほとんど同感である。しかし①の社会保険料の徴収漏れ12兆円はムリだと思う。徴収漏れは、中小・零細企業がほとんどと考えられる。大企業はキチンとしている。企業は人件費を、給与+賞与だけではなく、給与+賞与+社会保険料の会社負担分+退職手当見積金+福利厚生費などとして認識している。

 新たに社会保険料をオンして支払える中小・零細企業はそんなに多くない。人件費総額は変えられない。給与・賞与などを社会保険料分減額するか、会社をつぶすしかない。12兆円は机上の計算。半分の6兆円も徴収できれば御の字である。

 ②~⑥は同感である。こういうことを実施して、足りなければ消費税を上げればいい。あと、浅尾さんは触れていないが、無駄あるいは過剰と思われる社会保障費を抑制すべきである。

 ⑥のデフレを止めて名目GDPを増加させるための方法については甲論乙駮あって、私自身どれが正しいのかは分からない。

 ⑤それにしても、五段階評価システムに関し、デタラメ人事院シロアリ江利川総裁の「公務員は試験に受かった人を採用しているので、出来ない人はいないのです」には驚いた。いくら是正策を導入しても、それを徹底的に骨抜きにして、何が何でも公務員互助会を守る。ものすごい根性!

 給与・退職金・年金・健康保険・雇用など何をとっても公務員が有利なように(公務員が)作ってある。公務員の雇用者報酬は、2割削減した後ですら、産業別でまだ1位とは!!公務員栄えて、国滅ぶ!!それでいいのか?


以上
プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子ほか多数。

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