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被災3県沿岸の復興について

被災3県沿岸の復興について

 
 12年3月18日日経新聞文化欄に、作家の津村節子さんが、「わが田野畑村」と題して一文を寄せている。

 津村さんは、06年に亡くなった作家の吉村昭(あきら)さんの妻であり、その最期の日々を描いた「紅梅」はベストセラーになった。夫の吉村さんの著作「三陸海岸大津波」は、東日本大震災後再注目され、これもベストセラーになった。

 以下、津村さんの「わが田野畑村」を抜粋してご紹介します。

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 東日本大震災から、一年になる。

 三陸海岸はリアス式海岸で、津波の大災害地としての条件を備えており、明治29年から今回まで4度の大津波に襲われている。

 吉村昭が太宰治賞を受賞した「星への旅」は、岩手県下閉伊郡田野畑村の断崖が舞台である。海岸の美しさと人情の篤さで毎年のように田野畑村を訪れ、人々から津波の話を聞いたのが、「三陸海岸大津波」を調査するきっかけになった。

 親しくなった前村長星野仙平氏に津波は40㍍ぐらいきたのかとたずねると、50㍍は上がってきたという話で、深く入り組んだリアス式の鋭い湾には波が馳せのぼってくるのである。

 
 「三陸海岸大津波」の文庫の増刷をしたいと言って来られた出版社の文庫部長は、こんな時に、とひどく気にされながら多くの部数を言われた。吉村が著書の中で、自然災害は必ず繰り返すことを何度も書いているのに、今回全く警告にはならなかった。

 しかし、いまこそ読んでおいてほしい、と私は思った。田野畑の甚大な被害を思うと、印税は全部田野畑に送るのが吉村の心にかなうことと思った。私はすぐ翌日銀行から、これからも売れるであろうことを予期した分を送金した。


 第三セクターで造った三陸鉄道は、線路も駅舎も流された。その三陸鉄道を復活する運動が起こっている。「つなげよう!三陸鉄道」ののぼり旗をかかげた人々が、線路を歩いているグラフ雑誌を見て私は愕然とした百億円以上もかかるというのに、実情を何も知らない人々は、復興、復興と気分を盛り上げ、鉄道マニアのノスタルジーが線路を歩かせている。

 自然災害は必ず繰り返される。田野畑の村人たちはいまみな台地に移り住んでいる。田野畑は幸いに海岸より台地の面積が遥かに広い。人の住まない海岸近くに鉄道を通して何になるのだろう

 鉄道会社や建設業者はそれが仕事だが、知事や関係市町村長たちは、また必ず流出する鉄道を税金でもとに戻そうと本気で考えているのだろうか

 
 私は国道45号線が、村人たちの命の道路であったことを聞いている。これは台地を走っていて、津波の被害は受けなかった。災害後も人々を運び、物資を運んできた。

 津波に流されるような鉄道は復旧する必要はないということと、この道路を整備してバス道路にすべきであることを、3月号「文藝春秋」臨時増刊号に書いたが、再び書く。この道路をバス道路にしてバス停を何カ所かに設けるなら、百億円などという莫大な費用はかからない

 三陸海岸大津波を調査した吉村もそう言うと思う。


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(感想・意見など)

 私は昨年10月に三陸沿岸を2泊3日でレンタカーで走った(11年10月22日ブログ「東北旅行」)。東日本大震災は大変な悲劇である。主な被害は2点に尽きる。1点は、福島第一原発の問題である。2点目は、三陸沿岸の低地の津波被害である。

 原発の問題は措く。三陸沿岸の低地の津波被害はまさに「低地」の問題である。正確には、「低地」とそこから何㌔もさかのぼった川の両岸の問題である。

 リアス式沿岸の道路はアップダウンの連続であり、低地から少し上った台地や海岸から少し離れた内陸部は、道路のひび割れや山崩れ、個々の家屋の問題はあるが、1年経過した現在、応急処置はあらかた終わっているはずである。

 11年8月6日のブログ「震災後の復興もバラマキが有効」、11年9月27日のブログ「被害3県沿岸 人口46%減に」に書いたが、好むと好まざるとにかかわらず、確実に、30年後にはこの地の人口は半減する

 何かを造ればそのメンテナンスに継続的に費用が発生するそのことと、圧倒的な人口減を考慮に入れて復旧、復興しないと、将来に大変なツケを残してしまう。1000兆円の借金がある現在、それは許されない!

 民主党は「コンクリートから人へ」を掲げて政権を奪取したが、大震災後、国土交通省などのコンクリート側のもの凄い逆襲が始まっているだけに、大変心配である


以上

 
プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

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