世界と日本に対する現状認識①

毎日新聞12年3月30日「経済観測」欄、日本総合研究所理事の翁 百合(おきな・ゆり)さんのコラムをご紹介します。
(タイトル)
将来世代に配慮した政策を
(本文抜粋)
リーマン・ショックが起きた先進国の景気回復がなかなか進まない中、欧州で債務危機が発生、民主化へのうねりが中東情勢を混とんとさせている。一方、中国などの成長から国際政治の重心はG7からG20へと大きく移動した。
日本では政権交代があり、東日本大震災により原発への信頼が揺らぎエネルギー制約の問題が深刻化、世界における日本の存在感は新興国の台頭もあり希薄化した。
欧州や日本など先進国は現在共通の課題を抱えている。経済の成熟化や人口動態の変化により成長率が低下、過大な公的債務により大胆な財政政策が打てず、金融緩和への強い圧力が働いているものの、伝統的なマクロ経済政策は限界に直面している。
日本を含めて先進国で必要なことは、長期的な経済成長と財政再建の両立である。
新たな需要を創出し成長産業で雇用を創造するために、激変する環境に合わせてさまざまな制度・規制を見直して成長を促しながら、ムダな歳出の削減や歳入増加に取り組む必要がある。
高度成長期の成長促進戦略とは異なり、こうした取り組みは短期的には多くの人々――とりわけ既得権を持つ人たち――のコスト負担を伴う。それだけに政治が責任を持って、思慮深く、しかし大胆に進めなければならない。
日本は現在、膨大な公的債務を抱えながら、急速な人口減少と少子高齢化に直面する難局にある。
しかし、震災後に世界が認めた勤勉さ、高い自己規律といった優れた特質を持つ一人一人の人材を大事に育成し、選挙権を持たない将来世代の幸福にも十分配慮した政策を実現することによって、この局面を打開していく必要がある。
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(感想・意見など)
総論であるが、100%賛成である。