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決断できない世界

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 庭の花(①ツツジ、②ミリオンベル、③何という花?)


 週刊プレイボーイ11年10月10日号、橘 玲(たちばな・あきら)さんのコラム「決断出来ない世界」をご紹介します。


 全員の合意がなければねにも決められない日本人の特徴は、世界でもひろく知られています。これはもちろん事実ですが、しかしだからといって日本人が特殊だということにはなりません。そもそも決断というのは、原理的に不可能なものかもしれないのです。

 決断というのは、利害が対立する局面において、一方の主張を強制的に排除することです。当然、否定された側は恨みを抱き、はげしく反撃します。決断した人間はそれに耐えなくてはなりません。これが、「決断には責任がともなう」ということです。

 ここで、典型的な農耕社会を考えてみましょう。私の土地の隣にはあなたの土地があり、この物理的な位置関係は(戦争や内乱がないかぎり)未来永劫変わりません。あなたは生まれたときから私の隣人で、二人が死んだ後も、私の子孫とあなたの子孫は隣人同士です。

 農村では、灌漑や稲刈り、祭りなど、村人が共同で行うことがたくさんあります。そんなとき、一部のひとだけが損失を被るような「決断」をすると、それ以降、彼らはいっさいの協力を拒むでしょう。これでは、村が壊れてしまいます。

 このことから、土地にしばりつけられた社会では、「全員一致」以外の意思決定は不可能だということがわかります。もちろんときには、誰かに泣いてもらわなければならないこともあるでしょうが、そんなときは、村長(長老)が、この借りは必ず返すと約束することで納得させたのです。


 近代以前は、ユーラシア大陸(旧世界)のほとんどが農耕社会でした。中世のヨーロッパにおいても、ものごとは全員一致で決められ、それが無理な場合は、多数決ではなく戦争で決着させたのです。


 それでは、多数決による決断はどのようなときに可能になるのでしょうか。
 
 もっとも重要なのは、意に沿わない決定を下された少数派が自由に退出できることです。農耕社会では土地を失えば死ぬしかありませんから、そもそもこの選択肢が存在しません。

 古代ギリシャは、地中海沿岸の地形が複雑で、共同体(ポリス)は山や海で分断され、ひとびとは交易で暮らしを立てていました。ポリスを移動することも比較的自由で、文化や習慣、言語が異なるひとたちとの交流も当たり前でした。弁論によって相手を説得し、最後は多数決で決断するきわめて特殊な文化は、このような環境から生まれたのです。

 これがけっして普遍的なものでないことは、現代のギリシア人がデモに明け暮れ、政府がなにひとつ決断できないことを見ても明らかでしょう。ユーロ危機のEUも、加盟国すべての合意がなければなにも決められません。

 日本だけでなく、「決断できない世界」がさらに大きな問題となっているのです。


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(感想・意見など)

 私は、この世の中で政治家(政治屋ではない)ほど難しく尊い職業はないと思っている。

 尊敬するマックス・ウェーバー「職業としての政治」の次の言葉を思いだす。
 
 「政治とは、情熱と判断力の二つを駆使しながら、堅い板に力をこめてじわっじわっと穴をくり抜いていく作業である」

 「どんな事態に直面しても『それにもかかわらず(デンノッホ)!』と言い切る」



以上
プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

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