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クロネコにサムズアップ!

クロネコにサムズアップ!

 日刊工業新聞「つくろう日本」欄にヤマトホールディングス木川 眞(きがわ・まこと)社長のインタビュー記事が載っている。12年5月30日と31日分を抜粋してご紹介します。



(タイトル)
企業による新しい寄付文化を



(本文抜粋)

 ―昨年4月、震災の復興支援で「宅急便」1個につき10円の寄付をいち早く打ち出しました。この背景を聞かせてください。

 「ひと言でいえば『宅急便』を育ててくれた地域への恩返し。漁業や農業をはじめ、『クール宅急便』などでお世話になった産業が壊滅状態になった。生活基盤が根こそぎ失われたのに、何もしないわけにはいかない。料金を上げないで10円寄付するというのは確かに財務面での影響が大きい。しかし、株主は理解してくれたし、社員ももろ手を挙げて賛成してくれた。何より嬉しかったのは被災地の社員の家族が喜んでくれたこと」


 ―3月末で終了した寄付金の合計は142億3608万円余。これは最終利益の4割に相当する金額です。

 「当初からこの程度の金額になることはわかっていた。たとえ純利益が4割減っても被災地を復興しなくてはいけないと判断した。宅急便を創設した小倉昌男元社長の言葉に『サービスが先、利益は後』という経営哲学がある。当社のDNAからすれば、いかにもヤマトグループらしい決定だったといえる」


 ―寄付行為では前代未聞の全額無税措置を勝ち取りました。

 「寄付の対象は、地域の産業であり生活基盤だ。寄付金を個人にばらまく趣旨ではない。しかし税務当局の答えは有税。税法の運用を一企業のために曲げるわけにはいかないという当然の論理だ。それでも我々の志を理解していただき、財務省を含めて、多くの方々が無税化する知恵を絞ってくれた。そして最終的に、寄付を全額無税扱いできる『指定寄附金』の指定をいただいた」


 -今後、企業の公益活動が加速されることになりますか。

 「日本には寄付文化が根づいていない。役員報酬が多い欧米では経営者個人が寄付するが、日本ではそうもいかない。民の力を公益に導くためにも、企業による寄付は必要だ。ところが善意をかたちにできない。そういう状況をブレークスルーするきっかけをつくってくれたことは大きい。当社に続いて全額無税で追随した企業が多くあったと聞いている。このスキームをきちっと活用して、日本にも企業による新しい寄付文化が根付くことを期待したい」




 ―震災復興とはいえ142億円もの寄付を施すということに対し、株主は、中でも外国人株主はどう反応しましたか。

 「おしなべて全面的に支援してくれた。予想外だったのは、ヘッジファンドのマネージャーですら今回の当社の決定に賛同してくれたことだ。日本人が考える以上に、欧米の投資判断の軸足は変化している」


 ―株主利益に反するという懸念はなかったのでしょうか。

 「当社にはお客さま、社員、株主、そして社会という四つの満足の総和をダントツに引き上げていこうとする基本コンセプトがある。今回は震災対応ということで、社会の満足に踏み込んだということ」


 ―顧客第一の日本的経営手法をどう評価していますか。

 「まずリターンを求める欧米流の考え方では、ゴーイングコンサーン(企業の継続可能性)は厳しいものになる。当社がこれまで成長できた要因は、時代に応じてお客さまニーズにマッチした商品を提供し続けてきたことにある。小口貨物の宅急便を始めた小倉元社長もすごいが、それに安住することなく毎年商品を進化させてきたこともすごい。だから30年たっても伸びている。お客さまの満足と向き合って、新しい商品を作り続けるイノベーションが何よりも重要だ」



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(感想・意見など)


 若い人には信じられないかもしれないが、30年ほど前まで、個人(C)がどこかへ荷物を送るのは大変なことであった。今のように個人から個人(CtoC)、個人から企業(CtoB)へ簡単に物が送れるようになったのは、ヤマト運輸が個人向け小口配送サービス「宅急便」を開発したからである。それは簡単なことではなかった。

 1970年代半ばオイルショック後の不況のさなか大和運輸の社長をしていたのは父親のあとを継いだ小倉 昌男おぐら・まさお)さん。当時、大和運輸は配送業者として三越に出入りしていた。当時の三越では、運送費の大幅値下げ、駐車料の請求、映画チケットの大量購入押しつけなど、下請いじめが横行していた。その理不尽さに怒った小倉昌男さんが次のビジネスとして目をつけたのが個人向け小口配送サービス「宅急便」であった。社内の大反対を押し切って強行。まずは関東圏から始めた。

 当時は日本中で官庁を中心とした護送船団経営が横行。小倉さんは、旧運輸省、旧郵政省などの官僚を相手に正面切って戦いを挑み、規制緩和を獲得。徐々に日本中に宅急便のネットワークを広げていった。
 
 その後も安住することなく、ゴルフ宅急便、スキー宅急便、クール宅急便、時間帯お届けサービスなど次々新たなサービスを開発している。今はそのサービスをアジアに展開しようとしている。


 小倉昌男さんは会長退任後、ヤマト福祉財団理事長として活躍。障害者が1カ月働いて得る給料が1万円程度と知って憤り、障害者が自立して働ける場所作りとしてスワンベーカリー(パンの製造・販売業)を設立。月給10万円を目標としている。スワンベーカリーは全国にチェーン展開している。

 小倉さんは2005年に80歳で亡くなったが、そのDNAは脈々と現在のクロネコヤマトに受け継がれている。



以上
プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

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