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井戸を掘る

井戸を掘る井戸を掘る


朝日新聞12年6月16日文化欄に作家の川上 未映子さんがコラムを寄せている。


(タイトル)
当たり前じゃない、当たり前


(本文抜粋)

 少し前、ヘアデザイナーのヴィダル・サスーン氏が亡くなって、氏のことを何も知らなくても、シャンプーや整髪料なら使ったことのある人はかなり多いのじゃないかと思う。

 何でも「女性のショートカットを生みだした」というのを聞いて、中学・高校時代をショートカットで過ごしたことを思い出し「ああ、サスーン氏の提案の延長にあったもろもろだったのだな」と思うと、ほのかな感謝と遥かな気持ちがうっすらこみあげてもくるのだった。

 その関連で、映画「プラダを着た悪魔」も思い出す。舞台は最高峰のフアッション雑誌編集部。見習いの冴えない女の子が、プロたちの細かなやりとりに「いい大人がそんなに躍起になって」と思わず笑ってしまうシーンがある。

 そこですかさず、流行の権化である編集長は「あなたが今、なにげに着てるその化繊のセーターのブルーが大量生産されたのは、**年に私たちが作った流行の果てにあるのよ」的な内容でもって、一笑に付す&論破するのが印象的だった。さっきあなたがバカにした私たちの仕事の影響を受けて、今のあなたのチョイスがあるのよ、と。

 今日の女性のショートヘアも、下着も、そしてスカートもまたしかり。ファッションに限らず、既成概念と抑圧とを相手に根気よく闘い、そのつど少しずつ新しい風を獲得してくれた様々な分野の先達のおかげで今、当たり前になったことが(特に女性は)あまりに、あまりに多いのだからなあ。



◆「アンサンブル」 サラ・パレツキー (ハヤカワ文庫) 冒頭「三十周年に寄せて――日本の読者のみなさまへ」から抜粋。

 「2012年はV・I・ウォーショースキー(このミステリ小説の女性主人公)のデビュー三十周年にあたります。三十年のあいだにさまざまな変化がありました。わたしが『サマータイム・ブルース』を出版し、初の女性ハードボイルド探偵を卑しき街に送りだした年は、また、シカゴの警察に女性が入れるようになった年でもありました。いまでは、合衆国の最高裁判所に女性の判事たちがいます。市長も、警察署長も、宇宙飛行士もいます。どれもみな、三十年前には女性がとうてい就くことのできなかった職業です。でもその一方で、単純作業しかやらせてもらえない女性たちもいます。男性と同じ仕事をしていても、賃金はいまだに男性の75㌫しかもらえません。
 V・Iとわたしが女性の生き方を変えるのに果たした役割を思うとき、わたしは喜びと誇りを感じます」



毎日新聞12年6月27日「発信箱」欄 欧州総局の小倉 孝保さんのコラムから。


(タイトル)
薄着できなかった少女


(本文抜粋)

 日が高くなると、欧州女性は薄着になる。

 しかし、英中西部ウォリントンのパキスタン系英国人、シャフィリアさんは、そうした自由を許されなかった。03年9月、ノースリーブの服を着ていたことを両親にとがめられ口論の末、殺された。当時、おしゃれ盛りの17歳。

 イスラム社会に残る「名誉殺人」と呼ばれる習慣で、ボーイフレンドを作った未婚女性や、浮気をした妻を不名誉として殺害する。

 ロンドンの人権団体代表は「家庭内暴力(DV)との違いは、コミュニティー(イスラム地域社会)が犯罪を擁護することです」と語る。


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(感想・意見など)

 インドの男尊女卑は極端だという。花嫁は結婚するとき高額の持参金(ダウリーまたはダヘーズ)を持っていかねばならない。持参金が少ないのを不満として焼き殺される花嫁が少なくないという。この種の殺人は、名誉殺人として事件化されないことが多いという。

 進んでいると思われているヨーロッパでも、スイスで女性参政権が認められたのは1971年。

 
 中国のことわざに「水を飲むときは井戸を掘った人のことを忘れるな」というのがある。今の状況は自然になったものではない。先人の努力の上に築かれている。その状況を享受するだけではなく、少しでも井戸を掘る側に回りたい。


以上
プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

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