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誤解を生み易い記事

誤解を生み易い記事
誤解を生み易い記事


 科学・医学が進んでいるので40歳を過ぎても簡単に妊娠・出産ができると思っている人は多い。12年8月21日の新聞各紙を読んで、「また誤解を助長する記事が出ているな」と思った。毎日新聞の該当記事をご紹介します。


(タイトル)
閉経前後 卵巣若返り
皮下脂肪の幹細胞で 臨床研究申請
新宿の診療所


(本文抜粋)

 不妊治療の加藤レディスクリニック(東京都新宿区)が、閉経前後の女性の卵巣に自身の皮下脂肪から取り出した幹細胞を注射し、卵巣機能の改善を目指す治療を計画している。

 卵巣は加齢とともに機能が低下する。卵子のもとになる卵胞が育たなくなり、ホルモン分泌も減少。この結果更年期障害が起きる。

 同クリニックは卵巣機能が低下し更年期障害の症状が見られる女性の下腹部などから皮下脂肪を取り出して「間葉系幹細胞」と呼ばれる幹細胞を抽出。この幹細胞は、新たな血管を作る役割を持つとされており、卵巣に移植し血流を増やすことで、衰えた卵巣機能の改善が期待できるという。

 同クリニックの副院長は「動物(ラット)実験では卵巣機能の改善が報告されている。将来的には病気や加齢で排卵機能が低下した女性への不妊治療に応用できれば」と話している。      (斎藤広子さん)


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 上の記事は間違いではない。しかし、誤解を生み易い。タイトルだけを見た人はあと何年かすれば「卵巣の若返り」ができるのではないかと思いかねない。この種の記事が多過ぎる。

 問題点は、

 ①現状ではラットの実験が終わったばかりで、ヒトでの臨床研究は今後の課題であること。失敗する可能性もある。倫理面の問題もある。

 ②ヒトで何例か成功したとしても、治療法として確立するには恐らく10年はかかる。

 ③治療法としてある程度確立したとしても、一般の産科医にまで普及するのにさらに10年はかかる。

 
 最大の問題は、妊娠・出産というのは全身的な働きであり、その中の一部の「卵巣」だけを若返りさせて済む問題ではないということである。

 最近読んだ「君たちに明日はない3 張り込み姫」 垣根涼介さん (新潮文庫)に示唆的な文言があった。以下抜粋してご紹介します。


 (リストラ対象のメカニック宅間) 「人間もクルマも、ある部分は同じです。完全に病気――つまり壊れてからでは、回復に相当な時間とお金がかかります」

 「たとえば、ブレーキ系統です。マスターバックが相当に摩耗していたとします。すると当然、その劣化は、キャリパーにもローターにも、ブレーキホースにも出てきていることが予想されます。なのに、それ以外の劣化は無視して、マスターバックだけを換える。でも、そこだけが新品になっても、ブレーキ全体の性能としては、他の系統は古いままですから、本来の能力は完全には発揮されません。しかもマスターバック以外は近いうちに次々と壊れていくでしょう」

 正しい、と真介(リストラ代行業の面接官)は密かに思う。
 
 だが、問題なのは、そこまで機械(→人体)の機能特質について詳しいお客が、今の世の中では圧倒的に少数派だということだ。

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 王道は「二十歳代で、遅くとも三十代半ばまでに出産する」ことである。そのための周知・教育が非常に大切である。
 
 「てっちゃん 雑文集 健康・医学」で過去のブログを見て下さい。


以上
プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

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