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「動乱のインテリジェンス」

「動乱のインテリジェンス」


 「動乱のインテリジェンス」 佐藤 優まさる)さん、手嶋 龍一さん (新潮新書) 756円


 これはとてつもない本である。必読書といっていい。私は、本屋でこの本の帯を見て誤解していた。大きく赤い字で「緊急出版!」とあったので、即席で作った安手の本だと思ってしまった。複数の新聞の書評欄を読んで、読むに値する本ではないかと思い直して、遅まきながら購入し、一気に読んだ。興奮した。

 さすが、佐藤優さんと手嶋龍一さんの本だけはある。佐藤さんは、ソ連崩壊の前後にモスクワ大使館に勤務し、その後外務省主任分析官を務めたインテリジェンスの専門家。今は作家。月に300冊~500冊の本(1日10冊以上)を読む人である。睡眠の3時間を除いて大半を読書に充てている。手嶋さんは永らくNHKの特派員(特にワシントンが長かった記憶がある)を勤めた。今は作家・外交ジャーナリスト。

 2人とも地頭じあたま)がいいうえに、知的基礎体力(教養)が並みではない。この本を読んでそのことの大切さを改めて思い知らされた。

 
 内容は濃いのでいちいち紹介はできないが、一部だけ。

●2012年4月、東京都の石原知事尖閣諸島を買うと言いだしたことは中国を大変喜ばせた。日本政府は「領土問題は存在しない」と言っているが、石原知事の行動は「領土問題は存在する」ことを国際社会に認知させることとなった。これこそ中国政府の望んでいたこと。本人の意図に反して、国益を損なう行為であったと言える。

●2012年4月、鳩山由紀夫元首相(民主党外交担当最高顧問)が突如イランを訪問して、悪い二元外交をやった。鳩山さんは、イスラエルを抹殺すべく核開発しているイランの核開発を止めさせるための国際社会のイラン包囲網を、ダブルスタンダードだ、不公平だ、と(イランに乗せられて)イランを擁護するような発言をした。政治家として、度し難いひとである。

●私はこの本を読むまではTPP(環太平洋パートナーシップ協定)に関し態度を保留してきたが、はっきり加盟すべきとの立場に変わった。TPPは単なる経済協定ではない安全保障と表裏一体となっている。現実問題として、日本はTPPに参加しないという選択肢はあり得ない。選挙中は農業票が減るので言明しにくいが、次の政権は、間違いなくTPPに参加するはずである。

 その他、中国が旧ソ連(ウクライナ)からどうやって「ワリヤーグ」という航空母艦を盗んできたかという話や、なぜシリアのアサド政権が存続できているのかなど、興味深い世界情勢の裏話、解釈が満載。あと、2回は読むつもりである。対談形式なので読みやすい。ぜひお読みください。


以上
プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

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