文武両道で

先日、プロ野球選手の約7割が、選手生命を終えたあとのセカンドキャリアに不安を持っているとのアンケート結果を見た。プロ野球の選手になること自体が何万人に1人の可能性である。イチローや松井クラスになると、努力をすることを含めて、100万人にひとりの才能だと思う。さすがにこのクラスになると、よほどおかしなことをしない限り、生涯お金に困ることはないと思うが…。それでも、ミスタータイガースと言われた掛布さんは、先日、何億円かの負債を抱えて倒産したとか。先ごろまでカープの選手だった金本さんは、1億円近い詐欺に遭ったとか。
1年くらい前になるか、何げなく明石家さんまさんのテレビ番組を見ていた。広島カープの前田健太投手夫妻が出演していた。奥さんは元テレビ局のアナウンサー。他にも何組かの夫婦が出ていたように思う。前田健太さんはご存知の通り、広島カープのエースピッチャーで、マエケンの愛称で親しまれ、20代前半のかわいらしく感じのいい男の子である。
驚いたのは、マエケンの発言。「役所とかいろいろなところから送られてくる郵便物などは、よく分からないので放ってあります」。周りの観客は「エーツッ!」
さんま 「それでもいろいろやらんといかんことがあるやろ?」
マエケン「独身時代は全部お母さんにやってもらっていました。今は奥さんにやってもらっています」
観客 「エーツッ!」
さんま 「いや、そんなもんやて。小さい時から野球しかやってへんのやから。そんな奴いっぱいおるで」
私も、何人かはこころあたりがある。スポーツのことになるとめっちゃ詳しいのに、世間の事になると何も知らんやつ。オリンピックの候補選手だったのに、中学時代に習う漢字が読めない体育教師。鬼も泣くような猛練習に耐えてきたのに、仕事となるとからきし意気地のないやつ……。
朝日新聞13年1月31日の記事を抜粋して紹介します。
ロス五輪金・山下泰裕さん
暴力は最低の指導自覚を
「今、スポーツ界では選手のセカンドキャリアが問題になっている。どんなに優秀な選手でも『学ぶ習慣』と『社会の出来事に関心を持つ姿勢』を持っていないといけない。殴られ、言われた通りにやっていても、身体能力が優れた選手なら、世界のトップに立てるかもしれない。しかし、引退後の人生は厳しい」
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(感想・意見など)
山下さんは、ロス五輪柔道金メダリストであり、現在は東海大学副学長である。恐らく「文武両道」のひとである。才能のある人でも、スポーツで脚光を浴びられる時期は、例外はあるにしても、平均して10年くらいである。怪我も多い。その後は長い長い人生が待っている。山下さんはそのような人を嫌というほど見てきたに違いない。
山下さんの言うように、『学ぶ習慣』と『社会の出来事に関心を持つ姿勢』を身に着けていないと、その後の人生は哀れなものになりかねない。スポーツ馬鹿にしてはならない。本人はもちろん、親やスポーツ指導者は、「文武両道」を心掛けなければならない。以上はスポーツに限ったことではない。
以上