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3寸先は闇

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3寸先は闇
(1段目:週刊新潮13年3月10日、2段目:週刊ダイヤモンド13年3月9日)



 ウン十年前大学を卒業して就職したときの初任給は8万円くらいだったと思う。現在は約20万円。2.5倍。私が就職して最初の一番大きな買い物はステレオコンポセットを買ったこと。25万くらいだったように思う。現在なら60万円(25×2.5倍)以上になる。24回払いのクレジットで購入した。次はカラーテレビ。その次はベータのビデオレコーダー。やはり20数万円。私が特に贅沢だったわけではない。当時はほとんどの人がそうだった。それらは日本国内で作られ、飛ぶように売れた。

 ソニーによってウォークマンが発明され、音楽はいつでもどこでもパーソナルに楽しめるものになった。値段は2~3万円。ソニーと蘭フイリップスの手でCDが開発され、ステレオセットは5万円以下のミニコンしか売れなくなった。それでもそれなりのいい音が出る。私が最近驚いたのがハイビジョンカメラ。当初NHKなど放送局用のソニーのハイビジョンカメラは1億円近かったはずである。今では数万円のハンディカムでもハイビジョン仕様になっている。

 それが今やどうだろう。カメラ、ビデオ、携帯オーディオプレイヤー、計算機、ボイスレコーダー、時計、地図、GPS、本、テレビ、…アプリと称するソフトをダウンロードすれば、かつては1つの製品として存在していた「物」の数々が小さなスマホ(スマートフォン)1台に飲みこまれている。



 私が週刊新潮で必ずチェックしているコラムの一つに、作家 楡 周平にれ)さんの「考えない葦」がある。12年12月27日号、13年1月3日ー10日号を中心に抜粋してご紹介します。


 スマホにしたって、中に入っている部品はユニット化されたものばかり。多くが電子部品で、製造の過程に人間が携わる余地はほとんどありません。クリーンルーム内の製造工程で動き回るのはロボットです。必要なのは製造機械を監視するオペレーター、メンテナンス要員、完成品の検品、梱包、出荷に携わる人員程度。

 パーツを組み上げ完成品にする最終工程は人間が行なうにしても、その最終工程すら人件費の安い海外で行なっている。

 ただでさえ、多くの産業で人出が不要となりつつある中で、スマホへの機能の集約は、かつて企業に事業部規模で存在していた事業を集約させ、あるいは消滅させ、流通構造、ひいては小売業すら駆逐するという事態を生む可能性は十分に考えられます。

 機能が『物』として存在していた時代には、そこに製造という行為が、流通という存在があり、それによって生活の糧を得ていた膨大な人間がいたなずなのです。



 買い物は(アマゾン、楽天など)ネット通販で何でも揃う。午前中に注文すれば、その日のうちに、指定した時間内に買った商品が指定の場所に届く。店舗に足を運ぶのは、現物の品定めのため(「ショールーミング」)。

 こんな購買形態が消費者の間に定着すれば、大型量販店とてひとたまりもありません。損益分岐点を割り込めば、もはやビジネスは成り立たない。企業が消滅してしまうことだってあり得る。
 イトーヨーカ堂は、2015年を目処に従業員のパート比率を9割に高め、約8600人の正社員を半減させる計画である。

 ネット通販は、扱い品目が業態によって分散していた商品をウェブサイトに「集約」し、数多ある小売店の店頭在庫を物流センターに「集約」。出荷する商品もまた、高度な仕分け機能と配送機能を持つ物流業者に「集約」するのがビジネスモデルです。事業規模が拡大しようとも、破壊した産業に従事していたほどの雇用が発生するわけがありません

 猛烈な勢いでテクノロジーが進歩し、常にイノベーションの波に晒される現代社会において、便利さ、快適さを手にする代償として手放さなければならないものは雇用ではないでしょうか。


 こうした傾向はこれらの分野だけでは収まらない。製造業そのもの、特に生産の現場に従事してきた人間が不要になる時代が、もうそこまで来ているように思えてならない。

 その可能性を秘めたテクノロジーが3Dプリンターです。製品をデザインし、あるいはスキャンしてデータをCAD化(キャドか:コンピューターで設計すること)する。それを3Dプリンターに送れば、その場で製品そのものができ上がる。

 インプラント、義歯、人工関節、義足、人工骨、ネジ、歯車、調理器具、玩具、文具、ランプシェードなどの家具、建築物の模型、自動車や航空機の部品などなど。果ては自動車のボディまで、どんなに複雑な構造の物でも製造可能。それもシームレスで、一体形成することができる。しかも、縮小、拡大、デザインのカスタマイズも思うがまま。

 CAD化されたデータを再現するだけですから、金型は不要工場も要らない熟練の技など身につけていても無意味。安い労働力を求めて、海外に生産拠点を置く必要もなければ、在庫を抱える必要もない。製造業に携わる決して少なくない数の労働者もいら「ない」ことになってしまいます。

 気がつけば工場や店頭どころか、3Dプリンターが一家に一台あるのが当たり前なんて時代も、そう遠からずやってくるかもしれません。すでに海外においては製造物のサイズは6㌅(2.54×6=15.2㌢)四方、素材はプラスチックに限定されているとはいえ、499㌦(47500円)の3Dプリンターが民生用として販売され始めているのですから。



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(感想・意見など)

 2段目の写真を見て下さい。現在、首都圏、大阪、名古屋を中心に大型物流拠点がどんどん新設されている。ネット通販がどんどん伸びているからである。アメリカでは、アマゾンのために、全米2位の家電量販店と書店チェーンが倒産した。いわゆる「ショールーミング」問題

 消費者は、店頭で現物を見て、購入を決断すると、スマホでプライスチェックし、一番安い店で購入する。大抵の商品を安く売っているのがアマゾン。日経ビジネス12年11月19日記事などによると、家電製品などメーカーからの仕入れ値を1割下回った値段(原価割れ)で売ったりしているようである。もしそうなら不当廉売。家電店潰しとしか思えない。

 私は、できるだけアマゾンで購入しないようにしている。「消費者のため」と言いながら、「自分さえよかったらいい」という衣の下から鎧がチラチラ見える。リーマン・ショックを引き起こした強欲なアメリカ企業やサムスンなどと同じ臭いがする。

 私は日本人である。昔からの近江商人の「三方よし」の精神でいきたい。「売り手よし、買い手よし、世間よし」

 先進国に共通しているのは、製造業が人件費の安い新興国に移り、安定した中間層が崩壊し、雇用がコールセンターや小売り業などのサービス業に移っていること。問題は、サービス業の人件費が安いこと。また、サービス業だけに、他の人が休みの時がかきいれ時となり、労働条件が必ずしも良くないこと。

 そのうえ上記のような問題が次々発生する。世の中はどんどん変化している。3寸先が見えない。現在の小学生の65%は親が知らない職業に就くだろうという研究発表がある。基礎学力をキッチリ身につけ、世の中の変化をキチンと捉え、常に継続的に学習し、人間関係を良くしておくしかない。


以上
プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

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