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コンピューターが仕事を奪う

コンピューターが仕事を奪う




 世の中の変化が急激である。要因のひとつは技術革新わけてもITC(情報通信)革命のすさまじさである。もうひとつは、グローバル化。10年後の世の中がどうなっているか想像がつかない。

 ヒントとおぼしきものが、13年5月2日の日経新聞に載っていた。「経済教室」欄、東京大学教授柳川 範之やながわ・のりゆき)さんの小論文。抜粋してご紹介します。



 コンピューターが仕事を奪う
 代替不能な能力こそ重要

 革新的な発想育てよ
 短期調整には政府が支援


 【ポイント】

 ● ITは一部の人々の労働を完全に代替可能
 
 ● 先進国の失業はITによる構造変化も要因
 
 ● 「正解」のない問題に答える能力こそが重要


 
 気がつかないが、我々の生活は大きく変わった。20年前には、スマートフォン(スマホ)もタブレット(多機能携帯端末)も存在せず、皆がこれだけ電子メールを駆使してコミュニケーションをとることすら、想像できなかった。今後、働き方にも激しい変化が生じることは不可避だ。

 コンピューターの処理能力および学習能力は飛躍的に向上している。長期的に、このような技術革新は、人々の労働生産性を大きく成長させていくだろう。ITの進展は、人々を消費面だけでなく、生産面、働き方の面でも豊かにしていくはずである。

 しかし、短期的には大きな問題が噴出する可能性がある。先進各国において求められているのは、このような新しい変化に対して柔軟に対処していくための、働き方の再構築である。

 特にITは、一部の人々が行なってきた労働をほぼ完全に代替することを可能にする。今生じている変化の大きな特徴は、その範囲の広さであり、またスピードの速さである。先進国がどこも構造的な失業問題に悩んでいるのは、単純にリーマン・ショックが尾を引いているからとは言い難い。ITによる構造的な変化が生じているのだ。

 検討すべきことは、そのための短期的な調整プロセスをどのように乗り切るかであり、また、長期的にみて、コンピューターで代替されない能力をいかに積極的に身につけていくかである。


 たとえば、かつてはどの駅でも、多くの駅員が改札に立ち切符を切っていた。自動改札機の普及により、そのジョブはすっかりなくなってしまった。

 このような急激なジョブの喪失に対して、いかに労働者を適切な形でより能力を発揮できるところに移動させるかは、先進国が直面する大きな課題だ。

 できるだけ今までの知識や能力を生かしつつも、新たな能力を獲得していくための教育システム、職業訓練の環境を早急に整える必要がある。このような短期的調整過程に対してこそ、政府の支援が必要なものであり、また社会保障とは本来そのような点に力を注ぐべきものである。

 より長期的視点で考えれば、コンピューターに代替されない能力をいかに身につけるか真剣に議論する必要がある。かつては、単純労働は機械に置き換わるが、知的労働は人間にしかできないという発想があった。しかし、蓄積した大量のデーターから学ぶ「機械学習」によるコンピューターの発展は、このような考え方を覆した。


 どれだけ選択肢が膨大であっても、決められた範囲の組み合わせからベストなものを選ぶ作業であれば、演算速度を上げることでコンピューターが容易に処理できてしまう。コンピューターで代替されない能力とは、無限の選択肢から組み合わせを選び出す、つまり突拍子もない発想で新しい組み合わせを生み出していく能力である。世の中に革新的な変化をもたらすのは、このような能力にたけた人である。

 けれども、このような能力は既存の学習スタイルと著しく親和性が低い。多くの学習はマニュアル化されており、解法をパターン化することに注力される。

 教育産業は世界的に大きな変革期を迎えている。オンライン上で講義を公開する動きが急速に進んでおり、対面教育は少人数の討論などマニュアル化されない教育に特化する動きが進んでいる。これもコンピューターで代替されない能力を身につけさせようという動きの一環と考えられる。

 我が国でも、教育面、職業訓練面を含めて様々な仕組みを大きく見直していく必要がある。それこそが、ITがもたらす豊かな働き方を実現させていくために必要不可欠な方策であり、真の意味での成長戦略だろう。



以上

 
プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

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