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福祉国家でクビになれば

福祉国家でクビになれば



 
 北欧型の雇用のあり方は、フレキュシキュリティ(flexicurity)として知られている。柔軟性(flexibility)と安全性(security)からの造語である。解雇しやすく、職業訓練、再就職支援に手厚い。変化の激しいグローバル時代に向いていると思われる。学び続け、変わり続ける覚悟のいる時代である。


 
 朝日新聞13年5月5日編集委員 有田 哲文さんのコラムを抜粋してご紹介します。



 雇用のいま  福祉国家でクビになれば


 スウェーデンで、大卒のホワイトカラーや専門職でつくる労組の会長はこんなふうに言う。企業がある事業から撤退しし、働いている人のクビを切るとする。それでも、理由があるなら反対しない。そして多くの場合、理由はある。

 「企業は利益の出ない事業を続けることはできません。あるときには人をたくさん雇う、そして、あるときには解雇をする。企業には変化が必要です」

 労働者の権利のために闘うのが労組だと思っていたが、労組らしくないところは他にもあった。給料を上げようとするのに団体交渉を重視しないのだという。それよりも、個人個人が会社と話しやすいよう、交渉のノウハウなどを教えている。

 それじゃ、まるでコンサルタントじゃないですか。そう聞くと、「その通り。私たちの役割は大きく変わったんです」



 雇用のあり方は国によって違うが、大きく分けて3種類ある。たやすくクビが切られてしまう米国や英国のアングロサクソン型。解雇がかなり難しい大陸欧州型。解雇のハードルは低いが辞めたあとの職業教育がしっかりしていて次の仕事へとつなぐ北欧型である。

 スウェーデンは北欧型の代表選手。ここ3年で、製薬会社アストラゼネカが、国内の研究施設や工場を相次いで閉鎖し、3千人近い従業員を解雇した。そのとき起きたことを聞くと、たしかに独特のやり方である。

 大量解雇の発表があると間もなく、社内に特別の部屋ができ、政府系機関である公的雇用サービスの職員がやってきた。クビになるための約1年、どんな再就職先があるか、どんな職業教育が受けられるか、相談に応じるためだ。

 それにしてもかなりの手厚さである。たとえば研究職だったK・Oさん(43)は、高校の理科教師をめざして大学に通っている。学費は無料、生活費も支給される。無料の教育をうまく使って薬剤師になる人、小売業界に転じようという人もいる。

 思いがけない不運にあった人を救う社会の仕組みをセーフティーネットという。しかし、スウェーデンの仕組みを間近で見ると、むしろ生態系と呼んだほうがいいように思う。不幸をできるだけ小さくし、人が生きていけるようにする体系がある。

 働いてもいないのに、会社が1年とか2年とか、辞めた人に給料を払い続けている。経営者団体と労組がお金を出し合って人を雇い、再就職に向けたアドバイスをしている。

 そして何より「やり直し」を良しとする風潮がある。もともと勤め先を変えることで昇給する人が多い転職社会なのだ。

 アストラを離れ、職探しを続けている一人、P・Aさんは言う。
 「ストレスがたまります。でも、前向きにとらえれば、自分がやりたいことは何なのか、考える機会でもある。いま47歳。まだ大丈夫です」

 生態系の常で、これは変化を続けた結果でもある。労組だってかつては、ただただ戦闘的だった時代があった。失業手当の見直しなど、変化は今も続いていて、賛否の議論も止まることがない。


 日本には日本の生態系がある、というか、あった。正社員、長期雇用、年功賃金が真ん中にあり、どこへ転勤させられても文句の言えない空気が絡みついていた。中小企業や外資系企業での働き方はやや違っていて話は単純ではないが、中核にはそれがあった。

 そして、このシステムが崩壊しつつあることは、いまや明らかである。

 企業が人を抱え続けるのはもう無理だ、だから解雇しやすくしよう、という議論が出ている。正しい部分はあるが、それだけでは社会が不安定さを増す生態系を大きく手直しすること、場合によっては作り替えるくらいの姿勢、求められているのはそういうことだろう。時代の進む速度に合わせて



以上


 
プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

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