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自主戦犯裁判構想

自主戦犯裁判構想
自主戦犯裁判構想
(上の写真4名の内、右の3名は暗殺された)


 
 今日(13年8月10日)の毎日新聞「保坂正康(まさやす)の昭和史のかたち」が興味深い。敗戦直後に自主戦犯裁判構想というのがあったようである。抜粋してご紹介します。



 【自主戦犯裁判構想】
 軍指導者への報復必至


 毎年8月15日が近づくと、私は、昭和20(1945)年のこの日の玉音放送(ポツダム宣言受諾の昭和天皇の肉声)前後に、「もし」という仮定形を持ち込んで史実を問い直してみる。

 こうした「もし」の一つに、私はいつも日本政府が画策した自主裁判構想が現実に実施されていたならとの仮説を持ち込むことにしている。極東国際軍事裁判(東京裁判)の前に、日本側が独自に戦犯裁判を行なって東京裁判を骨抜きにしようとの意図があった

 私がこの自主裁判(正式には「戦争責任者裁判に関する緊急勅令集」)のわずか1500字足らずの文書(現物)を見たのは、国立国会図書館の憲政記念室にある「牧野伸顕(のぶあき)関係文書」のつづりを開いた時だった。

 
 その第1条には、「本令ハ(略)国体順逆ヲ紊(みだ)リテ天皇輔翼ヲ謬(あやま)リ其ノ大平和精神ニ随順セズシテ主戦的 侵略的軍国主義ヲ以テ(略)満州事変 支那事変又ハ大東亜戦争ヲ挑発誘導シ 内外諸国民ノ生命財産ヲ破壊シ且ツ国体ヲ危殆ニ陥ラシメタル者(以下略)」を裁判にかけるとある。

 第2条では軍事的指導を行なった者や「大東亜戦争ヲ、不可避ナラシメタル者」などは「反逆罪トシテ死刑又ハ無期謹慎ニ処ス」とあった。


 この勅令案ができあがった背景は今では大体明らかになっている。当初は東久邇宮(ひがしくにのみや)内閣のもとで検討され、狙いは東京裁判の形骸化であった。しかしそれが無理と分かり一度は消えるのだが、次に外相・重光葵まもる)などによって持ち出され、司法相の岩田宙造、幣原内閣で書記官の次田大三郎、やがて重光の後を継いだ吉田茂などが乗り気になり、この条文をまとめたようだ。

 文官たちは、東京裁判の骨抜きより、むしろ天皇を守り、軍事指導者を裁くための一大イベントに仕立て上げようと考えた節もあった。

 次田や岩田がまとめた12条から成る条文は、戦時下で軍事指導者たちによって弾圧、抑圧されたことへの意趣返しの意味さえあった。私の推測では、吉田もこれに加担し、ひそかに昭和天皇の側近で岳父でもある牧野伸顕のもとに届けて意見をうかがったと見てとれる。

 この勅令を示された天皇は、「昨日までの忠臣を今日裁くということはできない」と内々に伝えたとの説もあるし、当初は東京裁判を骨抜きにするためにこの裁判は有効と考えていた陸相の下村定(さだむ)も、「あまりにも軍に厳しい」とその立場を変えたとの説もある。11月22日にこの自主裁判構想も勅令案も表ざたになることなく、関係者が書類も焼却したようだ。

 もしこの勅令が実施されていたら、日本社会はどのようになっただろうか。戦犯は100人以上の訴追者をもとにさらに厳選されるが、昭和20年の終わりから21(1946)年は、日本社会に戦犯裁判の嵐が吹きまくっただろう。第1条、第2条を起草した文官たちの怒り、それを支援する国民、その前に軍事指導者たちは徹底した報復を受けたことが予想される


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(感想・意見など)


 連合軍による東京裁判自主戦犯裁判か?どちらにしても100点満点の解答はない。しかし、日本のその後を考えた場合は、自主戦犯裁判の方が良かったように思う。ピントの外れた東京裁判により、かえって戦争責任があいまいになり、へんな怨みが残った

 最近読んだ『戦前日本の安全保障』 川田 稔さん (講談社現代新書:840円)を読むと、日本には戦争以外の道もあったのではないかと思わせられる。

 原敬たかし)や浜口雄幸おさち)などの安全保障構想や国際秩序認識は、現在読んでも感心する部分が多い

 残念なことに、原敬、浜口雄幸、井上準之助、犬養毅、斎藤実まこと)、高橋是清、さらに言えば永田鉄山てつざん)などは、軍人、右翼によって暗殺された。武力により言論は封殺された。絶対に、あの軍国主義の時代に戻してはならない!


以上



プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

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