アメリカの医療制度



アメリカにどうしてもなじめないことがある。医療制度と銃規制はその代表。アメリカは先進国としては珍しく国民皆保険の仕組みがない。このため無保険者が5000万人にも及ぶという。
民主党のクリントンが努力し、オバマ大統領が1期目に全精力を傾けて取り組んだ「医療保険制度改革法」が2010年3月に成立した。この10月1日に制度がスタートするというのに共和党は予算を人質に徹底抗戦している。変わった国である。日本は絶対マネすべきでない。
四国新聞「おしゃべり地球カフェ」米国編のコラムを2本抜粋してご紹介します。
病院はホテル並みの待遇
高額医療費に驚き 大山真理さん
5月に初手術をアメリカで体験しました。首にできた椎間板ヘルニアが神経を圧迫し、今後、軽い事故に遭っても上半身・下半身不随になる確率が高いということで、ヘルニアを取り除く手術を行ないました。
そこで驚いたのが、アメリカの高額な医療費です。現段階の見積もりは、総額約420万円です。
これらの医療費を支払うのは通常、保険会社。私も保険を利用します。ですが、各個人が掛けている保険によって、自己負担額はさまざまです。1ヵ月の掛け金は安いもので約3万円。医療費は約20万円まで自己負担というものも。
なぜアメリカの医療費は、これほどまでに高額なのでしょうか。ある医師によりますと、「アメリカには日本のような国民皆保険制度が存在していない。また、医師個人や病院が医療費を設定するために高額になる」とのこと。
医師の収入も多く、年3千万円~5千万円稼ぐことも。アメリカは訴訟の国で、医師や病院が患者から訴えられることもあるため、その時にかかるコストを踏まえての金額だといわれています。
そんな高額な医療費ですから、病院はホテルのようでした。
* * *
健康保険の大切さ実感
救急救命室に行く 菊池京子さん
最近、救急救命室(Emergency Room=ER)に行きました。入り口では体格のごついガードマンがはさみやナイフがないか荷物検査をしました。
ERは24時間開いています。3,4時間待たされるのは普通で緊急度の高い順からみてもらえます。私はすぐにベッドへ移されました。病院のパジャマに着替えると、名前や生年月日などが記されたバーコードバンドが腕に付けられました。
看護師、医師、検査技師と入れ替わりやってきて、てきぱきと処理していきます。そんななか事務員が来たのは意外でした。
アメリカは日本のように国民保険制度がないので、健康保険をもっていない人もたくさんいます。法律で、ERは来た患者を拒んではならないとなっています。その結果、80%の治療費が回収不能というデータもあります。病院側としては患者が健康保険があるか、支払い能力があるかは深刻な問題です。
隣りの患者は健康保険がないようです。「いくらまで払えますか」「州立の病院の方が安いですよ」という会話が聞こえてきます。
アメリカの医療費は法外です。 この春に細胞培養検査をした時は170万円の請求がありました。私の場合は職場からの健康保険が90%カバーしてくれましたが、それでも高いです。
「給料は安くても健康保険がもらえるならその仕事をとれ」。この言葉に納得です。
以上