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官僚と政治家の関係は昔から…

官僚と政治家の関係は昔から…




 佐藤雅美まさよし)さんの時代小説は時代考証が確かな事に定評がある。物書同心居眠り紋蔵シリーズ『四両二分の女』(講談社文庫)から、官僚(留守居)と政治家(殿様・家老など)の関係を、抜粋してご紹介します。



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 大名家の留守居は、幕閣や幕政の動向を探って対策を講じたり、幕府法令等を受け取って意味を解釈したり、上申書を提出するための先例を探したり、殿様の登城に随行してなにかと殿様を助けたりとさまざまな仕事をこなしていた。重要な任務で、留守居が対処を誤れば御家が窮地に陥ることもあった。

 それゆえ留守居は、任務に必要なことである、情報交換のためであると称して仲間付き合いを大事にし、湯水のごとく御家の金を使った。留守居というと仲間が連れ立ち、吉原などで豪遊することで知られていた。

 
 大名はどこの御家も貧乏していて遣り繰りに苦しんでいる。なのに一人留守居だけが公儀を鼻に掛け、仲間付き合いと称して茶屋遊びなどに御家の金を湯水のごとくに使い、やりたい放題をやった。殿様や家老はそれを制止できなかった。かりに怒って罷免すると、留守居組合は断固対抗し、新顔の留守居に情報を流さないようにした。

 浅野内匠頭(たくみのかみ)が吉良上野介(きら・こうずけのすけ)から情報閉塞状態におかれてつぎつぎと失敗を重ねたように、殿様も失敗を重ねた。仕方がない。折れて罷免した留守居を復職させた。というようなことが過去に何度かあって、殿様や家老は留守居がどんなに不埒を振る舞っても見て見ぬ振りをした

 このような留守居の不埒な振る舞いは幕閣(現代の閣議)でもしばしば問題になった

 
 しかし、
 「留守居は制外なのだ、制度の外にあって、御老中(現在の大臣)方とて手だしはできかねるのだと」

 「荻生徂徠おぎゅうそらい)という学者は、留守居は公儀を鼻にかけ、主人の掟を用いずと申しておるそうでござるが、裏を返せば、留守居がいなければ主人はなにもできないということ。太宰春台だざいしゅんだい)という学者も、諸侯は自分の決断では奉公できず、いつも留守居を恃(たの)みとしていると申しているそうでござるが、これまたそのとおり」

 「留守居がやっていることがいいこととは思い申さぬが、留守居がいなければ諸侯は身動きがとれない。御老中方とて諸侯の一人。亡くなられたり、罷免されたりして御役を退かれると、留守居をたよらなければ公儀づとめはできない。寛政の御改革で寄合を禁止したものの、なし崩しに寄合が復活しているのはだからなので留守居は制外。このことはまた御老中方全員に共通する認識でござる」


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(感想・意見など)

 公務員制度改革がなかなか進まない理由のひとつが、これである。

 民間は、競争相手に負けそうになったり、赤字になり倒産の二文字がちらつき始めると、改革せざるを得ない。私のサラリーマン生活を振り返っても、そうなる前に改革しないと犠牲が大きくなることをほとんどの人が理解していた。変革、変革、変革の連続であった。3年に1度くらいで大きな改革があった。それが組織文化となっていて、3年目の経営方針発表会で大きな改革案の発表がないと拍子抜けしたものである。

 後半には私も経営企画部門に属して変革の旗を振る一員になったが、改革に対する抵抗は表立ってはほとんどなかった。そういう組織文化があった。

 公務員は「親方日の丸」。現在、欧米(ギリシャ、スペイン、フランス、イギリス…やアメリカ)ではリーマンショックや欧州財務危機などで、公的部門に大ナタが振るわれている。日本もそうなる前に変わってほしいのだが……。


以上

プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

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