財政規律の喪失

13年9月3日ブログ「日本財政 破綻への道をまっしぐら」で書いたが、借金が1千百兆円にもなろうとしているにもかかわらず、一向に財政規律が働かない。それどころか、むしろ暴走している。
2008年9月のリーマン・ショック以前、バブルが崩壊すると論じた人はいたが、多くの人はその可能性は低いと見た。しかし、リスクが顕在化してしまうと、市場の暴走は誰にも止められなかった。一旦バブルが崩壊してしまうと、その結果は悲惨を極める。あれから5年にもなるが、世界経済はいまだにその影響から抜けられないでいる。
日本財政の破綻を心配している人はずっと多い。一例として、朝日新聞13年9月4日「経済気象台」欄を抜粋してご紹介します。
財政規律の喪失
南欧諸国ではなく、日本がいよいよ禁治産国家に陥ろうとしている。40万円の給料で90万円の支出を続ければ家計が破たんすることは、家計を預かる主婦なら誰でもわかる。
ところが官僚や政治家にはわかならいらしい。40兆円の税収入が来年度には消費税増税で少し増えそうなので、来年度の概算要求では各省庁とも新しい支出を積極的に計上し、過去最大の99.2兆円になった。
国の債務が国民総生産の2倍を超え、諸外国から心配されている。自らも財政赤字の縮小はいよいよ待ったなし、と言って消費税増税を訴えたのではなかったのか。
今回の予算要求を見て、官僚や政治家が徴税力を高めるのは、赤字減らしのためではなく、自らの資金配分にともなう権限の拡大を目的としていることがはっきりした。その結果、財政赤字は拡大し、子孫へのつけ回しが一層大きくなる。
しかも消費税増税の一方で法人税は減税しようとする。しかし、これはまやかしだ。昨年の法人税は約9兆円で国内総生産475兆円の1.9%。地方法人税を加えても3%程度で、これは欧米主要国に比べて高くはない。
さらに日本には最高9年間使える繰り越し欠損金控除があり、所得を実態より小さくできる。現に企業の4社に1社しか法人税を払っていない。
米国では借金を子孫につけ回すことは「道徳に反する」とし、議員で赤字削減がまとめられなければ、強制的に歳出カットを義務付ける。その成果で、最近は赤字が減少している。
日本政府には道徳心も責任感もないのか。これでは強制的歳出削減を義務付けるしかないようだ。 (千)
以上