カンパニーカー


何年か前に自動車雑誌を読んでいると、イギリスでは新車の約半分がカンパニーカーだという記事があった。ル・ボラン13年10月号を読んでいたら、ドイツでも同様な状況であることが分かった(欧州で一般的かは確認できず)。抜粋してご紹介します。
VWパサートはなんと9割がカンパニーカー
カンパニーカーとは、企業が社員に対して貸与する社用車のこと。ドイツでは昨年およそ308万台の新車が販売されたが、その約半数がカンパニーカーだった。
なぜカンパニーカーがこれほど多いのかというと、企業にとって税制上のメリットがあるからだ。社用車としてクルマを購入すれば購入費用やメンテナンス費用、保険料などを経費にすることができ、実質約30%の法人税を抑えることができる上、19%という高い付加価値税も返還される。
また社員にクルマを貸与する代わりに給料アップを抑えることも一般的だ。結果、企業はカンパニーカーのおかげで節税と人件費抑制の両立が可能となる、というわけだ。
カンパニーカーとして一般的なのはC(コンパクトカ-),D(ミディアムカー),E(アッパーミディアムカー?)セグメントのセダン/ワゴンで、もっとも販売台数が多いのはVWパサートである。その割合は、なんと9割に達する。
企業がカンパニーカーを購入する際は、社員に対して予算を提示し、社員はその予算内で購入できるモデルを選ぶのだが、役付きの社員になるとその予算が上がり、BMW5シリーズのようなプレミアムカーに乗れるようになる。
特筆すべきは、カンパニーカーの約7割がドイツ車であること。その理由は中古車選びと同じで、修理やメンテナンスが容易にできるからである。
ドイツの自動車税は、税金は排気量から算出され、ガソリン車は100ccごとに年2ユーロ、ディーゼル車は100ccごとに年9.5ユーロが課せられる。さらにCO2排出量が110g/km以上の場合、1g/kmごとに年2ユーロが上乗せされる。年間の自動車税額はキッチリ環境負荷に応じて計算され、14年以降さらに厳しくなる。
(注:1ユーロは133円くらい)
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(その他)
■ 2012年ドイツ新車乗用車販売ランキング
1位: VWゴルフ/ジェッタ 24万700台 カンパニーカー(CC)比率72%
2位: VWパサート 8万9330台 CC比率91%
3位: VWポロ 7万6510台 CC比率43%
4位: メルセデス・ベンツC 6万9050台 CC比率63%
5位: オペル・アストラ 6万6980台 CC比率76%
6位: BMW3シリーズ 6万2510台 CC比率68%
この短い記事ひとつで、私の欧州車に対する見方が変わった。カンパニーカー比率が5割も超えると、企画・設計・製造・販売するにあたって、カンパニーカーとして選ばれるべく開発せざるを得ない。VWパサートにいたっては9割。カンパニーカーとして開発されたクルマと言って差し支えない。
また、VWが、本来なら2リッター前後のエンジンを載せるべきクルマに、1.2リッターや1.4リッターエンジン+過給器(ターボなど)を載せている理由も分かった。税制ゆえである(それと燃費か?)。
かねがねVW車のデザインが華やかさに欠けるのを見て、なんとかならんもんかいなと思っていたが、カンパニーカーとしての比率が高いためであった。これはこれで立派な生存戦略であったのだ!納得である。
以上