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官僚は情報の出し方で政治を統制する

官僚は情報の出し方で政治を統制する 毎日13年12月25日




 官僚は情報の出し方で政治を統制する


 日本は官僚支配国家である。閣議にかける議題は事務次官会議(現在は次官連絡会議)のフィルターを経る必要がある。事務次官は官僚のトップであり、事務次官会議で決まったことは官僚の総意である。各種の統計や将来推計データも官僚が作る。そのデータに官僚の思惑が入っているという。毎日新聞13年12月25日、専門編集委員の倉重 篤郎さんのコラムを抜粋してご紹介します。


 数字を取り戻せ


 元衆院議員にもいろいろな生き方がある。亀井善太郎氏(42)の場合はシンクタンク「東京財団」研究員として政策提言する道を選んだ。

 政治家3代目の宿命として父死去後の2006年補選で当選(自民党公認)、09年政権交代選挙で落選し、健康状態の悪化を理由に引退した。

 疑問が残ったのは、国会の存在感の薄さだった。

 元銀行員の亀井氏には不条理な世界だった。憲法前文によると、国権の行使は国会が行なうことになっている。であるならば、国会は会社でいえば取締役会であり、株主(国民)に対して最終責任を負う最高決定機関であるはずだ。
 にもかかわらず単なる執行機関である執行役員会(内閣)が取締役会を無視して暴走している。特定秘密保護法審議がそれを象徴的に物語った。

 国会の情報不足にも驚いた官僚が独占。しかも、情報の出し方でコントロールしようとしていることに気づいた。

 そんな中で、国会をどう機能させるのか。亀井氏は各省が出してくる将来推計というデータに着目した。過去6代の政権にさかのぼり丁寧に読み込んだ結果わかったのは、その数字の恣意性であった。

 例えば、財務省であれば、名目GDP(国内総生産)予測値と実際の結果の乖離がひどい。実質GDPがほぼ的確に予測されていることと考え合わせると、その差である物価上昇率が過大に見積もられており、デフレを脱却したいとの思惑が見て取れる。

 厚生労働省なら、5年ごとに行う年金の財政再計算だ。基金の運用利回りを実際より高めに見積もることで年金財政破綻論をけん制する。

 いずれも推計が省益の影響でゆがめられ、公正な政治判断を妨げる一因になっている。


 亀井氏は同じ問題意識を持つ超党派の議員勉強会を作り1年論議、提言にまとめた。
 それによると、諸外国でも同様の問題意識の下、新機関が発足しつつあり、日本の場合は、国政調査権を背景に非議員からなる委員会(独立推計機関)を国会に創設、大学などを使い役所に依存しない推計値を持つべきだ、という。

 地味ではある。が、やりようによっては国会改革の起爆剤になる。


以上

 
プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

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