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西洋の轍

西洋の轍 週刊新潮14年1月2・9日号
西洋の轍 讀賣13年12月2日




 政府は、建設現場の労働力不足に関して外国人の雇用拡大を検討しているという。そんなことは2年半前から分かっていた。東日本大震災の復興を優先すべきなのに(例えば5年間)、そうしなかった。東北以外の公共事業にもそれまでと変わらず予算を配分し続けた。労働者が足りなくなるのは当たり前である。

 そもそも30年前から現在の少子高齢化は予想できた。20年前には明確であった。その時、公共事業の何割かの予算を少子化対策に振り向けていれば、現在のようなことにはならなかった。自民党のアホウ共が訳の分らぬ「伝統的な家族」観にこだわり何の対策も打ってこなかった。しかし、あわてて大勢の移民を受け入れると大変なことになる。


 週刊新潮14年1月2日・9日号藤原 正彦さんの「管見妄語」を抜粋してご紹介します。


   西洋の轍

 ここ十年、ヨーロッパを訪れるたびに移民の多さに驚かされる。英独仏伊西などの大都市や中堅都市には、アフリカ、アジア、中東からと思われる人々が激増している。EUの最新の統計によると、外国人数は独740万、西550万、伊480万、仏380万といった具合だ。不法移民を含めると伊仏などはさらに数百万は増えるといわれている。

 EUの移民の内訳は、38%がトルコ、アルバニア、ウクライナなどEU以外のヨーロッパ諸国から、25%がモロッコやアルジェリアなどアフリカから、22%が中国やインドなどアジアからだ。増加の勢いは止まっていない。

 2011年だけでも170万人がEUに移住している。ロンドンなどはついに、白人が45%と半数以下になってしまった。ドイツでは全人口の5人に1人がここ半世紀余りに流入した移民とその家族である。

 
 ここ半世紀にこれほど増加した理由はいくつかあるが、最大は西欧先進国がこの時期、経済成長のために安価な労働力として移民を歓迎したからだ。これら移民は主に非熟練労働者として産業の下流工程で働く。移民元の貧しい国々も余剰人口の捌け口として歓迎した。

 最近では政情不安の北アフリカや中東からの難民も多い。当然ながら各種の軋轢が生じている。移民がそれぞれの宗教、文化、習慣などを持っていてヨーロッパのそれと摩擦をおこすからだ。ヨーロッパ人の底流にある人種差別も無視できない。移民は貧困や高い失業率に加え、このような摩擦や差別もあって犯罪に走りがちとなる。

 フランスでは公共の場でのスカーフを禁止したことでイスラム教徒を中心とした暴動さえ起きた。ドイツでは80%が移民という学校で暴力や強盗が日常的となったため、全教師が廃校要望書を市に提出した。イギリスではイスラム教徒が、9000人収容の大モスクをロンドンに作りたいとか教会の鐘と同様に祈祷を拡声器で流したい、と言い出して問題となった。白人過激集団による移民へのテロなども頻発している。


 数年前、パーティで英国の外交官と移民の話になった。私が「ヨーロッパ各国の激しい移民増を憂慮している。様々な困難が生じているばかりか、文化、伝統、価値観など国柄を保つのを難しくしている」と言ったのが悪かった。突然激しく噛みついてきた。「世界中に単一文化などない。ヨーロッパを含めすべての国は移民によって発展してきたのだ」「節度ある移民増は好ましい。ただ急激な増加に対しては規制が必要だ」「そういう考えは差別につながりかねない危険思想だ」。外交官との激しい論戦は彼の友人が割って入るまで20分も続いた。

 帰宅後に調べたら彼自身が東ヨーロッパからの移民の子だった。彼の意見は特殊なものではない。ナチスの記憶が未だ生々しいヨーロッパでは移民規制に触れることは人種差別とすれすれのタブーであり、触れたとたん極右差別主義者のレッテルを貼られる状況なのだ。だから新しい移民は不必要でも増え続ける。


 変化が起き始めた。2010年にメルケル独首相は「多文化主義は失敗した」と発言した。先日はキャメロン英首相が「移民は今後受け入れれられる範囲内に止める。現状の年間数十万を数万に減らす」と言い、移民への社会保障その他に規制を設けた。遅すぎたが勇気ある決断であった。数年前に会った英国の老政治家の言葉が耳に残る。「英国はすこしましだが、仏伊はもう移民問題は解決不能かも知れない。少子化の日本には移民1000万人計画があるという。ヨーロッパの轍を踏まぬよう切に望む」。


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(感想・意見など)

 そうした政策的、計画的移民のほか、国家体制崩壊による突発的な移民・難民というのもありえる。例えば、北朝鮮が崩壊したなら、2千万国民の内かなりの割合の人がロシア、中国、韓国、日本などに逃れてくると思われる。中国の体制が崩壊したなら、13億人の内のかなりの部分(億単位?)が世界中に散ると思われる。今から想定しておくべきである。


以上

プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

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