避けるべきは「中国の北朝鮮化」



避けるべきは「中国の北朝鮮化」
北朝鮮は、何をやってもうまくいかず、その責任をナンバー2の張成沢(チャン・ソンテク)元国防副委員長に押しつけて処刑、一層軍支配に傾いている。
中国も岐路に立っている。中国は、歴代王朝は時が経つと必ず腐敗し、民は困窮を極め、別の者が天命を受けたと称し易姓(えきせい)革命を起こし、新しい王朝を開いてきた。現政権は、そうはさせじと公安・軍事部門を強化し、IT機器にはスパイチップ、スパイソフトを忍ばせ、国内はもとより全世界の情報を収集・監視している。反日も、国をまとめる手段として使われている。
中国がうまくソフトランディングしてくれればいいが、そうでなければ世界にとって大変厄介な存在になることは疑いようがない。毎日新聞14年1月11日「経済観測」ベトナム簿記普及推進協議会理事長 大武 健一郎さんのコラムをご紹介します。
中国の北朝鮮化
昨年12月、北朝鮮のナンバー2と言われた張成沢元国防副委員長が処刑された。この事件についてベトナムの友人は「金正恩(キム・ジョンウン)体制が確立したとされているが、私はそう思わない」と語った。
むしろ軍の支配が一層強まり、その上に金正恩第1書記が乗っているだけではないかとみる。中国との経済的パイプ役を担ってきた張氏の失脚で、北朝鮮経済はさらに悪化する可能性がある。経済が発展していれば、国家は国民の期待をつなぎとめられるが、それがかなわなくなると軍事や公安の力で統治を目指さざるを得ない。金第1書記も軍事力に頼る以外に道がなくなっているというのだ。
ベトナム戦争や中越戦争で傷ついた経済を発展させることで、国民の忠誠心をつなぎとめようとベトナムは現在、全力投球している。さもなければ軍事や公安に依存する体制に戻ってしまうという認識が根底にある。だから経済発展を遂げた日本に学ぼうとしている。
友人が続けた。「中国も岐路に立っている。今日まで急速な経済発展によってつなぎ止めていた国民の忠誠心が、格差の拡大と経済成長の鈍化で次第に弱まってきている」。そうなると、統治のために軍事、公安の力への依存を強めかねない。「中国の朝鮮化」こそ、これからの最大の問題だと友人は指摘する。
1000年以上にわたり中国と戦い続けてきたベトナム人らしい見方だが、確かに中国経済が混乱すればするほど、軍事力に頼る危険性が高い。安全保障の観点からも、中国経済をよく観測する必要がある。
アジアが平和であってこそ、日本の成長の源泉である貿易、投資も可能になる。アジア全体の経済発展に貢献することは、平和を守り、日本の経済成長を後押しすることにもつながるはずだ。
以上