新帝国主義の時代

新帝国主義時代 毎日14年4月18日
新帝国主義時代 図書館のアキニレも新緑に…。
新帝国主義時代 立てば芍薬座れば牡丹…これは牡丹です。葉で分かります。




 新帝国主義の時代


 今から思うと、冷戦時代はある意味資本主義国家にとっては幸福な時代であった。資本主義圏だけの付き合いで、ある程度高い生活レベルを享受することができた。

 ところが、20数年前の社会主義圏の崩壊で、世界はひとつになった旧社会主義国家の人件費は10分の1~30分の1だった。社会のシステムが悪かっただけで人々のレベルは高かった。工場などはどんどん中国や東欧に移っていった。1995年ごろからのインターネットなどITCの普及がそれに拍車をかけた。

 西側(旧資本主義国家)の仕事はどんどん東側(旧社会主義国家)やアジアの低開発国に移っていった。仕事を国内に残すためには、創造的な仕事をするか、人件費を下げるしかない。

 それでも平和が約束されるならそれなりに意味はある。しかし、中国ロシアの動きを見ていると、それも怪しくなっている。

 
 毎日新聞14年4月18日「金言」欄、客員編集委員西川 恵さんのコラムをご紹介します。


 変質する「経済優先」


 冷戦が終結して25年。冷戦時代と冷戦後の世界の違いを大づかみで特徴付けるなら、政治から経済の時代へと形容しても、あながち間違いではない。

 冷戦時代が「政治の時代」だったことは、体制(政治)の論理が全てに優先したことの必然の結果だった。資本主義、社会主義のいずれかの体制が優れているかを競った体制間競争では経済活動は政治に従属した。社会主義国に対する戦略物資輸出を管理した対共産圏輸出調整委員会(COCOM=ココム)は一例だ。

 冷戦終結後、「経済の時代」に入ったのには幾つか理由がある。競争に根ざした市場経済システムがあまねく地球を覆ったこと。また思想闘争の時代が終わり、「経済こそ国富の源泉」であることが再認識されたこともある。

 さらに経済を政治に優先させることで、これがもたらす果実への思惑が各国各様にあった。旧社会主義の中国、ロシアなどの権威主義体制は、経済利益の享受と引き換えに人々の体制に対する支持をとり付けた

 米欧はまた違った立場から経済に傾注した。経済の相互依存関係を強めることで権威主義体制を国際社会に組み入れ、ひいては人権、民主主義の価値を重んじる社会へ誘導していけるとの考えだ。

 日本の対中認識もほぼ同様だった。「経済の相互依存を深めれば、互いに互いを必要とする関係になる」「経済成長によって中産階級がマスとして台頭し、市民社会が形成されれば、中国はより寛容で協調的になるだろう」と。


 しかしここ数年、この見方に疑問符がつき始めている。自信を深めた中国は寛容・協調とは逆の、力を誇示した威圧的態度をとるようになったからだ。経済関係を積み重ねても必ずしも協調的関係へと向かわないのではないか、認識が楽観的すぎたのではないか、との疑問だ。

 加えてもう一つ、仮説が生まれている。中国は場合によっては経済を犠牲にしても、政治の論理(地政学的利益)を優先させるのではないか。尖閣諸島や南沙諸島の領有権問題のことだ。この仮説はウクライナ問題で補強された。

 ロシアは経済で欧州と深く結びつきながら、ウクライナという地政学的利益の前には、ある程度の経済的利益を犠牲にする覚悟であるようにも見えるからだ。

 冷戦の時のように「政治の時代」に完全に戻ることはないだろう。しかし経済優先のこの25年に、ある変調が兆している


(以上)

プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子ほか多数。

最新記事
カレンダー
03 | 2014/04 | 05
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 - - -
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
リンク
カウンター