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袴田事件―この耐えがたき暗黒

袴田事件―この耐えがたき暗黒 日経14年4月6日
袴田事件―この耐えがたき暗黒 讀賣14年3月29日
袴田事件―この耐えがたき暗黒 日経14年4月1日 検察の悪あがき
袴田事件―この耐えがたき暗黒 週刊現代14年4月12日・19日号
袴田事件―この耐えがたき暗黒
袴田事件―この耐えがたき暗黒 鬼の刑事・検事・裁判官たち





 袴田事件―この耐えがたき暗黒


 日本の刑事裁判は、信じられないことに、有罪率99%を超える。48年前の1966年6月、静岡県清水市でおきた味噌製造会社一家殺人・放火事件で、清水警察署は従業員だった袴田巌さんを逮捕した。袴田さんは無実を主張し続けたが、9月なって突然、自供。

 背景には、県警の「犯人は袴田に間違いない。本人に思い込ませろ」という方針のもと、一日平均12時間、最長17時間、2人一組、3人一組の刑事に耳元で怒鳴りまくられ、時にはこん棒で殴られるという、拷問同然の過酷な取り調べがあった。

 裁判では袴田さんは一貫して無罪を主張し続けたが、判決は死刑。控訴、上告ともに棄却され80年に死刑が確定した。81年静岡地裁に再審請求したが、認めれれることはなかった。

 死刑の執行はその日の朝知らされる。死刑囚は、看守の靴音に日々怯える毎日である。袴田さんは何十年とそのような状態に置かれていた。
 
 
 日経新聞14年4月6日「中外時評」欄、論説副委員長大島 三緒さんのコラムを抜粋してご紹介します。



 この耐えがたき暗黒
 袴田事件「捏造」にメスを


 48年――かつてボクサーでもあったその人が先月27日、2度目の再審の訴えを認められ、拘置も解かれ、ついに「生還」した。78歳である。日本の刑事司法の硬直性を考えれば、これは奇跡といっていい出来事だ。

 「拘置をこれ以上継続することは、耐えがたいほど正義に反する」。こう述べて耳目を引いた静岡地裁(村山浩昭裁判長)の決定文には捜査や過去の裁判への怒りが満ちていた

 裁判官による書面でここまで激越なものは過去にないだろう。これは事件の最重要証拠が捏造された疑いが強いという戦慄すべき内容の、いわば告発文でもある

 この決定が捏造を強く疑っているのは、発生から1年以上も後にみそタンクから出てきた血染めのシャツやズボンなど「5点の衣類」だ。

 当初は犯行着衣は微量の血の付いたパジャマだとしていた検察側は、その発見を受けて冒頭の陳述を変更した。なんとも都合のいい話だが、これが決め手になって死刑が導かれていく。

 しかし、5点の衣類をめぐる謎はずっと残されてきた。

 最初の徹底捜索で見つからなかったのに、なぜ1年以上もたって発見されたのかという疑問に加え、ズボンが小さすぎて袴田さんは到底はけないことも装着実験でわかった。長期間、みそに漬かっていたのに色が薄すぎるのも不自然だ。

 こうした疑念に、今回決着をつけたのがDNA鑑定である。衣類の血液が袴田さんのものとは一致しないとの鑑定結果が再審開始判断の柱になった。それでは、この5点の衣類はどこから来たのか?決定文の指摘は極めて明快である。

 「証拠が後日捏造されたと考えるのが最も合理的であり、現実的にはほかに考えようがない」「このような証拠を捏造する必要と能力を有するのは、おそらく捜査機関(警察)をおいて外にない」。

 決定文は取り調べの過酷さを指摘したうえで、こうも指摘する。「人権を顧みることなく、袴田を犯人として厳しく追及する姿勢が顕著であるから、5点の衣類の捏造が行われたとしても特段不自然とはいえない

 そもそも45通の自白調書のうち採用されたのは1通だけという事件なのだ。決定は、5点の衣類が袴田さんのものではないことをDNA鑑定以外の面からも指摘した。「はけないズボン」が細見サイズだったことも初めて証明している。

 静岡地検は条件反射のように即時抗告したが、ことここに至ってなお、再審の入り口で駄々をこね続けるのだろうか。

 いま検察や警察がやるべきことは、裁判所にここまで指弾された証拠捏造の実相を、草の根を分けてでも究明することだ。

 それにしても、自省すべきはメディアでもある。袴田さんが逮捕された当時、マスコミは「ボクサーくずれの袴田」がついに自供、「執念の取り調べ実る」などと書いている。「袴田、不敵な薄笑い」とか「二重人格」とか、すさまじいものだ。こうした報道が、事件を冷静にみる視点を奪った面があったろう。


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(感想・意見など)

 週刊現代14年4月12日・19日号は袴田事件をデッチあげた刑事・検事・裁判官を実名をあげて告発しているが、以下のようなことにも触れている。引用します。

● 捜査班は「カネに困った袴田さんが強盗目的で専務一家を襲った」というシナリオを描いたが、専務のスーツのポケットに入っていた財布などが物色された形跡はなかった。

 「すると今度は5万円が入った差出人不明の封筒が清水郵便局に届くわけです。ご丁寧に1万円札のシリアルナンバーが焼き消されていて、『袴田に送るよう頼まれた』という証言者の女まで現れた。しかし、この女は袴田さんと親しくない人物だった。この一件も警察によるデッチあげだったことが公判で判明しています」(ノンフィクション作家・山本徹美氏)


● 元東京高裁判事で弁護士の木谷明氏の話「これまでの経験から言って、警察や検察の捜査官は証拠の捏造やすり替えをやりがちです。そこを裁判所がもっと、しっかり認識しなければなりません。もしも捜査官が100%信用できるのならば、裁判官は要らないわけですから。ところが、司法の現場では捜査官、とくに検事に対する裁判官の信頼は大きい。『検事という立場にあるものが証拠の改竄などするはずがない』と平然と言う裁判官もいます


 元警察キャリア官僚出身(警視正で退官)の亀井静香衆議院議員は、熱心な死刑廃止論者である。元の職業柄、冤罪の可能性を十二分に知っているからに違いない。国家が、冤罪で無実の人を殺してしまうことの恐さを知っている。



 ①取り調べの全面可視化、②証拠の全面開示、③「人質司法」の解消、は必須である。



以上


プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

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