FC2ブログ

中国情報①

中国情報① 週刊文春14年6月5日号
中国情報①





 中国情報①


 中国は、人口も国土も大きすぎて、いろいろな評論を読んでも「群盲象を撫でる」の印象を免れない。また、欧米や日本のような法治の国でない(何でもありの国の)ため、われわれの常識では計り知れない部分が多過ぎる。

 1985年頃までに、ソ連邦の崩壊を予言した人は、私の知る限り、世界中で5~6人しかいない。しかし、1991年あっけなく分裂・崩壊した。中国の分裂・崩壊を予測する人は多い。しないとする人の方が、少数派である。中国が分裂・崩壊すれば、北朝鮮も存続しえない。東アジアは混乱の極みとなることが予想される。世界経済にも甚大な影響を与える。

 中国を考える上で見逃せない情報が、週刊文春14年6月5日号「私の読書日記」に載っていた。担当は、ノンフィクション作家の立花 隆さんである。抜粋してご紹介します。


............ ............ ............ ............


 ヘンリー・サンダースン、マイケル・フォーサイス『チャイナズ・スーパーバンク 中国を動かす謎の巨大銀行』(原書房 2800円+税)を読んで、その情報量に圧倒された。著者は、ブルームバーグの北京駐在記者。中国経済の陰の演出者、中国開銀の内幕をここまでバラした本は他にない。

 
 中国開銀は貸出残高(2012)百八兆円で商業銀行世界一の中国商工銀行(百五兆円)を上回る「怪物銀行」。その資金力は、発行する債券(開銀債)から来る(買い手はもっぱら銀行)。中国は、政治も経済も、中国共産党が完全掌握する一党独裁国家

 経済体制は、かなめの部分をすべて国家(共産党)が仕切る強力無比の国家資本主義体制その中枢にあるのが、開銀。国家のすべてのプロジェクトは開銀のファイナンスで行われる。開銀を通じて国家プロジェクトに乗れば、民間企業は必ず儲かる。こうして開銀中心の国家資本主義体制ができあがった。

 ここ数年の中国の最大の政策課題は、中国を農村社会から都市社会に脱皮させること。それがどんどん進行したために、中国経済は高度成長をつづけ、ついに2011年に史上はじめて都市人口が農村人口を上まわった。

 都市は住宅ブームに沸き、地価は3年で3倍になった。その背景が開銀土地融資ルール。土地は将来の値上がり益を見込んで先行投資してよいとされた。これがブームに火をつけた。

 
 都市化の中心にあるのが、地方政府の開発プロジェクト。その資金作りをする融資平台と呼ばれる金融会社。開銀がはじめたこのシステムがみるみる全国に広がり、融資平台の高利回り社債をみんなが購入するようになった。これが最近中国経済を過熱させるシャドー・バンキングの正体。全体像がわからないくらい広がっている(透明性が低すぎる)。一度ガラがくると恐い

 一方で開銀は国策融資の幅を広げ、新規産業育成や貿易拡大、海外開発投資などにも力を入れている。中国最大の通信機器メーカー華為技術を、エリクソンに次ぐ世界二位にしたのは、開銀が提供したベンダーファイナンス。国家金融力でみるみるノキアやジーメンスを追い抜いた。ベネズエラの反米派チャベス大統領との特別関係で国有石油会社に長期原油供給契約を結ばせた。

 このような高度の政治判断を要する案件をまとめるのは、開銀総裁の陳元。中国共産党の元老、陳雲の息子。アメリカで教育を受け、世界金融市場の現場で経験を積んできた超エリート。総裁になると、それまで40%以上あった不良債権比率を1%以下におさえこんだ。


 08年の世界金融危機を救ったのは、中国の4兆元(57兆円)に及ぶ経済刺激策。その中核部分をになったのは陳元の開発銀行。そして今度は成功の果実を世界の低開発国にわかつことで、世界の政治的構図を大きく変えようとしている。中国開銀はいまや低開発国援助で世界銀行をはるかに抜く(7倍の実績)。本書を抜きに中国経済の未来も世界経済の未来も語れない。


(以上)

プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

最新記事
カレンダー
05 | 2014/06 | 07
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
リンク
カウンター