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『満州国の真実』②

『満州国の真実』 『満州国の真実』 (宝島社) 1058円
『満州国の真実』
『満州国の真実』②
2メートルの塀の上から顔をのぞかせていました。




 『満州国の真実』から②


 昨日からの続きです。


 日本の権益を守るべく満洲国を建国する

 ――満洲の権益を守るということと、満洲を制圧してしまうということには飛躍があるように見えます。それは陸軍の一部の考えだったということでしょうか?

 「違います。陸軍だけでなく、政府も財界もそして官界もほとんどがそうした考えでした。
 要するに、朝鮮半島を日本の領土とした後は、今度は満洲が日本の利益線になったわけです。満洲とは日本にとっては特殊権益です。満鉄と鉱山、それにエネルギー資源ですね。当時は石油は出なかったですが。
 中華民国とソ連という2つの国が誕生したことから、満洲の権益を守るために満洲に勢力圏を拡げようという構想が出て、昭和3(1928)年に、関東軍が中国東北最大の軍閥だった張作霖を爆殺します。
 その頃から、日本は自分で満洲を手に入れようと走り出しました」

――張作霖爆殺事件の際には、当時の日本政府が関東軍の暴走を懸命に押えました。その理由は何ですか?

 「列強の圧力を恐れたからです。第一次世界大戦後に国際連盟が設立され、当時はすでに帝国主義の時代が終わっていました。武力で他国を制圧するのは、もう国際的に許されない時代になっていたのです。
 しかし、それでは日本の権益は守れないではないか、と考えたのが陸軍でした。
 政府だけではありません。当時は新聞もほとんどが大反対の論陣を張りました。国民世論も反対一色でした」

――張作霖爆殺に対しては、政府も国民も、つまり日本全体が反対したのですね。

 「そこで陸軍は学んだのです。そこで陸軍は何をやったかというと、新聞に働きかけたのです。新聞社の上層部に時局説明を徹底的にやった。「満洲は生命線」というそうした標語の喧伝にも力を入れています。
 こうした準備の後に、3年後の昭和6(1931)年に関東軍は満洲事変をやった。すると、今度はどの新聞も後押しします。これは正当なる聖戦である、と。それで国民の世論もいっきにそちらに傾いたのですね」

――陸軍の内部に慎重派はいなかったのですか?

 「陸軍の主流はほとんど一致協力です。
 満洲事変は関東軍だけの暴走だったわけではありません。当時は陸軍の中で、明治以来の長州閥を一掃しようという改革派が力を得てきていて、それに満蒙問題を何とかしなければならないと考える勢力が一緒になりました」

――満洲事変で、日本はいっきに満洲制圧を成し遂げてしまいます。ここで日本は満洲の植民地化に向かわず、新国家『満洲国』を建設します。これはいったいどういう理由からだったのでしょうか?

 「植民地化では当時の国際社会では通りません。列強との衝突が避けられない。そこを新国家建設という体裁をとれば、列強をごまかせるかもしれないと考えたのです。
 そう考えた勢力が主流となって、満洲国を昭和7(1932)年に作ります。日本はもう後には引けなくなり、資本もどんどん投入していきました。
 そうなると、今度は満洲における日本の資本を守らなければならないということになってきます。日本の世論も、どんどん出ていくべしという論調一色になっています」

――日本の政治家や言論人に、満洲進出に反対する意見はなかったのでしょうか?

 「石橋湛山(たんざん)などは大反対です。ですが、そういう人はごく一部でした。
 経済的な状況もありました。日本は昭和3(1928)年にたいへんな不況に陥っていて、翌年にはウォール街の株暴落もあった。
 それで満洲へ日本からどんどん移民が出て行き、資本も投下されました。実際、それで日本は不況の痛手からいち早く立ち直っています。昭和12(1937)年くらいまでは、経済もよかった。ですから、国民は喜んだのですね。満洲を手放したほうがいいという話は出るはずもなかった」

――建国後も、日本国民はみな満洲国を支持したのですね。

 「そうです。満洲国が動き出した後は、政治家も官僚も財界も、さまざまな人々がさまざまな思惑で絡んできます
 陸軍は、これからの戦いは総力戦になるので、そのために満洲国を基地にしようとした。資本家は、日本の重工業の跳躍台にしようという考えです。
 実際に国のしくみを作ったのは日本人の官僚ですね。 満洲を人口の流出先とする。日本を支える重工業国家であり、かつ農業国家にする。さまざまな面で、日本が次に進んでいくために満洲をステップにするという大きな夢を描きました。つまり、陸軍は国防の最前線ととらえ、官僚や資本家は、日本を豊かにするための拠点と考えたわけです」


以下次回…。


プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

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