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『悪血(おけつ)』★★★★★

『悪血』★★★★★ 上田秀人さん(角川文庫)648円
『悪血』★★★★★ 日経新聞14年8月27日広告





 『悪血(おけつ)』★★★★★


 表御番医師診療録シリーズ4 『悪血(おけつ)』が大変面白い。お馴染上田 秀人ひでと)さんの作品である。上田さんは大阪の現役歯科医師

 主人公は江戸城中で診療にあたる表御番医師(おもてごばんいし)である矢切 良衞やきり・りょうえい)。江戸城中では権力をめぐって権謀術数が繰り広げられている。

 例えば、将軍対執権(老中)、老中同士、大奥の御台所みだいどころ:正室対お腹さま次期将軍生みの親対側室など。当人同士も争うが、その家来、付き人なども誰が権力争いに勝つかで自分の一門の将来が決まる。負ければ路頭に迷う結果になりかねない。争いは熾烈なものになる。

 5代将軍の綱吉の時代ともなると権力闘争も情報戦が主力となる。上田秀人さんお得意の伊賀、甲賀、黒鍬者(くろくわもの)などの忍びが活躍する。主人公の矢切 良衞もこの争いに巻き込まれていく。

 
 権力闘争の原理はいつの世も同じようなものであるためか、経営者、サラリーマンなどに人気があるためだろう日経新聞に広告が出ていた。上田秀人さんは「この時代小説がすごい」ランキング1位である。


 それに加えてこのシリーズは医者が主人公である。医療に興味のある私にはこたえられない。上田さんは現役の歯科医師である。本物。

 冒頭から引き込まれた。

 「医者の仕事のほとんどは、患者のいないときにある。診療録の整理、薬の調合、何より大事なのが知識を増やすための勉学であった。

 千年の歴史と膨大な経験を集大成した漢方といえども、最新の科学に裏打ちされた蘭法といえども、すべての患者を癒せるわけではない。

 医療というのは、一人一人によって違う。…身体のできあがった大人と未成熟な子供では、同じ病でも治療方法が変わることも多い。なにより男と女は同じには扱えない」

 
 「藪にならないためには、勉学を続けるしかなかった。勉学を続けて医者としての腕を上げなければ、患者から見捨てられる。

 『 医者は現役を引くまで勉学
 こう良衞に教えたのは、実父である。良衞に家督を譲って、隠居した父は、その後あっさりと余生に入り、いっさい勉学をしなくなった。

 『 医者を辞めてなにがよかったかと思えば、新たな学問をしなくてすむことだ 』
 父は隠居所を訪れた良衞に笑いながら言った」


 私には二重の意味で大変面白かった。お薦め致します。


以上

プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

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