FC2ブログ

「髪結い伊三次捕物余話」★★★★☆

「髪結い伊三次捕物余話」★★★★☆
 宇江佐 真理(うえざ・まり)さん (文春文庫)
「髪結い伊三次捕物余話」★★★★☆
 鶏頭、コスモス、キンセンカ?




 「髪結い伊三次捕物余話」シリーズ★★★★☆


 いろいろなものを読むが、小説はここ数年時代小説にはまっている。佐伯泰英さん、上田秀人さん、佐藤雅美さん、隆慶一郎さん、小杉健治さん、風野真知雄さん、辻堂魁さん…などと読んできて、新しい書き手を探していた。

 文学的価値などは関係ない。読んで面白いもの、味のあるもの、何かこころに残るもの、元気づけられるもの、新しい知識が得られるもの、などを求めている。たとえば、宇江佐 真理さんの「髪結い伊三次(いさじ)捕物余話」シリーズでいえば、本屋にあったのは7巻目「雨を見たか」であった。第7巻まで出ているということは、それなりのファンがいるということである。手に取って奥付を見る。2009年8月10日 第1刷、2014年4月5日 第5刷とある。それなりに売れていることが分かる。

 著者紹介を見る。昭和24(1949)年函館生まれ、函館在住。オール読物新人賞、吉川英治文学新人賞、中山義秀文学賞受賞直木賞候補などとある。かなりの書き手であることが分かる。「雨を見たか」を試しに読んでみることにした。面白かった。

 廻り髪結いの伊三次(町方同心の手先でもある)、恋人のちに妻になる深川芸者のお文ぶん)、伊三次の旦那である町方同心の不破友之進などが織りなす捕り物帖である。

 
 江戸時代は、なんでもかんでも株、株、株の時代で、技術があるからといって勝手に髪結い床(店)を開くことは出来なかった。他の本に書いていたことであるが、一つの町内に髪結い床は一店と決められていたようで、店を出すには、誰かが(廃業して)売り出した株を買うしかなかった。廃業する者にとっては老後の生活資金に充てる退職金のようなものである。株は、時代にもよるが、百両(1両10万円とすると1千万円)ほどしていたようである。

 髪結い床に限らず、同業者組合(例えば両替商組合、材木組合など)は堅固で、幕府や藩は、組合を通じて統治していた。

 親方の店で十年も修行して技術を身につけても、親・兄弟・親戚などに金持ちがいなければ、廻り髪結いから始めるしかない。出張髪結いである。お客様の元に出かけて行って評判を得て、お得意様をこつこつ増やしてお金を貯めるしかない。伊三次はその一人である。

 親方に子どもがいなければ、見込んだ弟子に店を継がせ(株は親方が持っている)、老後の面倒を見させ、死後株を譲るということもやっていたようである。江戸時代には、現代にも通じるいろいろな智慧があった。


 7巻目の「雨を見たか」が面白かったので、1~3巻を注文した。いま、1巻目の「幻の声」(オール読物新人賞受賞作:私の持っている文庫は20刷)を読んでいる。シリーズ全部を読むことになると思われる。


【追記】

 1999年に、フジテレビで、歌舞伎役者の中村橋之助を主人公にドラマ化された。


以上

プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

最新記事
カレンダー
09 | 2014/10 | 11
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
リンク
カウンター