遅かれ早かれ中国経済はダメになる

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日本はシロアリ2割、チャイナは8割。

田植えが始まった

遅かれ早かれ中国経済はダメになる
なにせ中国は巨大過ぎる。中国を評するある人はその鼻を触って評論し、別の人は耳を触って論評し、また別の人は足を撫でてうんぬんしている「群盲象をなでる」状態。また、朱鎔基元首相や李克強首相まで「中国の統計はウソだらけ」という闇状態。
いろいろ本や新聞を読んでいるが、7:3くらいで悲観論が強いようである。私も遅かれ早かれ中国経済はダメになると思っている。『帳簿の世界史』の広告惹句にこうある。「中国は会計責任を果たさない超大国。そこに次の滅びの不安がある」。全く同感である。
邱 海涛(きゅう・かいとう)さんの『 いま中国で起きている大破局の真相 』から、ほんの一部を抜粋してご紹介します。
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民間企業を壊滅させる中国の徴税
税制に不合理な部分が多すぎる。中国の税制は流通税が主体である。流通税とは流通段階で課される税金で、増値税(中国の付加価値税)、営業税、消費税、関税が含まれる。
さらにひどいのは「過頭税」というもので、厳密にいえば、違法の徴税である。中国の税務局では担当官が年度の徴税ノルマを課せられている。税法に基づいてではなく、与えられたノルマを達成しなければならない。そこで「過頭税」が生まれたのだ。来年、再来年の税を今年のうちに取る、納税の義務のない税金を企業に強要する。勝手に税率を上げて税を取る。
加えて、訳の分からない各地方政府からの行政管理費用の徴収が多すぎる。これは法律で決められる税収ではなく、なんの根拠もない雑費制度である。たとえば、「都市建設費」「除雪費」「河道整備維持費」「農民工子弟教育費」(以下省略)…などで、たとえば広東省の東莞市(とうかんし)ではなんと総計73項目の行政管理費用が徴収されている。
要は地方政府の略奪行為で、勝手にいろいろ名目を立てて民間企業から金を奪い取ろうとしているのだ。おとなしく言われる通り税を納め、管理費を納付する企業は100%倒産する。だから、役人に賄賂を使って免除項目を増やす民間経営者がいるわけである。
さらに言えば、中国の税制の決め方に大きな疑問がある。
中国には22の税の種類があるが、日本の国会にあたる全国人民代表大会で審理・可決された税は「企業所得税法」など4つだけであって、残りの18の税は国務院が勝手に公布した暫時(ざんじ)条例である。この異常な状況は数十年も続いてきた。
加えて民間企業は、新規工場の立地、生産事業の許認可、生産原料の確保など、いずれも国有企業に比べて不利な立場に立たされており、決して勢いよく発展するどころではない。少数の例外を除いて、95%の民間企業は銀行から一銭も借りられない。
国有企業の最大のメリットはいくらでも銀行から融資を受けるとができるということだ。そのうえ、税の優遇政策を受けている。
民間企業は資金繰りや重い税に喘いでいるにもかかわらず、国有企業は通信、電力、鉄道、エネルギー、軍事産業、石油(以下省略)…などの資源、市場を支配し、巨大な利益を上げ、国有資産を私有化している。それが可能なのも、裏に権力を笠に着る太子党の利益集団の存在があるからだ。
中国では民間企業が絶対に育たない
中国の民間企業の数は約1000万社で、自営業の人は約4000万人といわれている。中国の労働力の70%は民間企業で働いている。民間企業はGDPのうちの企業部分のほとんどを創出している。民間企業は中国経済の重要な支柱といえる。
にもかかわらず、民間企業は融資、投資優遇政策、許認可の申請手続き、税金、資源と市場の確保の面において、いつも冷遇されている。
中国の大小国有企業の社数はおよそ5万社前後とみられるが、利益を上げる会社は「中国石油天然気集団」「中国石油化工集団」「中国海洋石油」「中国聯合」「中国移動通信」「中国電信」など、たかだか10社くらいだけであり、石油会社や通信会社といった国民経済に欠かせない中枢産業に集中している。ほかの国有会社はいずれも生産過剰でものが売れないか、赤字経営なのだ。
理由はもちろん、国家の後ろ盾があるという慢心による乱脈経営である。国有企業はすべてにわたり国家の支援を受け、60%以上の社会資源を独占しているが、GDPへの貢献度はわずか3%程度にとどまり、就職率への貢献度は5~10%であった(2010年)。
役人の許認可利権がGDPを30%減少させている
中国経済の実質は腐敗を生む「権力者経済」である。
日本の場合、起業または新しいプロジェクトを立ち上げる際、なにを真っ先に考えるだろうか。おそらく資金、市場、人材、技術、販売について諸条件が揃っているかを考えるだろう。その他に必要なのはやる気だけだ。
しかし、中国の場合、起業家や投資家は、まったく違うことを考える。まず役人の顔色を見なければならない。
中国では、会社設立・経営に関して、地方政府にいちいち申請・報告しなければならない。なにをやっていい、なにをやってはいけない、そして誰がやっていい、誰がやってはいけないなどはすべて政府が決めるのだ。それを「行政審批(行政許認可)」という。「行政審批」の決定はでたらめが多い。
中国の役人腐敗は99%が「行政審批」制度から生まれている。立派な賄賂市場があるからである。
中国の経済学者・張維迎(ちょう・いげい)は、10年前に「行政審批制度がなくなれば、中国のGDPは30%増となり、役人腐敗は50%減となる」と語ったことがある。
許認可の基準は審査官次第
許認可について最大の問題は、許認可の基準というものがないことだ。当該部署の課長級、部長級などの審査官が独自の判断で決めることが多い。
こうした現状だから、中国は民間企業の経営者にとっては非常に厳しい投資環境である。コネを使って審査官に賄賂を贈ったり、煩雑な手続きの段取りを飛ばしたりして生存するのに精いっぱいというのが、中国の民間企業の実情なのである。
以上