中国の経済統計

産経新聞17年2月9日
中国では、相変わらず虚偽の報告が相次いでいる。

朝日新聞17年2月11日
中国の経済統計
中国の経済統計があてにならないことは、朱鎔基(しゅ・ようき)元首相、李克強(り・こっきょう)現首相も認めている。李克強首相は、経済活動の実態を推し量るため、①鉄道貨物輸送量②銀行融資残高③電力消費の3つの指標を加重平均して用いていると言われ、この3つの指標は李克強指数と呼ばれている。
でたらめな統計には理由がある。事実を報告した責任者は失脚させられ、哀れな末路をおくっているからである。もっと悲惨なのは人民である。毛沢東がおこした大躍進運動では虚偽の報告が相次いだため、軌道修正が遅れ、5千万人もの人民が餓死したとも言われている。
朝日新聞2月11日に中国総局長の古谷 浩さんがそのあたりのことを上手くまとめている。抜粋してご紹介します。
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統計ほら吹き 透ける圧力
「過去において、経済統計のデータに水増しがあった」
遼寧省の陳求発省長がそう明らかにしたのは、今年1月17日に開かれた同省の人民代表大会の場だった。
昨年の同省の経済成長が目標値に届かなかった理由として、陳省長は「役人が出世のために数字を改ざんしていた」と弁明した。
改ざんの詳細は今も公表されていない。そもそも問題は、目標未達成ならば、失脚するかも、という共産党の仕組みではないか。
改革の動きがなかったわけではない。
1990年代末、朱鎔基首相は「目標値」の発表をやめ、「予測値」に改めた。役人への圧力を減らし、データ改ざんを防ぐ狙いだ。でも、目標を掲げなければ、役人を力ずくで動かすことはできない。定着はしなかった。
経済統計が、党内の政治闘争と結びついてきた経緯もある。
歴史を振り返れば、毛沢東時代の大躍進運動では、「15年で英国に追いつく」とのむちゃくちゃな生産目標が掲げられたが、「目標達成」との偽りの報告が相次いだ。経済は崩壊し、数千万人とも言われる餓死者を生んだ。
朝鮮戦争で中国義勇軍の司令官を務めた彭徳懐(ほう・とっかい)将軍は、この過ちを毛沢東に手紙で直言し、失脚した。
医師らの回想録によると、彭の最期は悲惨である。軍の病院への事実上の幽閉。窓をふさがれた病室で、名前ではなく、番号で呼ばれながらの死だった。
データを改ざんしていたのは遼寧省だけだったのか。経済統計への不信感は、習氏への権力集中の危うさに対する懸念にも重なる。共産党がこうした声を払拭したいなら、過去の教訓を本当の意味で学ぶべきだと思う。
以上