高村(こうむら)正彦さん「私の履歴書」⑬から

高村正彦さん「私の履歴書」
 日経新聞17年8月13日
 「私の履歴書」は自民党副総裁の高村(こうむら)正彦さん。
高村(こうむら)正彦さん「私の履歴書」⑬から
★★★★★ 今まで読んだ上田秀人さんの本でベスト。登場人物それぞれの立場の力学、利害、心理がよく描かれている。
高村正彦さん「私の履歴書」
 子どもは少ないにもかかわらず学習塾は至るところにある。この学習塾は町はずれにあるので経営できているのかと心配であったが、先日の日曜日に何か催事があったらしく、写真のようであったので少し安心した。
高村正彦さん「私の履歴書」
 栗林公園北門近くの民家。典型的な百日紅(さるすべり)の樹形をしている。





 高村(こうむら)正彦さん「私の履歴書」⑬から


 高村正彦さん(75)は、山口県出身のベテラン自民党衆院議員(12期)。中央大学卒の弁護士でもある。経企庁長官、法務、防衛、外務の各大臣を歴任し、現在は自民党副総裁。

 「困った時の高村さん」として日本の政治を実質的に進めてきた有力なおひとり。「紛争解決屋」として日本のみならずアジア各地でも各種問題の解決にあたってきた。

 日本経済新聞の2017年8月「私の履歴書」は高村正彦さん。17年8月13日の「私の履歴書」⑬を抜粋してご紹介します。


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    日 中 韓


 外交は最善を尽くしても、想定外の結末を迎えることがある。

 1998(平成10)年7月、参院選で自民党が敗れ、首相は橋本龍太郎さんから小渕恵三さんに交代した。私は外相に起用された

 就任直後、国会で竹下登元首相にばったり出会った。「小渕が訪中するはずだったのに首相になってしまった。高村さんが行くのも一案と思うがな」。

 外務省に戻ると、柳井俊二事務次官らを集め、訪中を決めた。

 北京で再会した唐家セン外相との話し合いは順調に進み、9月の江沢民国家主席の来日時に「21世紀に向けた長期的な協力関係」を示す共同文書を発表することを確認した。「過去にしがみついて、おたくに迷惑はかけません」。唐外相の言葉にほっとした。


 他方、10月に韓国の金大中大統領の来日が予定されていた。金大統領はしきりに「20世紀に起きたことは20世紀のうちに終わらせましょう。いちど文書であやまってもらえば、二度と過去のことを持ち出すことはありません」といってきていた。

 金大統領は日韓関係の改善に本気で取り組んでいる。そう判断した小渕さんは「韓国にはいちど文書であやまろう」と決断した。


 8月下旬、江主席の来日が急に延期になった。揚子江流域などで水害が起き、江主席が救援の陣頭指揮をとることになったのだ。


 10月の金大統領の来日は大成功だった。首脳会談で、小渕さんは「過去の一時期、植民地支配により、多大な損害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受け止める」と謝罪した。金大統領は「今後、過去の問題を持ち出さないようにしたい。将来についても自分が責任を持つ」と答えた。共同宣言には、日本の「痛切な反省とおわび」が盛り込まれた


 中国は態度を急変させた。「先の戦争での中国の被害は韓国より何百倍も大きい」として「おわび」の表現を求めてきた

 11月の江主席来日の前日に到着した唐外相は「韓国との文書におわびを入れて、中国とのにはいれないのは納得できない」と迫ってきた。

 私は「韓国と結んだ基本条約は過去に触れていない。中国とは国交正常化の際、共同宣言に『多大な迷惑をかけた責任を痛感し、反省する』と書き込んだ」と反論し、文書化に応じなかった小渕さんが口頭でおわびすることで決着した。

 翌日、中国元首として初めて来日した江主席は不満だったのだろう。日本批判を繰り返した。韓国よりも中国が嫌いという日本人が急増した。


 その後、韓国も政権が交代するたびに歴史問題を蒸し返すようになった

 外相就任から4カ月、国益を守ることの難しさを痛感した。


以上


プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子ほか多数。

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