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海舟と西郷と慶喜①

海舟と西郷と慶喜
 週刊朝日17年12月1日号
 咸臨丸はその後、北海道への輸送船となったが、1871(明治4)年、北海層木古内町サラキ岬沖で座礁、沈没した。今はかの地でモニュメントとなっている。
海舟と西郷と慶喜
 同。「司馬遼太郎と明治」
海舟と西郷と慶喜
 朝日新聞17年11月25日
海舟と西郷と慶喜
 『氷川清話』は学生時代から4冊購入。イザベラ・バードの『朝鮮紀行』とともに折にふれて読んでいる。
海舟と西郷と慶喜
 江戸城無血開城で海舟の評判は幕臣間できわめて悪かった。福沢諭吉には『痩我慢の説』を突きつけられた。その返書は「行蔵(こうぞう)は我に存す、毀誉(きよ)は他人の主張」。
 海舟と西郷と慶喜
 近くの神社の猫たち。





 海舟と西郷と慶喜①


 海舟西郷慶喜は日本の恩人である。海舟には先が見えていた。もし幕府と薩長などとの戦いが大規模な内戦に発展していれば、欧米やロシアの植民地になっていた可能性もあった。明治になって、海舟は慶喜や西郷の名誉回復に尽力し、窮乏した幕臣たちを援助した。

 週刊朝日12月1日号「司馬遼太郎と明治」から抜粋してご紹介します。


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  幕末の宇宙人


 西郷龍馬を結びつけたのは、勝海舟(1823~99)だった。

 初めて会ったのは元治元年(1864)9月である。このとき海舟は幕府の軍艦奉行をつとめ、神戸で海軍操練所(海軍士官を養成する幕府機関)とそのすぐ近くで私立の海軍塾を開いていた。塾頭は勝に影響を受けていた坂本龍馬とされている。

 一方、西郷は京都の薩摩藩邸で「軍賦(ぐんぶ)役兼諸藩応接係」をつとめていた。軍事、外交の舵取りを担当し、上司は若き家老、小松帯刀である。

 実質的な藩主の島津久光は生麦事件、薩英戦争といった難局に苦慮、藩内外でリーダーシップを発揮できずにいた。次第に下級武士の改革派グループ「誠忠組」が藩政で存在感を増していく。リーダーは家老の小松帯刀、大久保利通だが、2人より人望を集めていたのは西郷だった。

 西郷待望論を抑えきれず、久光はついに(流されていた)沖永良部島から西郷を呼び戻したのである。決定を下すとき、西郷嫌いの久光は悔しさのあまり、キセルに歯型を残したという。

 島から帰った西郷はすぐに京都に派遣された。薩摩と長州の暗闘はクライマックスを迎えていた。

 元治元年は長州にとって〝厄年〟である。

 6月に池田屋事件があり、新選組の襲撃で吉田稔麿(としまろ)ら藩士が無念の死を遂げた。

 7月の「禁門の変」では、朝廷の主導権を取り戻そうと武闘派が暴発、京都に攻め込んだが、薩摩と会津、幕軍によって敗北する。

 薩軍の指揮をとったのは西郷だった。来島(きじま)又兵衛、久坂玄瑞らは戦死、桂小五郎(木戸孝允)らは京都を追われた。とどめは8月、関門海峡での外国船砲撃の報復として「四国(英仏蘭米)艦隊」の砲撃を受け、砲台が破壊されている。


 さらに西郷はこの機に乗じて、長州を追い詰めようとしていた。幕府軍艦奉行の海舟に面会を求めたのは、長州征伐を催促するためだった。

 幕閣は何をモタモタされているかと西郷が聞くと、海舟はいった。
 「幕閣々々とたいそうに申されるが、ろくな人間はいませんよ。老中、若年寄といっても、みな時勢にくらい。(略)その日ぐらしのおどろくべき無能の徒ぞろいですよ」

 西郷は息をのんだ。
 〈幕府の軍艦奉行から、これほど痛烈な幕府批判を聴こうとはおもわなかったのである〉

 批判はその後も続き、
 「日本はほろびますな」
 ともいった。

 防ぐには強烈な列藩同盟の政府が必要だともいう。
 「幕府なんざ、一時の借り着さ。借り着をぬいだところで日本は残る。日本の生存、興亡のことを考えるのが当然ではないか」

 海舟は西郷をすっかり魅了した。さっそく西郷は、国元の盟友、大久保利通に手紙を書いている。
 「勝氏へ初めて面会仕り候処(つかまつりそうろうところ)、実に驚き入り候人物にて、最初は打叩くつもりにて差越し候処、とんと頭を下げ申し候」
 といった手紙で、
 「この勝先生にひどくほれ申し候」
 と、感服している。

 『竜馬がゆく』では、海舟は別れ際にいった。
 「おもしろい男がいますよ」
 西郷は興味をもった。〝ほれた〟男の推薦ならば、ユニークな人物なのだろう。
 「土州人で、坂本竜馬という男です。いずれひきあわせましょう」 
 龍馬と西郷の出会いのきっかけも、海舟がつくったことになる。


つづく


プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

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