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ある医師の半生

ある医師の半生
 日経新聞17年10月22日
ある医師の半生
 四国新聞17年11月15日
 私の実感と全く同じなのでビックリしている。コンビニやマックなどで働く高齢者が増えている。先日、近所の73・4歳のおばあさんが、「辞めさせてくれと言うのに、『おってくれ、おってくれ』と言われて、辞めさせてくれんのよ」と言っていた。
ある医師の半生
 ある医療モール。ここは2棟からなっており、右側には6科+調剤薬局、左は2科+調剤薬局。ここに来るたびに商売は場所が大事だと思う。来客数は、恐らく右側の薬局の方が左より4~5倍多い。20㍍くらいしか離れていないのに微妙なものである。
ある医師の半生
 7-11新番町小学校前店。少し入り込んでいて分かりにくい。近くに小学校と高等学校がある住宅地。近くに適当な店がないためか、いつ見ても繁盛している。当初、繁盛するとは思えなかったが…。
ある医師の半生
 サークルK檀紙(だんし)店。2年足らずで閉店。当初から繁盛するとは思えなかったが、案の定。国道11号線に面している。奥、上は高速道路。商売は難しい。
ある医師の半生
 香川県立図書館・文書館。明日から12月4日までシステム変更のため休館。長すぎる!





 ある医師の半生


 恐らくほかの人もそうだと思うが、いろんな職業に興味がある。学生時代には意識的に20種類くらいのアルバイトをした。しかし、ちゃんと食っていくためには、例えば農業であれ漁業であれ、10年くらいは修行する必要がある。医者ともなれば、そんなものでは済まない。

 南木 佳士(なぎ・けいし)さんは、医師兼作家である。『ダイヤモンドダスト』で芥川賞を受賞している。日本経済新聞10月22日の文化欄に、南木さんのエッセイが載っていた。仕事に関する前半部分をご紹介します。


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  定年後の夕景


 夕方になると目がひどく疲れる。

 春に信州佐久の総合病院を定年退職し、非常勤医になったのだが常勤時の人間ドックの診察、肺がん検診の胸部X線写真読影に加えて、乳房X線撮影(マンモグラフィ)の画像を読む仕事が加わったからだ。

 若いころは呼吸器内科を担当しており、胸部X線写真の読みには慣れていた。肺がんの手術で摘出された肺葉の標本と術前のX線写真を詳細に見比べ、知識を確実なものにするべく務めたりもした。

 それが、芥川賞受賞の翌年、37歳でパニック症を発病し、やがてうつ病の泥沼にはまり、臨床の現場はもちろん、作家の表舞台からも降りざるをえない事態に陥った。

 末期がん患者さんの診療をおこないつつ文芸誌に小説を発表し続ける行為は、いまふり返れば、おのれの技術、体力の限界を無視して北アルプスの険悪な岩稜地帯に足を踏み入れ、根拠なき楽観にそそのかされて歩いていただけであり、滑落事故はあらかじめ予想されていた喜劇でしかなかったのだとわかる。

 病院の健康診断部門にまわしてもらい、なんとか生きのびた。山を歩いたりプールで泳いだり、それまでまったく無視してきたからだの手入れを始めてようやく元気になった。年間1万3千人以上の受診者を受け入れる人間ドック科責任者の立場で、40年勤続の定年退職を迎えられたのはまさに奇跡であった。

 しかし、その間、この身が担わねばならなかった責務を負い続けてくれた後輩、同僚の医師二人に進行の速いがんで先立たれた。心身のリハビリのつもりで細々と書いていた小説やエッセイを本にまとめてくれた女性編集者もがんで逝った。

 自裁の手段を考えない日はないほどに追いつめられ、周囲から、あいつはもうだめだ、とみなされることでかろうじて生きのびられた皮肉な存在である「わたし」を常に忘れない。

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 けれど、目は疲れる。
 
 定年を二年後に控えたある日、ふと思い立って独りで乳房X線写真読影の勉強を始めた。NPO法人日本乳がん検診精度管理中央機構が実施する二日間の講習会を受講し、読影試験に合格すれば認定医になれる。

 一年半かけ、三回目の試験で合格した。だれの助けも借りずに認定医になろうと意地を張っていたのだが、二回の不合格で実際の乳がん症例写真を多く読まねばだめだ、と気づき、はるか年下の乳腺外科部長に頭を下げ、乳がん患者さんの術前画像を読ませてもらう許可を得てようやく合格したのだった。みずから恃(たの)むところすこぶる厚く、失敗からしか学べぬ性格はどこまでも付きまとうらしい。

 定年直後の春から乳がん検診の一次読影に参加した。最終判定を下す二次読影は経験豊富な現役女性医師が担当する。

 様々なモニタが並ぶ読影室の片隅に厚いカーテンで照明をさえぎった区画がある。手元の字がようやく読める暗い環境で高輝度、高精細のマンモグラフィ専用モニタ画像を相手にマウスで拡大や画質調整の操作を施し、乳がんの微妙な変化を見逃さぬよう気を配る。

 目の疲労がつのってくると視野がぼやけてしまう。そうなる直前に切りあげ、ザックをしょって病院の裏口から帰る。齢を重ねるにつれ、疲れた状態での頑張り仕事はよい結果を生まないことがよく分かってきた。

 非常勤医になって給与が少なくなったぶん、自由時間は増えた。

 (後半は略)

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(感想・意見など)

 ここのところIOT、AI時代になるとどうなるかを考えることが多い。X線写真読影などは、まさにAIの得意分野ではないかと思う。患者さんの術前画像とクラウドに蓄えられた何十万もの過去の症例(ビッグデータ)と瞬時に見比べることは、AIにとっては朝飯前のはず。しかも、学習してその精度はどんどん上がっていく。

 あと10年から15年もするとそうなるのではないか。私の母は92歳。近所に90代はごろごろいる。まさに「人生100年時代」。これからは80歳くらいまでは働くつもりで、変化に対応すべく、勉強し続けるしかない。


以上


プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

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