「赤ちゃんの泣き声で乳張る不思議」②

毎日新聞12年9月13日「仲畑流万能川柳」
「赤ちゃんの泣き声で乳張る不思議」 (さいたま ぴっぴさん)

毎日新聞18年1月7日「時代の風」欄

由紀さおりさんの『歌うたいのバラッド』。新聞で見てネット注文した。「ルームライト」「季節の中で」「つかの間の雨」「『いちご白書』をもう一度」「あの日に帰りたい」「人生が二度あれば」など全10曲。由紀さおりさんは、「夜明けのスキャット」以来のファン。お姉さんの安田祥子(さちこ)さんとの童謡も素晴らしい。コンサートに行ったこともある。
しかし、このCDは勝手が違った。車の中で3回ほど聞いたが、昼間聞くものではない。いかにもバラード。昼間は先日買った山田姉妹の『あなた』が爽やかでいい。

ここ半年ほどで送られてきた通販カタログ。私も商売をしてきたので、見込客の大切さは痛いほど分かる。チラシやカタログにどれだけの精力と費用が注がれているかは知っている。私は通販をそれほど利用していない。それにしても……。

NHK1月8日夜9時のトップニュース。
NHKはおかしいのではないか。私が確認した限りでは、今夜7時と9時のトップニュースは、成人式なのに着物レンタル業者の「はれのひ」と連絡がつかない、というものであった。何故こんなことがトップニュースになるのか?「人生に一度の」を何回も何回も繰り返していた。尺も長過ぎる。経営破綻したのであれば当然のことが起こったに過ぎない。よくあること。
17年12月19日夜7時のニュースもおかしいと思った。沖縄の「米軍ヘリコプターがわずか7日後に飛行を再開」と言っていた(しかも、鈴木アナだったかが感情を込めて)。「わずか」はNHKの主観。「わずか」かどうかは視聴者がそれぞれに判断すること。NHKが判断を視聴者に押しつけるべきではない。
これでは朝日新聞と同じ。作為が過ぎる。朝日は購読しなければ済む。私は実際に購読をやめた。「米軍ヘリコプターが7日後に飛行を再開」と事実だけを伝えるべき。「わずか」は余計。印象操作はやめてほしい。今後もこのような主観交じりの報道を続けるようであれば受信料支払いを拒否しよう。
「赤ちゃんの泣き声で乳張る不思議」②
2013年1月11日のブログ「赤ちゃんの泣き声で乳張る不思議」で書いたことと同様なことを、少し角度を変えて、総合研究大学院学長の長谷川眞理子さんが毎日新聞1月7日の「時代の風」に書いている。
私は理系に弱い。理系のことは、長谷川眞理子さんや、毎日新聞論説委員(科学担当)の青野由利さん(「土記」を執筆)や、動物行動学者でエッセイストの竹内久美子さんなどに学ぶことが多い。
1月7日「時代の風」を抜粋してご紹介します。
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犬と暮らす
少子化社会に差す希望
私はイヌが好きで、現在、スタンダード・プードルを2匹飼っている。上の子は今年で14歳のキクマル。下の子は3歳になったばかりのコギク。2匹とも雄である。生後3カ月までは、しっかりイヌのお母さんに育てられてしつけてもらってある。
キクマルが最初にうちに来た当時、私は仕事の関係で別のマンションに住んでいたので、それほど濃密に接することはなかった。キクマルは誰よりも夫になついており、完全な「お父さん子」である。
コギクが来たときは違った。夫と2人でもらいうけに行き、帰りの車の中では、私が抱いていた。生後3カ月。体重は7.5キロほどだった。それ以来、私たち夫婦とイヌ2匹の生活が始まった。
2歳までのコギクはいたずら盛りで、どれだけ大事な物を壊されたか。そんなときには、こちらも頭にきて本気で怒るのだが、やはり可愛いので抱っこすると、私の肩にあごをのせて眠ってしまった。その柔らかい手触りとぬくもり。そのとき、本当に心の底からこの子が可愛いという感情が湧いてきた。きっとそのとき、私の脳内にオキシトシンという愛情ホルモンがどっと出て、受容体がそれを感知し、情動系に不可逆の変化が起こったに違いない。子どもを可愛いと思う感情の脳内基盤に関する研究によればそういうことだ。
告白すると、私はもともと人間の子どもがあまり好きではなかった。仕事柄、原稿を書いたり論文を読んだりして集中することが多いが、そんなときに子どもの泣き声がすると嫌だなあと思っていた。保育園ができる計画に地元の人たちが反対するという話をよく聞く。本来そういうことではいけないと思いつつ、反対する人たちの心情は理解できた。
ところが、である。コギクが心底可愛いと感じるようになってしばらくたったころ、通勤の電車の中で本を読んでいるとき、同じ車両に乗っていた赤ちゃんが泣きだした。かなりうるさかったのだが、なんと私はうるさいとも嫌だとも感じることなく、「あれれ、あの子はどうしたのかな?」と心配している自分に気づいたのであった!
つまり、私の「子ども可愛い」感情は、コギクというイヌを刺激として開発されたのだが、この感情が「人間の子ども一般」に拡張されていたのである。
赤ちゃんを育てているお母さん方に聞くと、まさにそうであるらしい。つまり、自分の子どもに対して可愛いという絶対的な感情が出てくると、それはよその子どもたちにも拡張されるのである。
京都大の明和政子教授の研究によると、大学生にボランティアで週1回ずつ保育の仕事をしてもらうと、そういう経験を積んだ後では、赤ん坊の泣き声に対する脳内の反応が変わるそうだ。私と同じで、それほど嫌だと思わなくなるらしい。
このことは、子どもと接する経験が日常的にある場合、ないときよりも子どもをケアする心が準備されることを示している。これはまさに、私たち人類が共同繁殖の動物であることを示しているのではないだろうか。少子化が進むと、社会一般に、子どもと接する機会が減少する。そうすると、子どもをケアする感情のスイッチが入りにくくなり、ますます少子化が進む。
私自身の経験によれば、そのスイッチを入れるには、イヌでもかまわないのである。少子化は起こっているものの、逆に犬猫などのペットは増え、「少子多犬」の時代である。イヌがきっかけとなって、子どもをケアする心を持つ人の数が増えていけば、この先の社会に希望が持てるようになると期待したい。
以上