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『家(チベ)の歴史を書く』★★★★★★

『家(チベ)の歴史を書く』★★★★★★
  『家(チベ)の歴史を書く』 朴 沙羅(パク・サラ)さん(筑摩書店) 1944円 ★★★★★★ 5点満点の6点。

 かねてから、「済州島四・三(さいしゅうとうよんさん)事件」「朝鮮戦争」や朝鮮戦争中に共産主義者やその被疑者が100万人前後も虐殺されたとされている「補導連盟事件」の実情を知りたいと思っていた。
 その時、何万人以上ものコリアンが日本に密入国してきたとされているが、その時の様子も知りたかった。そういう意味でドストライク。
 密入国してきた人の日本における法的地位についても知りたいと思っている。

『家(チベ)の歴史を書く』★★★★★★
 済州島(チェジュド)は韓国領。対馬は日本領。済州島は香川県と同じくらいの大きさ。
 島の中央部に漢拏山(ハルナサン:1950m。だいたい四国の剣山と同じ高さ)という韓国最高の山がある。
 密出国・密入国には釜山(プサン)も関わりが深い。

『家(チベ)の歴史を書く』★★★★★★
 朴家の家系図。朴家はもともと、済州島北東部の朝天面新村里という村から密入国して来た(「面」は村、「里」は大字に相当)。
 朴 沙羅さんの父は在日コリアンの六男四女の末っ子。母は日本人。父は末っ子の男子のため大事にされ、唯一大学を出ている。

『家(チベ)の歴史を書く』★★★★★★
 朝日新聞18年10月27日
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『家(チベ)の歴史を書く』★★★★★★
 今朝は薄っすら雪化粧。

『家(チベ)の歴史を書く』★★★★★★
 燐家の梅。満開。





 『家(チベ)の歴史を書く』★★★★★★


 朝日新聞でこの本の存在を知った。図書館で借りて、3分の1ほど読んだところで購入を決めた。間違いなく、今後何回か読み直すことになると思う。

 朝日新聞2018年10月27日の紹介記事を抜粋します。


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 アジアの歩みとリンクする語り

 父は在日コリアンの六男四女の末っ子。母は日本人。父方の一族の話が「面白い」と自覚したのは高校生の頃だ。

 父方の一族の故郷は東シナ海に浮かぶ済州島(チェジュド)(韓国)。身の上話は「一族の集まりで時折耳にしていたけれど断片的なものだった」。改めて生活史の調査として聞き始めると、在日コリアンの1世や2世が歩んだ道のりが浮かび上がってきた。

 本に登場する伯父や伯母は主に4人。なぜいつ、どのように大阪へ渡ったのか――。「一回帰ってまた来たん?なんで?」。素朴な疑問を投げかけ、返ってくる答えに驚きながら、丁寧に東アジアの現代史と照らし合わせた。

 一家の「移動」には、日本の植民地支配や戦後の混乱が関係していた。済州島と大阪を勝手に行き来すれば今なら「密航」だが、戦前戦中は帝国内の出稼ぎ。定期航路もあった。戦後、済州島では島民の武装蜂起と政府による弾圧があり、朝鮮戦争も起きた。

 調査では「語られたことをどう理解すればいいか分からない。そうした壁に何度もぶつかった」。

 大学で講師をしながら、今後は、第2次大戦後の各国の出入国管理政策を掘り下げるつもりだ。

 (文・大内悟史さん 写真・滝沢美穂子さん)

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(感想・意見など)

 ●「私が生まれてほどなく、祖父は他界した。通夜の席で伯父たちは、祖父をどこの墓に入れるか、大阪なのか済州島なのか、祖母と同じ墓に入れるのか、いやあの二人はあんなに仲が悪かったのだから同じ墓に入れてはいけない、と言い争い、祖父の霊前で殴り合ったらしい。それを見ていた母の父(日本人)は、えらいところに娘を嫁にやってしまった、と思ったらしい」

 「私がまだ3歳かそこらの頃、親戚たちが、京都・嵐山で花見をした。そして例によって殴り合いになった。彼らは最終的にはビール瓶だか一升瓶だかで殴り合い、見かねた周囲の人が警察に通報した。やってきた警察官は、伯母(伯父の妻)たちに『兄弟喧嘩やからほっといて』と言われて、特に何もできずに立ち去ったらしい」

 (この部分を読んで、学生時代を思い出した。クラスでコリアンの話になり、大阪の連中が何人か、「彼らは激しい人たちだという印象がある」と言っていた)


 ●伯母(父の二番目の姉)の配偶者(伯父)の話

 伯父さんは家族を置いて大阪に来ていた(密入国―これはこれで面白いが長くなるので省略)。父親はすでに他界。母親と弟二人が済州島に残っていた。

 二番目の弟は「山に入る」、つまり四・三事件にゲリラとして参加しようとしたが、途中で計画を変え、ソウルへ行く。朝鮮戦争までは連絡が取れたが、そのあとに三十八度線を越えて北に移動したのか、連絡が取れなくなった。

 「あのとき、南鮮はめちゃくちゃなことをしおったんや。…済州島の人々は、あの当時みんな小学校ぐらいは出とったけども、あの人らは学校も出てない。そんなんが、警察官だとかなんとか、済州島でめちゃくちゃをするわけ」
 「そいつらに徹底的にいじめられた。むちゃくちゃ悪いことされた。だからあの子[末の弟]も、兵隊に行ったわけでもなんでもないのに、捕まえて、これは暴徒やということで巨済(コジュ)という島に軟禁されたということまでは知っとったけど」

 「兄貴を探して行くんやて行ったけど、結局途中で捕まってしもて、あれは軍人でもなんでもない、村の女の子がそれを見て『行ったら殺される、行くな』て言うたらしい。『悪いことしてないのになんで殺されるんや』て[弟が]言うたんが最後や(ここからしばらく泣き声)。

 「巨済島でもまた反乱がおきてね。その、それを皆殺しにされたらしいんや。そのときに弟は殺されたと思う(ここからしばらく泣き声)。何して死んだかも全然知らん」


 六十年を経て、彼は済州島を去った選択を肯定する。

 「私が喜んだことというのは[済州]四・三[事件]の前に私がここへ来てしもたということ。それから何カ月間のうちに、友達や何かが麦畑で銃殺されたとか、いろんな噂聞いたけどね。済州島に来た警察の偉いやつらが、村の人たちを捕まえて、一列にずらっと並ばして、孫をあばあさんの前に立たせて銃持たせて突かす。もう、恐ろしい。そんな恐ろしいの、目にせんと逃げてきてよかったなと」

 ――ほな日本に来てよかったと

 「解放されたという気持ちやな」

 ――日本に来て、解放されたと

 「やっと」


 ●少し前にブログでコリアの「泣き女」について触れたことがある。「泣き女」についても少し書かれている。

 私はいわゆる「泣き女」と呼ばれる人々の声を聞いたことがないが、貞姫(チョンヒ)伯母(次女)さんが聞いたことのないような声をあげて泣くのを見たことがある。東奎(トンギョ)伯父(四男)の葬式のときだった。その声はとても大きく、ワアワアというよりはヨウヨウ、オウオウとでも書くほうが正確な気がする。とても大きな声だけれども、高くも低くもなく、一定のリズムがある。

 伯父さんの葬儀の途中から伯母さんは泣きはじめた。葬儀のあと、みんなで火葬場に行ったが、火葬場でも伯母さんは泣いていた。……火葬場の扉が閉まると、伯母さんは泣き止んだ。そのあと、伯母さんはけろっとしていた。

 それから伯父さんの火葬が済むまで、近所のファミレスで昼食をとった。……火葬場に着くとまた、伯母さんはヨウヨウ、オウオウ、と泣いていた。


 ●伯母の一人が密入国途中で捕まって、長崎県の大村収容所に入れられたときの話が意外だった。わたしは「大村収容所」と聞くとあまりいい印象は持っていないが……。

 ――その、収容所生活ってどんなんでしたか?

 「ものすごい食べるもんがあんねん」

 ――そうなんですか

 「その、腹減ると、ものすごい面白い」

 ――面白いんですか?

 「面白いいうんか、うちのこの部屋の何十倍もあんねん。ほやからそこで行ったり来たり。みんなと話、合うしな。食べるものでもいっぱい。そのときもそんなんはせえへんかった[空腹にはならなかった]。山盛りやった。覚えてる」

 (この話はどう捉えていいのか分からない。別のところで、済州島の生活は原始生活に近いと書いていたし、それに比べてということか?)


 ●別の伯母は日本に密航してきたとき10~11歳になっていたので日本の字が読めず、自殺しようとまで思い詰めたこともある。
 結局、働きながら9年も夜間学校に行きどうにか読めるようになった。

 「どんだけつらいか、そのつらいの(字が読める大多数の人は)わからへん」

 「でもいまは、そんだけ夜間中学行ったおかげで、いまは旅行もな、行ける。ドキドキせえへん。すごく気持ちがうれしい」
 「カラオケ行ったって、字読めるし、歌えるしな。ほんで、電車、道行ったって、ああ、これは和歌山行きや、京都行きや、いうのぐらい読める。前はなんにも分からん。だって、電話番号も自分の名前も書かれん。どんだけつらいか」


 キリがないので取り敢えず以上




プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子、足立康史、竜崎伸也ほか多数。

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