髪結い伊三次捕物余話11巻目

髪結い伊三次捕物余話11巻目 髪結い伊三次捕物余話11巻目(文春文庫)
髪結い伊三次捕物余話11巻目 ほとんど看板のないカフェ
髪結い伊三次捕物余話11巻目
 (写真の右側のテーブルでお母さんたちが駄弁っていた)




 髪結い伊三次捕物余話11巻目


 宇江佐 真理うえざ・まり)さんの髪結い伊三次捕物余話シリーズ11巻目「月は誰のもの」を読了した。この本は14年10月10日印刷。とうとうこのシリーズに追いついてしまった。残念。あとは宇江佐さんの書くペースに合わせるしかない。

 いくつかの場面をピックアップしてみる。


 ●(大工の)父親が普請勉現場で怪我を負い、それが原因で死ねと、母親も後を追うように死んでしまった。(姉の)お園は残された伊三次が不憫で、(連れ合いの)十兵衛が反対したにも拘わらず、(髪結い床の)自分の所に引き取ったのだ。

 ろくに小遣いも与えられず、朝から晩まで扱き使われた。十兵衛に対する憎しみを抱えて伊三次は大人になったのだ。

 辛い修行に耐えて、ようやく一人前になり、これから給金も与えられるものと思っていたが、十兵衛は相変わらず伊三次を居候扱いしかしなかった。十兵衛の言いなりになってばかりはいられなかった。
 それで派手な喧嘩の末に梅床(髪結い床)を飛び出したのだ。

 とはいえ、行く宛はなかった。よその髪結い床の親方に縋ってみたが、おおかたは十兵衛と諍いになることを恐れ、面倒を見るとは言わなかった。たかが髪結い職人とはいえ、お上に届を出さなければ仕事ができない世の中である。親方あっての弟子で、親方から勝手に離れた伊三次に世間の風は冷たかった。

 切羽詰まった伊三次はご法度の忍び髪結いを働くようになる。髪結い職人には本来の仕事と別に高札場の管理などの公務が課せられる。また、奉行所や小伝馬町の牢屋敷に(火事など)非常事態が起きた時は駆けつけ、大事な書類を運び出すのを手伝わなければならなかった。

 そういう公務を怠る髪結い職人を忍び髪結いと呼んで、奉行所は厳しい取り締まりをしていたのである。

 (感想・意見など:江戸町奉行所は、現代に例えれば都知事、警視総監、東京消防庁長官、最高裁判所などの仕事をしていた。時代にもよるが、南北合わせて町奉行2名、与力70名、同心240名程度で100万都市の治安を守れたのは、こういう公務・自治組織があったからである。ちなみに、目明し、岡っ引き、小者などは、人手不足を補うため、同心が私的に雇った者である。伊三次は生業は廻り(出張)髪結いで、小者としての1年間の手当ては4両程度。同心などはこういう小者を抱えるためにも商人などから心付けを貰っていた)



 ●北町奉行所の吟味型の与力・同心は(容疑者の)稲助の容疑を固めるべく、きつい取り調べを行った。それにより稲助はとうとう白状し、身柄は小伝馬町の牢屋敷に移され、後はお白洲で奉行の裁きを待つばかりだった。

 しかし、お白洲での裁きで稲助は自分の仕業ではないと異を唱えた。これには吟味方が大いに慌てた。まさか、そこで罪を引っ繰り返されるとは夢にも思っていなかったからだ。

 奉行は落ち着いた声で、しかし、その方は罪を認めたから口書き(くちがき:供述書)に爪印(つめいん)を捺したのだろうと言った。それに対し、稲助は夜も昼もなく責められたので、楽になりたい一心でうそをついたと応えた。その時のお白洲では稲助に死罪の沙汰が下りず、再吟味の形にされた。

 奉行は遠島(えんとう:島流し)以下の刑は裁断できるが、死罪となると書類を作成して幕府の老中に差し出す仕来たりだった。老中はそれを読み、奉行所の判断に間違いないと判断すれば将軍に上伸して許可の印をいただくそこで初めて死罪が確定するのだ。

 (感想・意見など:日本は相当昔から法治主義であった)


 (先日、気になっていた「ほとんど看板のないカフェ」に行ってみた。中は、赤ちゃんと若いお母さんばかり。経営者も若夫婦のようであった。どうやら、幼稚園に入る前の3歳くらいまでの児を持つお母さんの溜まり場のよう。モーニング500円。私は場違いな感じ。新聞も四国新聞しかなく、縁がなさそう。面白いが、経営的に成り立つのか?)


以上


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プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子ほか多数。

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