粋と寛容

粋と寛容 日経14年11月4日
粋と寛容 (講談社文芸文庫)
 シャーウッド・アンダソン
粋と寛容
 京都・大徳寺高桐院の庭

 
  
  粋と寛容


 日本経済新聞11月4日の1面コラム「春秋」欄をご紹介します。



 「ワインズバーグ・オハイオ」と題する連作短編が文庫になっているが、アンダソンというアメリカの作家を知る人は多くないだろう。大正末から昭和にかけ、この作家と日本人との間に交流があった。著作権のなんたるかも定かではなかったであろうころの話である。

 翻訳にあたって許しを請う手紙を訳者が出すと、アンダソンの返事が来た。「ほかの国からは謝礼をもらっている。自分は貧しいから同じにしてほしいが、そういう慣習がないのなら無理にとはいわない」。日本の版元は結局謝礼を出さなかったが、「かまわない。今後は好きなものを訳してくれ」とアンダソンは言った。

 逸話は先ごろ、作家・山田稔さんの随想で知った。アンダソンの作品の魅力はチェーホフと比べられるが、読書週間ただ中の3連休、チェーホフを読んだ人はいてもアンダソンを手に取った人があるかどうか。ただ、さまざまな挿話から作者、作品へと関心が進み、お気に入りに巡り合う。それもまた読書の楽しみだろう。

 話には続きがある。今度は日本から原稿を依頼し、快諾したアンダソンはすぐ送ってくるのだが、頼んだ側は稿料を酒席に使い込んで送金が遅れてしまう。正直に白状してわびる手紙への返事はこうである。「どうか気にしないでほしい。自分もその席につらなりたかった」。こんなことが言える人だ。本も読みたくなる。


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(感想・意見など)

 私も読みたくなった。早速いつもの宮脇書店に注文することにしよう。


(注)シャーウッド・アンダソン(1876-1941)アメリカの作家
 オハイオ州に生まれる。高校中退後、1年ほどの軍隊生活ののち、様々な職種を転々とした。
 1919年、オハイオ州の小さな田舎町を舞台とした『ワインズバーグ・オハイオ』が評判となり作家に。
 フォークナー、ヘミングウェイ、スタインベック、ウルフなどに影響を与えたと言われる。


以上


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teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子ほか多数。

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